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人的資本経営とは?基本から実践まで5ステップで完全解説

2023年3月期から上場企業に対して人的資本の情報開示が義務化され、人的資本経営への関心が高まっています。しかし、「具体的に何から始めればよいのか」という課題に直面している人事担当者も多いでしょう。

実際、ある調査では企業の92.7%が「人的資本経営」という言葉を認知している一方で、その内容を完全に理解しているのはわずか38.6%という結果も出ています。多くの担当者が、あなたと同じように「言葉は知っているが、具体的に何をすべきか分からない」という悩みを抱えているのです。

本記事では、そのギャップを埋めるべく、基本概念からデータで見る日本企業の課題、そして明日から使える実践ステップまでを体系的に解説します。

参考:アビームコンサルティング株式会社|日本企業の人的資本経営の取り組み実態調査

この記事を読んでわかること
  • 人的資本経営の基本概念と従来の人材戦略との違い
  • 人的資本経営を段階的に導入するための5ステップと実践方法
  • 情報開示義務への対応方法と投資家評価向上のポイント
目次
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1.人的資本経営とは?従来の人材戦略との3つの決定的違い

パルスサーベイを活用した組織改善のステップ

近年、企業経営の最重要テーマとして「人的資本経営」が注目されています。これは、人材を単なる「コスト」や「資源(リソース)」として管理する従来の手法から脱却し、企業の持続的な価値創造の源泉となる「資本(キャピタル)」として捉え、戦略的に投資していく経営手法です。

この章では、人的資本経営の基本的な定義と、従来の人材戦略との間にある3つの決定的な違いを解説します。

コスト削減から価値創造へ

Success

従来
人件費は抑制すべきコストと見なされ、効率化や削減が重視されていました。

人的資本経営
研修や働きがい向上への投資は、将来の企業価値を高めるための戦略的投資と位置づけられます。

従来の管理会計上、人件費は販管費として扱われ、短期的な利益を最大化するために抑制すべきコストと見なされる傾向がありました。しかし、人的資本経営では、従業員が持つ知識やスキル、経験こそが、イノベーションや新たな顧客価値を生み出す源泉であると考えます。

そのため、研修によるスキル向上や働きがいを高める環境整備への支出は、単なるコストではなく、企業の将来的なキャッシュフローを創出する「無形資産」への戦略的投資として位置づけられます。

この投資が従業員の成長を促し、企業価値向上につながる好循環を生み出すのです。

人材への投資が単なるコストではなく、企業の成長と利益創出に直結する重要な投資活動として位置づけられるようになりました。

短期的管理から中長期的投資へ

Success

従来
年度単位の短期的な成果が求められがちでした。

人的資本経営
5年、10年先を見据え、将来の事業戦略に必要な人材を計画的に育成します。

四半期ごとの業績報告に追われる従来の短期的な視点では、人材戦略も場当たり的になりがちで、目先の欠員補充や即効性のある施策に偏る傾向がありました。

これに対し、人的資本経営では、将来の事業ポートフォリオの変革や市場の変化を予測し、そこから逆算して「5年後、10年後にどのような人材が必要か」を定義します。

そして、後継者育成(サクセッションプラン)やDXに対応するためのリスキリングなど、成果が出るまでに時間がかかる施策にも計画的に投資します。これにより、変化に強い持続可能な組織基盤を構築するのです。

画一的管理から個別最適化へ

Success

従来
全従業員に統一の制度を適用するのが一般的でした。

人的資本経営
一人ひとりの能力や価値観に合わせ、多様な働き方やキャリアパスを提供し、組織全体のパフォーマンスを最大化します。

高度経済成長期に形成された従来の人材管理は、同質性の高い集団を効率的にマネジメントするために、年功序列や一律の研修といった画一的な制度が中心でした。

しかし、現代では働き方の多様化やキャリア観の変化が進み、このモデルでは個々の能力を最大限に引き出すことが困難です。人的資本経営では、従業員一人ひとりのスキル、キャリア志向、ライフステージに合わせた個別最適なアプローチを重視します。

例えば、個別の育成計画の策定、柔軟な勤務制度の提供、多様なキャリアパスの提示などを通じて、従業員エンゲージメントを高め組織全体の創造性と生産性を向上させることを目指します。

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2.なぜ今人的資本経営が注目されているのか?

母集団形成の導入事例

人的資本経営への注目の背景には、現代社会が抱えるさまざまな課題と変化があります。

労働人口減少と多様な働き方への対応

日本では少子高齢化により労働人口の減少が続いており、従来のような画一的な人材管理では企業の持続的成長が困難になっています。

外国人労働者やシニア世代の活用、さらにはリモートワークや時短勤務など働き方の多様化に対応するため、一人ひとりの事情や能力に合わせた個別最適化が必要です。

人的資本経営では、多様な人材がそれぞれの特性を活かして最大限のパフォーマンスを発揮できる環境づくりを重視します。限られた人材リソースを最大限に活用し、質の高い成果を生み出すことが企業存続の鍵となっているのです。

ESG投資とSDGsの世界的な広がり

投資の世界では、財務指標だけでなく環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点から企業価値を評価する動きが加速しています。人的資本は特に「社会」と「ガバナンス」の要素に深く関わり、投資判断の重要な指標となっています。

また、国連が掲げるSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」や、ダイバーシティ・人材育成に関する取り組みも注目されています。企業が持続可能な社会の実現に貢献していることを示すためにも、人材への投資と適切な情報開示が不可欠なのです。

これらの取り組みが投資家や顧客からの信頼獲得につながり、企業価値向上に直結しています。

デジタル化時代における人材の付加価値創造

DXの推進により多くの定型業務が自動化される中、人材に求められる役割は大きく変化しています。単純な作業処理から、創造性や判断力を活かした付加価値の高い業務へとシフトしており、イノベーションの創出が人材の重要な使命となっています。

デジタル技術を活用しながら新たなビジネスモデルや顧客価値を生み出すためには、従業員一人ひとりのスキルアップと能力開発が欠かせません。

人的資本経営は、変化する産業構造の中で競争優位性を維持し、将来の成長に向けた基盤づくりを可能にする経営手法として位置づけられています。

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3.【データで見る】日本企業が直面する「3つの壁」

人的資本経営の重要性は認識されつつも、多くの企業が実践において課題を抱えています。最新の調査データから、日本企業が直面する代表的な「3つの壁」を見ていきましょう。

壁1:経営戦略と人材の断絶

壁1:経営戦略と人材の断絶

経営戦略の実現に必要な人材育成が難しい

46%

将来必要となる人材を十分に把握できていない

59%

企業の最大の課題は「経営戦略を実現するために必要な人材の育成が難しい」(46%)ことです。さらに、59%の企業が将来必要となる人材を十分に把握できていないと回答しており、戦略と人材計画が断絶している実態が浮彫りになっています。

多くの企業で、DX推進やグローバル展開といった経営戦略が掲げられても、それを実行する人材の「質」と「量」が明確に定義されていません。理想の姿(To be)と現状(As is)のギャップをデータで把握できていないため、人材育成や採用が場当たり的になりがちです。

これでは、どんなに優れた戦略も「絵に描いた餅」で終わってしまいます。経営目標の達成には、戦略と連動した計画的な人材ポートフォリオの設計が不可欠なのです。

参考:一般社団法人 日本能率協会(JMA)「日本企業の経営課題2023 調査結果」

壁2:データ活用の幻想

壁2:データ活用の幻想

自社の人材データを完全に活用できている

25%

データ基盤の整備が成果に繋がっている

4.6%

人材データを戦略的に活用できている企業は多くありません。自社の人材データを完全に活用できていると考えている企業はわずか25%に留まります。データ基盤を整備しても、それが成果に繋がっているのは4.6%に過ぎないという厳しい現実があります。

近年、多くの企業がタレントマネジメントシステムを導入し、人材データの「収集」は進みました。しかし、そのデータを分析し、経営課題の解決に繋がる「示唆」を見出す段階でつまずいています。

データが人事部門内に留まり、事業部門の意思決定に活かされていないケースが散見されます。単にデータを可視化するだけでなく、事業KPIと人材KPIを連携させ、データに基づいた戦略的な人員配置や育成へと繋げられて初めて、データ活用は価値を生むのです。

参考:株式会社リンクアンドモチベーション「人的資本経営に関する実態調査」

壁3:リーダーシップの不在

壁3:リーダーシップの不在

従業員3,000人未満の企業でのCHRO設置率

17%

人的資本経営を牽引する最高人事責任者(CHRO)の設置も、特に中小企業では進んでいません。従業員3,000人未満の企業ではCHROの設置率はわずか17%に留まり、全社的な戦略推進の担い手が不足しています。

人的資本経営は、人事部だけで完結する取り組みではなく、経営層が主導する全社的な変革です。CHROは、CEOの戦略的パートナーとして、経営の視点から人材戦略を立案し、実行する重要な役割を担います。

このポジションが不在だと、人的資本への投資がコスト削減の論理に負けてしまったり、部門間の壁を越えた人材配置が進まなかったりします。経営レベルで一貫したメッセージを発信し、変革を力強く推進するリーダーの存在が成功の鍵を握ります。

参考:パーソル総合研究所「人的資本情報開示に関する調査【第2回】」

4.従来の人材戦略と人的資本経営の3つの違い

従来の人材戦略と人的資本経営の3つの違い

人的資本経営と従来の人材戦略には、根本的な考え方の違いがあります。この違いを理解することで、新しい経営手法の本質が見えてくるでしょう。

コスト削減から価値創造へ

■従来の人材戦略
人件費は削減すべきコストとして扱われ、人員削減や給与抑制が行われることも。

人的資本経営
人材への投資は将来の価値創造につながる重要な経営資源として位置づけられた。

研修費用や福利厚生の充実、働きやすい環境整備などは、短期的にはコストとして計上されますが、中長期的には従業員のパフォーマンス向上や定着率の改善を通じて企業価値の向上に貢献します。

短期的管理から中長期的投資へ

■従来の人材戦略
四半期や年度単位の短期的な成果を重視し、即効性のある施策に偏りがち。

人的資本経営
3年から5年、さらには10年先を見越した中長期的な視点で人材戦略を策定。

従業員のキャリア開発や能力向上は、時間をかけて育てるものです。その成果が企業の競争力として現れるまでには一定の期間が必要となります。

だからこそ、将来の事業展開や市場変化を見据え、必要な人材像を明確にしたうえで計画的に育成・配置することが、持続的な企業成長の基盤を築く鍵となります。

画一的管理から個別最適化へ

■従来の人材戦略
全従業員に対して統一的な制度や評価基準を適用することが一般的。

人的資本経営
一人ひとりの能力、経験、価値観、ライフステージに応じた個別最適化を重視。

多様な働き方やキャリアパスを用意し、それぞれの従業員が最も力を発揮できる環境と役割を提供することで、組織全体のパフォーマンス最大化を図ります。

この戦略転換により、従業員エンゲージメントの向上と離職率の低下が期待でき、また同時に多様な人材が活躍できる包括的な組織文化の構築が可能になります。

個別最適化は管理の複雑さを増しますが、その分だけ高い成果を期待できる戦略的アプローチです。

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人的資本経営の推進には、従業員のスキルと能力を適切に評価する仕組みが重要です。効果的な人事評価システムを導入することで、個人の成長と企業の発展を目指しましょう。

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5.企業が人的資本経営を導入する5つのメリット

企業が人的資本経営を導入する5つのメリット

人的資本経営の導入により、企業は社内外に向けてさまざまな恩恵を受けることができます。

従業員の能力可視化による適切な人材配置

人的資本経営では、従業員一人ひとりのスキル、経験、知識を詳細に把握し、データベース化することで能力の可視化を実現します。これにより、プロジェクトや業務に最適な人材を素早く特定し、適材適所の配置が可能になるでしょう。

また、従業員自身も自分の強みや改善点を明確に把握できるため、主体的なキャリア開発やスキルアップに取り組みやすくなります。

Success

従来の勘や経験に頼った人事配置から脱却し、客観的なデータに基づいた戦略的な人材活用が実現できます。

生産性向上と企業利益拡大

人材への継続的な投資により、従業員のスキルレベルが向上し、一人当たりの生産性が大幅に向上するでしょう。高いスキルを持つ従業員は、より付加価値の高い業務を効率的に遂行できるため、企業全体の収益性が改善されます。

向上した利益の一部を再び人材投資に回すことで、さらなるスキルアップと生産性向上が実現され、持続的な成長サイクルが構築されます。この好循環により、短期的な利益追求だけでなく、中長期的な競争力強化も同時に目指せるのです。

従業員エンゲージメント向上と離職率低下

企業が従業員の成長に積極的に投資する姿勢を示すことで、従業員は自分が大切にされていることを実感し、会社への愛着と貢献意欲が高まります。その結果、仕事にやりがいを感じ、長期的に企業で働き続ける動機が強化されるのです。

また、離職率の低下により採用コストや研修コストが削減され、ベテラン従業員の豊富な経験と知識が組織に蓄積される点も大きなメリットといえます。

エンゲージメントの高い従業員は、自発的に業務改善やイノベーションに取り組むため、組織全体のパフォーマンス向上も期待できます。

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従業員エンゲージメントを定量的に測定し改善につなげるために、エンゲージメントサーベイを活用しましょう。こちらの記事では、導入手順や活用方法などをわかりやすく解説しています。

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企業ブランディング強化と優秀人材獲得力向上

人材育成に力を入れる企業は、「働きがいのある会社」「成長できる職場」として社会的な評価を得やすくなります。この良好な企業イメージは、優秀な人材の獲得において大きな効果を発揮するでしょう。

求職者へのアピール

スキルアップの機会やキャリア開発の支援が充実している企業は魅力的

【結果】

  • 応募者の質が向上
  • 応募者の量が増加

社内外への好影響

企業の取り組みを外部に発信することで、自然な形でのブランディング効果が期待できる

【結果】

  • 企業のイメージアップ
  • 採用の効率化・コスト削減

優秀な人材の獲得により、さらなる組織力強化と業績向上の基盤が構築されます。

投資家評価向上と資金調達力強化

ESG投資の拡大により、投資家は財務指標だけでなく人的資本の充実度を重要な投資判断基準として評価するようになっています。

適切な人的資本の情報開示は、企業の将来性や成長ポテンシャルを投資家に明確に示す手段となります。これにより、株価の向上や資金調達コストの低減が期待でき、新たな事業展開や設備投資の原資を確保しやすくなるのです。

■優秀な人材獲得で競争力を強化

人的資本経営の成功には、企業文化にマッチした優秀な人材の採用が不可欠です。カラフルエージェントでは、企業の価値観や成長戦略に合致した人材をマッチングし、長期的な人材戦略の実現をサポートします。

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6.人的資本経営を実践する5ステップ

人的資本経営を実践する5ステップ

人的資本経営を効果的に導入するためには、体系的なアプローチが必要です。ここでは、具体的な導入ステップを5つにわけて解説します。

ステップ1:経営戦略と人材戦略の連動

人的資本経営の第一歩は、経営戦略と人材戦略を一体化することです。経営陣が主導して、企業の中長期的なビジョンや事業目標を明確化し、それを実現するために必要な人材像を具体的に定義します。

  • 必要な知識は何か
  • どのようなスキルや経験があるか
  • どの部門にどの程度必要かなど

また、将来の事業環境変化を予測し、新たに必要となる能力や役割も想定しておきましょう。この連動設計により、人材投資の方向性が明確になり、限られた経営資源を効果的に配分できるようになります。

ステップ2:現状と理想のギャップ分析と定量化

経営戦略に基づいて理想の人材ポートフォリオを描いた後は、現在の組織状況との詳細なギャップ分析を実施します。以下の項目に関して、現在の従業員のレベルを客観的に評価し、数値化してください。

  • スキルレベル
  • 経験年数
  • 専門知識
  • 担当業務など

この結果をもとに、不足している能力や過剰な人材配置を明確にし、優先順位をつけて改善計画を策定します。また、ギャップを埋めるために必要な投資額や期間も算出し、経営陣に対して具体的な提案を行ってください。

この分析結果は、今後の採用計画や研修計画、人事制度改革の基礎資料としても活用できます。

ステップ3:人材情報の一元管理システム構築

従業員に関するあらゆる情報を一元的に管理できるシステムを構築しましょう。基本的な個人情報だけでなく、スキル、資格、研修履歴、評価結果、キャリア志向などを統合的に管理し、リアルタイムで更新できる仕組みを整備します。

このシステムにより、人材配置の最適化、適切な研修プログラムの提供、公正な評価・昇進の実現が可能になります。また、人材情報の可視化により、組織全体の強みと弱みを客観的に把握でき、戦略的な人材投資の意思決定を支援します。

POINT

システム導入により、人事業務の効率化と同時に、データドリブンな人材マネジメントの基盤が構築されます。

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ステップ4:「人材版伊藤レポート」のフレームワークを活用した戦略立案

人材戦略の具体的な立案には、経済産業省の「人材版伊藤レポート」で示された「3つの視点(Perspectives)」と「5つの共通要素(Common Factors)」のフレームワークが非常に有効です。

3P・5Fモデルとは

経営戦略と人材戦略を連動させるための実践的な指針となります。

【3つの視点(P)】

  • 経営戦略と人材戦略の連動
    自社の経営戦略を実現するために、どのような人材が必要かを明確にする視点。
  • As is – To be ギャップの定量把握
    理想の人材ポートフォリオ(To be)と現状(As is)のギャップをデータで把握する視点。
  • 企業文化への定着
    定義した人材戦略を、一過性の取り組みで終わらせず、組織の文化として根付かせるための視点。

これらの視点と要素を自社の状況に当てはめて具体的なアクションプランを策定することで、戦略的かつ体系的な人的資本経営を推進できます。

参考:経済産業省「人材版伊藤レポート2.0」

ステップ5:継続的な効果測定と改善サイクル確立

人的資本経営は一度実施すれば完了するものではなく、継続的な改善が必要です。設定したKPIに基づいて定期的に効果測定を行い、目標達成度を評価しましょう。また、以下のような項目を総合的に分析し、施策の有効性を検証します。

  • 従業員エンゲージメント調査
  • スキル習得状況の確認
  • 離職率の推移
  • 生産性の変化など

効果が十分でない場合は、原因を特定して改善策を講じ、より効果的なアプローチに修正します。また、事業環境の変化に応じて人材戦略自体も見直しを行い、常に最適な状態を維持しましょう。

7.人的資本の情報開示ルールと企業が準備すべきこと

人事担当者が気をつけるべき法的リスク

人的資本経営の推進とともに、投資家や社会への情報開示の重要性も高まっています。適切な情報開示は、企業価値の向上や信頼の獲得に直結する重要な取り組みです。

2023年3月期から始まった開示義務の具体的内容

2023年3月31日以降に終了する事業年度から、上場企業に対して人的資本に関する情報開示が義務化されました。有価証券報告書において、サステナビリティに関する取り組みの一環として、女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差などの開示が求められています。

ただし、全ての項目が必須ではなく、各企業の事業特性や重要性に応じて柔軟に対応できる制度設計です。開示する情報は、定量的なデータだけでなく、取り組みの背景や目標、具体的な施策内容も含めて説明することが推奨されています。

この開示義務化により、人的資本経営への取り組みが企業の競争力として評価される時代が本格化しました。

ISO30414の11領域49項目と日本での適用

国際標準であるISO30414では、人的資本に関する情報開示について11の領域で49項目の指標が定められています。

  1. コンプライアンスと倫理
  2. コスト
  3. ダイバーシティ
  4. リーダーシップ
  5. 企業文化
  6. 健康・安全・福祉
  7. 生産性
  8. 採用・異動・離職
  9. スキルと能力
  10. 後継者育成計画
  11. 労働力

日本企業においても、将来的にはこれらの国際基準に準拠した開示が求められる可能性が高く、段階的な対応準備が必要です。

開示情報の選定基準と効果的な伝え方

人的資本の情報開示においては、単なるデータの羅列ではなく、経営戦略との関連性を明確に示すナラティブ(物語的)な説明が求められています。

開示する指標は、企業のビジネスモデルや成長戦略に直結するものを選択し、以下のような内容を具体的に説明しましょう。

  • なぜその指標が重要なのか
  • どのような取り組みを行っているのか
  • 将来的にどのような成果を期待しているのかなど

投資家や社会に対して、人材投資がどのように企業価値向上につながるのかを理解しやすい形で伝えることが重要です。

POINT

年度ごとの進捗状況や改善点も含めて継続的に開示することで、企業の本気度と透明性を示すことができます。

■情報開示に対応した人材戦略の実現

人的資本の情報開示義務化に対応するためには、適切な人材データの収集と管理が重要です。カラフルエージェントでは、開示に必要な指標改善につながる質の高い人材をご紹介し、企業の情報開示戦略をサポートします。

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8.人的資本経営の課題と解決策

採用歩留まりが低下するタイミング

人的資本経営の導入にはさまざまな課題が伴います。あらかじめ課題を把握し、適切な対策を講じましょう。

投資対効果の測定が困難な理由と対策

スキルアップROI測定の課題

課題 スキルアップにおけるROI測定の困難さ

成果の現れ方が複雑で時間がかかるため、定量的な評価が難しい

要因

👥

個人差による
効果のばらつき

📂

業務特性による
成果への影響

この課題を解決するためには、測定可能な指標を明確に設定することが重要です。

  • 生産性の向上
  • 離職率の改善
  • 従業員エンゲージメントの変化
  • 売上高や利益率の推移など

これら複数の指標を組み合わせて総合的に評価します。また、短期的な効果だけでなく、中長期的な視点での効果測定も並行して行い、人材投資の価値を多面的に証明します。

経営層の理解獲得と社内浸透の進め方

経営層の理解と社内浸透の課題

課題 経営層の理解獲得と社内浸透が難しい

要因

🏢

従来のコスト削減志向から
脱却することに抵抗感

人的資本経営がもたらす具体的なメリットを、データと事例を用いて説明し、投資対効果を明確に示すことが重要です。成功企業の事例研究や業界動向の分析を通じて、競争優位性の確保における人材投資の重要性を訴求します。

社内浸透については、段階的なアプローチが効果的です。パイロットプロジェクトから始めて小さな成功を積み重ね、その効果を社内に広く共有します。

人事システム整備の重要性と選定ポイント

人事システムの課題

課題 適切な人事システムが整っていない

要因

📊

従来のExcelベースの管理では、リアルタイムな情報更新や複雑な分析が困難で、戦略的な人材活用に限界がある

人事システムの導入を検討しましょう。システム選定の際は、まず自社の業務フローや組織構造に適合するかを慎重に検討します。人材情報の一元管理、スキル管理、研修管理、評価管理などの機能が統合されており、将来的な拡張性も備えているシステムを選択しましょう。

システム導入により、データドリブンな人材マネジメントの基盤が整います。

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人的資本経営の推進には従業員のスキル向上が不可欠です。変化する時代に対応するためのリスキリング施策を導入することで、組織の競争力強化と従業員の成長を同時に実現できます。

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9.人的資本経営で企業の未来を切り開く

人的資本経営は、変化の激しい現代において、企業が持続的な成長を目指すための重要な経営手法です。従来の「人材=コスト」という発想から脱却し、人材を価値創造の源泉として戦略的に活用することで、従業員と企業がともに成長する好循環を生み出せます。

また、情報開示の義務化により、人的資本への取り組みは企業価値を測る重要な指標となり、投資家や社会からの評価にも直結しています。人的資本経営の推進は容易ではありませんが、今後の経営において避けて通れないテーマです。今のうちから着実に取り入れていきましょう。

■人的資本経営を支える戦略的人材採用

人的資本経営の成功には、企業の成長戦略に合致した優秀な人材の継続的な確保が重要です。カラフルエージェントでは、企業の人的資本戦略に応じた最適な人材をご紹介し、持続的な企業価値向上を実現するお手伝いをいたします。

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人的資本経営では従業員の心理的安全性を高めることが重要です。安心して発言や行動できる環境を整備することで、イノベーションの創出と組織パフォーマンスの向上を実現できます。

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