人事領域でも、従来の「なんとなく」や「経験則」に頼った判断から脱却し、データに基づく客観的な意思決定へと移行する動きが広がりを見せています。
しかし、人事データの活用を始めようとすると「どのデータを収集すべきか」「どのように分析すればよいのか」といった課題に直面するケースも少なくありません。
本記事では、人事データの基本的な概念から具体的な活用方法、成功事例まで、初めて取り組む方にも理解しやすいよう体系的に解説します。
- 勤怠データや評価データなど、採用から退職まで活用できるデータの全体像を理解できる
- 離職率改善や人材配置最適化など、採用担当者が実際に成果を出せる活用方法を習得できる
- 目的設定からツール選定まで、明日から始められる具体的な実行プランを策定できる
1.人事データとは?基本的な意味をわかりやすく解説

人事データ活用を実践するには、まず基礎の理解が欠かせません。ここでは、人事データの基本的な考え方や、従来の人事管理との違いについて整理していきましょう。
人事データの定義と範囲
人事データとは、企業が従業員について収集・管理するあらゆる情報の総称です。従来の人事管理で扱われていた基本情報に加え、従業員の働き方や成長に関する幅広いデータが含まれます。
- 氏名
- 年齢
- 勤怠状況
- 業績評価
- 研修履歴
- 従業員満足度調査の結果など
これらのデータを統合的に管理・分析することで、組織全体の人材状況を客観的に把握し、戦略的な人事施策の立案・実行へとつなげられるでしょう。

人事データは単なる管理情報ではなく、組織の成長と従業員の成長を同時に実現するための重要な経営資源といえます。
従来の人事管理との違い
従来の人事管理は、担当者の経験や直感に基づく判断が中心でした。例えば、人材配置を決める際も、下記のように主観的な評価が重視されていたのです。
- Aさんは営業に向いていそうだから営業課
- Bさんは真面目だから管理部門があっているなど
一方、人事データを活用した管理では、過去の業績データ、スキル評価、適性検査の結果などを総合的に分析して配置を決定します。これにより、より客観的で公正な人事判断が可能になり、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出せるのです。
なぜ今、人事データが注目されているのか
人事データが注目される背景には、複数の社会情勢の変化があります。
労働人口の減少
限られた人材で最大の成果を上げる必要性が高まった
働き方の多様化
従業員一人ひとりのニーズに合わせた個別対応が求められるように
戦略人事と人的資本経営への移行
人材を投資対象として捉え、その価値を最大化する経営手法が重視されている(※)
デジタル技術の発達
以前は収集・分析が困難だった大量のデータを効率的に処理できるようになった
これらの変化により、データに基づく科学的な人事運営が、企業の競争優位を支える重要な要素となったのです。
※経営戦略と人事戦略を連動させる「戦略人事」の実現に向け、客観的なデータ活用が不可欠になっています。さらに近年、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値向上につなげる「人的資本経営」が重視されています。
2023年3月期決算からは、大手企業を対象に有価証券報告書での「人材育成方針」や「男女間賃金格差」などの情報開示が義務化されました。これにより、投資家や社会に対して人材戦略をデータで説明する必要性が高まり、人事データの戦略的活用が経営上の重要課題となっています。
参考:経済産業省「人的資本経営~人材の価値を最大限に引き出す~」・総務省統計局「人口推計」
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人事データ活用を効率化するためには、評価システムの導入も欠かせません。こちらの記事では、導入のポイントやおすすめシステムなどについて詳しく解説しています。
2.人事データの7つの種類を具体例付きで紹介

人事データは大きく7つのカテゴリに分類され、それぞれに固有の目的と価値があります。
基本属性データ(個人情報・入社情報・配属情報)
基本属性データは、従業員の基本的なプロフィール情報です。
- 個人情報
氏名、年齢、性別、住所、連絡先など - 入社情報
入社年月日、採用経路、最終学歴、職務経歴など - 配属情報
現在の所属部署、役職、等級、過去の異動履歴など
これらのデータは人事管理の基盤となる情報で、給与計算や労務管理に必要不可欠です。また、組織の年齢構成や学歴分布、異動パターンの分析にも活用できます。

例えば、特定部署の平均年齢が高い場合は、若手の配置や採用を検討するきっかけになるでしょう。
勤怠データ(労働時間・休暇・出退勤記録)
勤怠データは、従業員の働き方を数値で把握するためのデータです。
- 出退勤時刻から算出される日々の労働時間や残業時間
- 有給休暇や特別休暇の取得状況
- 遅刻・早退・欠勤の回数など
このデータを分析することで、働き方改革の効果測定や労務リスクの早期発見が目指せるでしょう。例えば、特定の部署で残業時間が突出して多い場合は、業務量の見直しや人員配置の調整が必要というサインです。
給与・報酬データ(基本給・手当・賞与)
給与・報酬データは、従業員に支払われる金銭的報酬に関する情報です。基本給、各種手当(役職手当、通勤手当、住宅手当など)、賞与の支給実績と評価との連動性などが含まれます。このデータを分析することで、報酬制度の公平性や市場競争力を客観的に評価できます。
具体的な例をみていきましょう。
- 「同じ等級でも部署によって平均給与に大きな差がある」
⇒評価基準の見直しが必要 - 「業績と報酬の相関関係を分析する」
⇒インセンティブ制度の効果を測定し、より効果的な報酬設計を行うことができる
また、蓄積された給与・報酬データをみることで、人件費の適正化や予算策定にも重要な役割を果たします。
評価・パフォーマンスデータ(人事評価・業績・スキル)
評価・パフォーマンスデータは、従業員の成果や能力を測定したデータです。
■人事評価結果
- 目標達成度
- 行動評価
- コンピテンシー評価など
■業績データ
- 売上実績
- 生産性など
■能力情報
- 保有スキル
- 取得資格
- 語学力など
このデータを活用することで、ハイパフォーマーの特徴を特定し、その知見を他の従業員の育成に活用できます。また、スキルギャップの可視化により、必要な研修プログラムの設計や採用要件が明確になるでしょう。
さらに、評価結果と業績の相関分析により、公正で効果的な評価システムの構築につなげられます。
教育・研修データ(受講履歴・進捗状況)
教育・研修データは、従業員の学習と成長に関する情報です。受講した研修プログラムの内容と時間、eラーニングの学習状況とテスト結果、研修後のフォローアップ状況などが含まれます。このデータを分析することで、研修の効果測定と改善が目指せます。
■具体的には
- 研修を受講した従業員の業績向上率を測定し、費用対効果の高い研修を特定する
- 従業員のスキル習得状況を把握することで、個人に最適化された育成プランを策定
- 組織全体のスキルレベル向上に向けた戦略的な教育投資の判断
- 学習意欲の高い従業員の特定や、学習機会の公平な提供に活用
エンゲージメントデータ(満足度調査・サーベイ結果)
エンゲージメントデータは、以下のように従業員の組織に対する心理的なつながりや満足度を測定したデータです。
- 従業員満足度調査による職場環境や人間関係への評価
- エンゲージメントサーベイによる組織への貢献意欲や愛着度
- 短期間で実施するパルスサーベイによる心理状態の変化など
このデータを活用することで、組織の健康状態を定期的に把握し、問題の早期発見と対策実施が目指せます。例えば、特定の部署でエンゲージメントスコアが低下している場合は、マネジメント手法の見直しや職場環境の改善を検討します。

また、高エンゲージメント従業員の共通要因を分析し、組織全体のエンゲージメント向上施策にも活用できます。
離職・退職データ(離職理由・離職率)
離職・退職データは、従業員が組織を離れる際の情報です。自己都合や会社都合といった離職区分、具体的な離職理由、部署別や入社年次別の離職率、退職面談で得られたフィードバックなどが含まれます。
このデータを分析することで、離職傾向を把握し、予防策を計画的に立案できます。具体的な活用例をみていきましょう。
- 入社3年以内の離職率が高い
⇒新人研修の見直しやメンター制度の導入
- 特定の上司の下で離職率が高い
⇒マネジメント研修の実施
このように、離職理由の傾向分析により、組織の課題を特定し、働きやすい職場環境の構築に向けた改善策を講じられます。
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エンゲージメント向上には、エンゲージメントサーベイの活用も効果的です。こちらの記事では、導入にむけた基礎知識から具体的な活用事例まで詳しく学べます。
3.人事データ活用で得られる5つのメリット

人事データを活用することで、組織運営の質と効率性の大幅な向上が目指せます。
客観的で公正な人事判断の実現
人事データを活用することで、従来の主観的な判断から、客観的かつ公正な人事運営への転換が進められます。
昇進・昇格の判断において
個人の業績データ、スキル評価、研修受講履歴などを総合的に分析することで、より公平性の高い選考が実現できます。
人事評価において
数値化されたデータに基づく評価により、評価者の主観やバイアスの影響を最小限に抑えることができます。
これにより従業員の納得度が向上し、組織への信頼が高まるでしょう。透明性の高い人事制度は従業員のモチベーション向上にもつながり、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。
人材配置の最適化と生産性向上
個々の従業員のスキル、経験、適性、キャリア志向などのデータを分析することで、最適な人材配置が実現できます。具体的な実例をみていきましょう。
- 他部署に配属されていた従業員の中で、実はマーケティング分野のスキルが高い人を特定し、マーケティング部門への異動を提案した。
⇒個人の能力を最大限に活用できるように - プロジェクトチーム編成において、メンバーの補完的なスキルセットを考慮した配置にした。
⇒チーム全体のパフォーマンス最大化が実現 - 過去の配置データと成果の相関分析により、成功パターンを特定し、将来の配置決定に活用した。
⇒組織全体の生産性向上を継続的に推進できる
離職率の改善と人材定着の促進
離職に関するデータを詳細に分析することで、離職の予兆を早期に発見し、適切な対策が講じられます。以下のようなデータを総合的に分析することで、離職リスクの高い従業員を特定します。
- 勤怠データの変化
- エンゲージメントスコアの低下
- 1on1面談での発言内容など
離職の予兆を早期に発見することで、個別のキャリア相談、業務内容の調整、職場環境の改善などの施策が実施でき、優秀な人材の流出を防ぎます。
また、過去の離職者データから離職要因を特定し、根本的な組織課題の解決に取り組むことで、離職率の継続的な改善も目指せるでしょう。
効果的な人材育成プログラムの設計
研修データと業績データの相関分析により、最も効果の高い育成プログラムを特定し、限られた教育予算を最適に配分できます。具体的にみていきましょう。
効果測定と選択的投資
特定の研修を受講した従業員の業績向上率を測定し、ROIの高い研修プログラムに予算を集中投下。組織全体のスキルレベルを効率的に向上させます。
個別育成計画の最適化
スキル習得状況やキャリア志向を考慮した育成計画を策定。従業員一人ひとりの成長を最大限に加速させ、エンゲージメントを高めます。
未来を見据えた人材育成
将来の事業計画に必須となるスキルセットを予測。計画的な人材育成を行うことで、変化に対応できる強い組織を構築し、競争力を強化します。
経営層への説得力ある提案と戦略立案
人事データに基づく分析結果は、経営層への提案において強力な根拠となります。事例を通して確認していきましょう。
【経営層】人件費削減を要請
単純な人員削減ではなく、生産性向上による効率化の提案を具体的なデータと予測効果とともに提示できる。
【経営層】新規事業展開を考えている
必要な人材要件や育成期間、採用コストなどを定量的に示すことで、経営判断をサポート。
【経営層】中長期戦略を策定したい
競合他社との人材戦略比較や、業界ベンチマークとの比較分析により、自社の人事戦略の優位性や改善点を客観的に評価し、説得力のある中長期戦略を策定。
これらにより人事部門の経営への貢献度が向上し、組織における人事の地位向上にもつながります。
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離職率の改善を目指すなら、計算方法についても理解しておきましょう。こちらの記事では、具体的な計算手順と効果的な対策について詳しく解説しています。
4.人事データの具体的な活用方法と分析手法

効果的に人事データを活用するには、目的に応じた適切な分析手法の選択が不可欠です。
記述統計分析による現状把握
記述統計分析とは
データの特徴を整理・要約して理解しやすくするための統計手法
【人事データの活用】
平均値、中央値、最頻値を使って給与水準、残業時間、勤続年数などの中心的な傾向を把握
■活用例
- 部署別の平均残業時間を算出して、働き方改革の進捗状況を定量的に評価する
- 標準偏差や四分位範囲により、データのばらつきを把握し、組織内の格差や偏りを発見する
- 時系列での推移を確認することで、施策の効果や組織の変化を客観的に測定する
この分析により得られた基本的な数値は、より高度な分析の出発点となり、組織の現状を正確に理解するための重要な基盤となります。
相関分析で要因を特定する方法
相関分析とは
複数のデータ項目間の関係性を数値化し、要因と結果の関連性を特定する手法
【人事データの活用】
残業時間と離職率の関係性を分析するなど
■活用例
- 研修受講時間とその後の業績向上の関係性を分析することで、教育投資の効果を定量的に評価する
- エンゲージメントスコアと離職率の相関を調べることで、従業員満足度が人材定着に与える影響を数値で把握する
ただし、相関関係は必ずしも因果関係を意味しないため、結果の解釈には注意が必要です。強い相関が見つかった場合は、その背景にある要因をさらに詳しく調査し、実際の施策に活用する際は慎重な検討が求められます。
予測分析による離職リスクの早期発見
予測分析とは
過去のデータパターンに基づいて将来の事象を予測する高度な分析手法
【人事データの活用】
離職予想、研修効果の予測、モチベーション低下リスクの予測など
■活用例
- 過去の離職者の行動パターン(勤怠の変化、評価の推移、研修参加状況など)を機械学習アルゴリズムで学習させ、現在の従業員の中で離職リスクの高い人を特定する
- 将来の退職者数を予測することで、採用計画の精度向上や引き継ぎ準備を効率化する
この手法により、人材流出による組織への影響を最小限に抑えられるでしょう。
セグメンテーション分析で従業員をグループ化
セグメンテーション分析とは
従業員を特定の属性や行動パターンでグループ分けし、各セグメントの特性を比較分析する手法
【人事データの活用】
特定の社員属性やスキル分野にあった最適施策が見つかる
■活用例
- 年齢層別に分析
世代ごとに働き方や求める福利厚生の違いを明確にし、世代に応じた施策を設計 - パフォーマンスレベル別に分析
ハイパフォーマー、ミドルパフォーマー、ローパフォーマーそれぞれに最適な育成アプローチを特定 - キャリア志向別に分析
管理職志向、専門職志向、ワークライフバランス重視など、多様な従業員ニーズに対応した人事制度の設計
この分析により、画一的ではない、よりパーソナライズされた人事施策の実施が実現できます。
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5.人事データ活用における課題と解決策

人事データの活用にはさまざまなメリットがありますが、一方で課題も存在します。ここでは具体的な対処法とあわせて紹介します。
課題1:データの散在と統合の困難さ
多くの企業では、勤怠管理、給与計算、人事評価、研修管理などが異なるシステムで個別に運用されており、データが分散しています。このため、総合的な分析を行う際にデータの収集と統合に多大な時間と労力が必要となり、リアルタイムでの意思決定が困難になります。

【解決策】
人事情報システム(HRIS)を導入すれば、採用から退職までの一連の人事プロセスを統合管理できます。また、既存システムの完全入れ替えが難しい場合は、データ連携基盤を構築し、異なるシステム間のデータを統合しましょう。
課題2:データ品質の問題(不正確性、欠損)
人事データの品質問題は分析結果の信頼性を大きく損なう要因となります。入力ミス、情報の更新漏れ、欠損データなどが発生すると、誤った判断につながるリスクもあります。

【解決策】
データ入力ガイドラインを策定し、全ての担当者が統一されたルールでデータを入力する体制を構築しましょう。また、定期的なデータ監査により、不正確なデータを継続的に修正・補完する仕組みを整備してください。
課題3:プライバシーとセキュリティ対策のポイント
人事データには個人情報が多く含まれるため、適切なプライバシー保護とセキュリティ対策が不可欠です。データ漏洩や不正利用は企業の信頼失墜につながる重大なリスクとなります。

【解決策】
アクセス権限の厳格な管理により、業務上必要な範囲でのみデータへのアクセスを許可する体制を構築します。また、分析目的で個人特定が不要な場合は、データの匿名化・仮名化処理を実施し、プライバシーリスクを最小化します。
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プライバシーとセキュリティの確保は、心理的安全性の高い組織づくりの基本です。この記事の心理的安全性チェックリストを使って、自社の状況を確認してみましょう。
課題4:分析・活用を担う人材のスキル不足
データを収集・整備しても、それを分析し、施策に繋げるスキルを持つ人材が社内に不足しているケースは少なくありません。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズの調査でも、人事データ活用の課題として「人事スタッフの分析・活用するスキルが足りない」が最も多く挙げられています。

【解決策】
全員が高度な分析スキルを持つ必要はありません。まずは、基本的な統計知識やデータ読解力を向上させるための研修を実施しましょう。
また、いきなり高度な分析を目指すのではなく、ExcelやBIツールで現状を可視化することから始めるのも有効です。
必要に応じて、外部の専門家やコンサルティングサービスの活用も検討しましょう。
参考:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「「人事データ活用に関する実態調査」の分析結果を発表」
6.人事データ活用を始める5つのステップ

段階的に計画を進めることで、人事データ活用を着実に成功へ導きましょう。
STEP1|目的と仮説の明確化
人事データ活用の第一歩として、解決したい課題と達成したい目標を明確に定義しましょう。例えば「離職率を20%削減したい」「新入社員の定着率を向上させたい」といった具体的な目標を設定します。
次に、その目標達成に向けた仮説を立てます。「1on1面談の頻度が高い部署ほど離職率が低いのではないか」「研修満足度の高い新入社員ほど定着率が高いのではないか」といった検証可能な仮説を設定することで、分析の方向性が明確になります。
明確な目的と仮説があることで、効率的で価値のあるデータ活用を目指します。

この段階で経営層や関係部署との合意形成を図り、プロジェクトの重要性と期待効果を組織全体で共有することも重要です。
STEP2|必要なデータ項目の洗い出し
設定した目的と仮説に基づいて、分析に必要なデータ項目を体系的に洗い出します。例えば、離職率改善が目的の場合は、以下のようなデータが必要です。
- 勤怠データ
- 評価データ
- 研修受講履歴
- エンゲージメント調査結果
- 1on1面談記録など
同時に、データの収集頻度、更新タイミング、データの精度レベルを定義します。また、法的制約やプライバシー保護の観点から収集可能なデータの範囲を確認し、コンプライアンスに配慮したデータ活用計画も策定してください。
この段階で不足するデータが判明した場合は、追加の調査やシステム改修の必要性も検討し、実現可能な範囲でのデータ活用計画を作成します。
STEP3|データ収集・整備の実施
洗い出されたデータ項目に基づいて、実際のデータ収集と整備作業を開始します。既存システムからのデータ抽出、紙ベースで管理されている情報のデジタル化、不足データの追加調査などを計画的に実施しましょう。
収集したデータは統一フォーマットに変換し、分析しやすい形に整備します。この過程で、データの品質チェックも同時に行い、明らかな誤りや欠損値の処理方針を決定します。また、継続的なデータ収集のための運用ルールを策定し、担当者への教育も実施してください。
STEP4|分析ツールの選定と導入
収集・整備されたデータを効果的に分析するためのツールを選定します。Excel等の基本的なツールから、専門的なBIツール、統計解析ソフト、人事専用の分析ツールまで、組織の規模や予算、分析の複雑さに応じて最適なツールを選びましょう。
ツール選定の際は、使いやすさ、機能の豊富さ、コスト、サポート体制、将来の拡張性などを総合的に評価します。また、ツール導入後は担当者への操作研修を実施し、基本的な分析手法から高度な分析まで段階的にスキルアップを図りましょう。
分析ツールの選定については、8章「人事データ管理に役立つツールとシステム選定のポイント」で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
STEP5|継続的な改善サイクルの構築
人事データ活用は一度実施して終わりではなく、継続的な改善が重要です。定期的にデータを更新し、分析結果に基づく施策を実施した後は、その効果を測定して次の改善につなげるPDCAサイクルを構築します。
この継続的な改善により、人事データ活用の効果を最大化し、組織の持続的な成長を支援できるのです。
7.人事データ管理に役立つシステム選定のポイント

効果的な人事データ活用を実現するには、組織に適したツールとシステムの選定が重要です。
人事情報システム(HRIS)の基本機能
人事情報システム(HRIS)は、人事業務の効率化とデータ統合の中核となるシステムです。
【基本機能】
- 従業員の基本情報管理
- 勤怠管理
- 給与計算
- 人事評価
- 研修管理組織図管理など
これらの機能が統合されることで、各業務間でのデータ連携が自動化され、重複入力の削減とデータの一貫性確保が実現します。さらに、レポート機能やダッシュボード機能により、収集されたデータを可視化し、意思決定に必要な情報を迅速に提供できます。

導入時は、既存業務フローとの整合性を確認し、必要に応じてカスタマイズを行うことで、組織に最適化されたシステム運用が可能です。
クラウド型 vs オンプレミス型の比較
人事システムの導入形態には、クラウド型とオンプレミス型の2種類があり、それぞれに特徴があります。
| システム | 特徴 |
|---|---|
| クラウド型 | ・初期導入コストが低く、システムの保守運用をベンダーに委託できる ・機能追加やアップデートが自動で行われ、常に最新の機能を利用できる |
| オンプレミス型 | ・自社でサーバーを管理するため初期投資は大きい ・厳しいセキュリティ要件や、既存システムとの深い連携に対応できる |
選定時は、セキュリティポリシー、コスト制約、IT運用体制、将来の拡張計画などを総合的に評価し、組織の状況に最も適した形態を選択しましょう。
システム選定で失敗しないチェックポイント
システム選定の成功には、事前の十分な検討と評価が不可欠です。
導入後の運用体制、ユーザー教育、データ移行計画も事前に検討しておきましょう。
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こちらの記事では、おすすめのタレントマネジメントシステムを15種類紹介しています。選定のポイントや活用方法についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
8.経験則からデータドリブンへ
人事データ活用は、従来の経験則に依存した人事運営から、客観的かつ戦略的な人事運営へと進化させる重要な取り組みです。データドリブンな意思決定を確実に実現し、組織の質を高めます。
重要なのは、初めから完璧を目指すのではなく、小さく始めて継続的に改善を積み重ねる姿勢です。人事データを活用することで、従業員一人ひとりが力を発揮できる環境を整え、持続的な企業成長との両立を可能にします。
本記事を参考に、人事データ活用に取り組む際のヒントとしてご活用ください。
■戦略的な人材活用で競争優位を確立
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