「正社員の採用が思うように進まない」「急な欠員や繁忙期の人手不足にどう対応すればよいか」と悩んでいませんか?人材派遣とは、派遣会社が雇用する労働者を企業の指揮命令のもとで働かせる仕組みです。
柔軟な人材確保や専門スキルを持つ即戦力の活用、採用コストの削減など、企業の人材戦略を支える重要な制度として注目されています。
- 人材派遣の基本的な仕組みと法的な位置づけ
- 人材派遣を活用する5つのメリットと注意すべき法的制限
- 派遣会社の選び方から導入・運用までの具体的なステップ
1.人材派遣とは?基本の仕組みと概要

「正社員の採用が思うように進まない」「急な欠員や繁忙期の人手不足にどう対応すればよいか分からない」などのニーズがあれば、人材派遣を検討するのがおすすめです。以下では、人材派遣の基本的な仕組みを解説します。
人材派遣の定義と法的位置づけ
法的には、「労働者派遣法(正式名称:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)」に基づき厳格に規定されています。
派遣は、正社員や業務委託とは異なり、一定のルールと制限のもとで活用する必要があります。
派遣元・派遣先・派遣労働者の関係
人材派遣には、以下の三者が関与します。
- 派遣元(派遣会社):労働者と雇用契約を結び、給与を支払う事業者
- 派遣先(受け入れ企業):実際の業務を指示・管理する企業
- 派遣労働者:派遣元に雇用され、派遣先で就業する働き手
業務上の指示は派遣先が出しますが、雇用責任は派遣元が負います。派遣先の企業にとって、柔軟に人材を確保しつつ、雇用リスクを軽減できる制度です。
労働者派遣法の基本と押さえるべきポイント
労働者派遣法には、派遣労働を行ううえでのルールや制限が詳細に定められています。詳しくは後述しますが、人事担当者として知っておきたい主なポイントは、以下の4つです。
労働者派遣法のポイント
- 派遣期間制限
同一の業務に対して同じ人材を派遣できるのは原則3年まで - 派遣禁止業務の存在
港湾業務、建設業務など一部の業務では禁止 - 同一労働同一賃金の原則
正社員と同等の待遇を求めるルールが適用(2020年から本格施行) - 指名禁止
特定の人の指名は原則不可
上記を守らないと違法派遣と見なされ、行政指導や改善命令、最悪の場合は契約解除・損害賠償のリスクもあります。法改正も頻繁に行われているため、逐一内容を確認してください。
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2.人材派遣と他の人材調達方法との違い

人材派遣と混同しやすい単語として、「人材紹介」「業務委託」「アウトソーシング」などがあります。人材派遣がそれぞれの方法とどのように異なるのか、詳しく解説します。
人材紹介との明確な違い
人材派遣と人材紹介の違いを表にまとめました。
項目 | 人材派遣 | 人材紹介 |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 | 企業(紹介先) |
雇用契約 | 派遣スタッフ ↔ 派遣会社 | 人材 ↔ 企業(直接雇用) |
サービス内容 | 必要な人材を派遣するサービス | 採用支援を行うサービス |
選考過程 | 派遣会社が選んだ人材を派遣 | 紹介された人に対して企業が選考 |
契約期間 | 比較的短期 | より長期的な関係を重視 |
雇用リスク・社会保険 | 派遣元(派遣会社)が負担 | 企業が負担 |
人材派遣と人材紹介は、他にも以下のような違いがあります。
- サービス内容
人材派遣は必要な人材を派遣するサービスだが、人材紹介は採用支援を行う - 選考過程
人材派遣は派遣会社が選んだ人材を派遣するが、人材紹介は紹介された人に対して選考を行う - 契約期間
人材派遣は比較的短期であり、人材紹介はより長期的な関係を重視
仕組みを理解すれば、違いも分かりやすくなります。
業務委託やアウトソーシングとの比較
アウトソーシング(業務委託を含む)は、あくまで業務の遂行そのものを外部の企業に任せる仕組みです。
業務のやり方や進め方については、アウトソース先の責任者が管理・指導します。発注元である企業が、個々のスタッフに直接指示を出すのは基本的に不可能です。
一方、人材派遣は、業務の指示を派遣先(自社)が直接出せます。派遣会社はスタッフを雇用し、給与を支払いますが、日々の業務管理は派遣先の担当者によって行われるのが原則です。
アルバイト・パート採用と比べた特徴
アルバイトやパートは、企業が直接雇用する労働者であり、雇用契約の手続きや給与計算、社会保険対応などはすべて企業側の責任です。
つまり、アルバイト・パート採用と人材派遣は、「直接雇用か間接雇用か」という点で大きく異なります。

人材派遣では、管理の手間を派遣会社が担うため、管理コストを抑えつつ即戦力を確保しやすくなります。また、派遣労働者には専門スキルを持つ人材も多く、即戦力として期待しやすいのも大きな利点です。
よくある人材派遣活用シーン
人材派遣は、主に以下のような場面で活用されています。
- 繁忙期の一時的な増員
年末調整や決算期など、短期で人手が必要な時期に対応する - 専門スキルを持つ人材の確保
経理・IT・翻訳など、専門性の高い業務を補完する - 正社員採用のミスマッチ回避
見極め期間を経てから直接雇用に切り替える - 急な欠員への対応
育休や退職など、突発的な人手不足にスムーズに対処する
自社の状況や課題に応じて適切に派遣を活用できれば、人手不足への柔軟な対応はもちろん、採用コストや雇用リスクの軽減にもつながります。
3.人材派遣の種類3つ|雇用形態の違いと効果的な活用方法

人材派遣は、契約形態や雇用の仕組みによって複数のタイプに分かれています。以下で、主に活用されている3つの派遣形態を解説します。
登録型派遣
登録型派遣は、一般的に知られている派遣形態です。
企業側にとって、必要な時に必要な期間だけ人材を確保できるという柔軟性が大きな魅力です。繁忙期や欠員補充など、一時的な人手不足への対応に向いています。
常用型派遣
常用型派遣は、派遣スタッフがあらかじめ派遣会社と無期雇用契約を結んでいる点が特徴です。
プロジェクト単位での長期的な人材活用や、業務の安定性が求められる場面に適しています。また、人材の定着率が比較的高く、教育コストの抑制にもつながります。
紹介予定派遣
紹介予定派遣は、一定期間(最長6か月)派遣スタッフとして働いた後、双方合意のもとで正社員や契約社員として直接雇用に切り替える仕組みです。
ミスマッチのリスクを減らし、定着率の高い採用につながるのが大きな利点です。将来的な戦力を見込んだ採用を検討している企業にとって、良い選択肢です。
▼トラックドライバーの派遣会社
以下の記事では、ドライバー不足の解決策としてのドライバー派遣の活用法を解説しています。派遣会社の選び方やよくある疑問にも答えていますので、ぜひ参考にしてください。
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4.企業が人材派遣を活用する5つのメリット

人材派遣を上手に活用できれば、計画的な人材戦略につながります。以下に、人材派遣を活用する主なメリットを5つ解説します。
①必要な時に必要な人材を確保できる柔軟性
人材派遣の大きな強みは、必要な人数・スキルを持つ人材を柔軟に確保できる点
例えば、社員が急に退職した際や、産休・育休中の代替要員が必要な場合にも、スムーズに対応できます。
自社で採用活動を行うには時間や労力がかかりますが、派遣であれば即日〜数日で受け入れが可能なケースも珍しくありません。
業務量が変動しやすい企業や、年間を通じて人員が安定しない職場でも、過不足のない体制を構築しやすくなります。
②採用コストと時間の大幅削減
人材派遣を活用すれば、派遣会社が採用活動を代行してくれるため、さまざまなコストを節約しつつ人材を確保できる
自社での人材採用には、求人広告の出稿費や選考にかかる人件費、面接の調整などさまざまなコストと時間が必要です。しかも、ミスマッチが起きれば再採用の手間が発生し、業務にも支障が出かねません。
その点、人材派遣であれば採用だけでなく、雇用契約や社会保険の手続きなど労務管理の手間も大幅に軽減されます。
これにより本来の業務に集中できる時間を確保でき、特に人手が限られている中小企業にとって大きなメリットとなります。
▼採用費用の削減について
以下の記事では、採用費用の相場から具体的な削減方法、成功事例まで解説しています。企業規模別の費用分析と実践的なコスト削減アプローチも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
③専門スキルを持つ人材の即戦力としての確保
近年の人材派遣市場では、一般事務だけでなく経理・財務・IT・語学対応など、専門スキルを持つ人材の登録も増えています。
人材派遣を利用すれば、社内に特定の知識やスキルが不足している業務に対しても、即戦力として対応できる人材を確保できる
新たなシステムの導入時や、海外取引に関わるプロジェクトなど、一定期間だけ専門性の高い業務を任せたいといったニーズへの対応も可能です。
通常であれば高額な人件費がかかるようなプロフェッショナル人材でも、派遣であれば必要な期間だけ導入できるため、コストを抑えつつ高い成果を期待できます。
④繁忙期や一時的なプロジェクトへの対応力強化
人材派遣は、「対応力」の面でも大きなメリットがあります。
企業によっては、決算期、イベント開催、商品リリースなど特定の時期に業務量が大きく増加するケースがあります。
しかし、特定の時期に合わせて正社員を採用するのは非効率であり、長期的な人員過剰にもつながりかねません。
人材派遣であれば、必要な時期だけ人材を増員し、繁忙期が過ぎれば契約終了という形で柔軟に調整できる
短期プロジェクトの立ち上げ時などにも即戦力を確保できるため、スピーディーな体制構築が可能です。
常に一定の人員を抱えるのではなく、「変動に合わせてフレキシブルに人材を補充したい」というニーズに合っています。
⑤正社員採用のリスク軽減と試用期間的活用
人材派遣には紹介予定派遣という仕組みがあり、派遣期間中に業務適性や社風との相性を確認したうえで、正社員登用に切り替えられます。
紹介予定派遣を活用することで、履歴書や面接だけでは分からない部分まで見極めつつ採用判断ができる
正社員を一度採用すると、簡単には解雇できない法的な制約もあるため、企業は採用に慎重にならざるを得ません。
派遣期間を通してその人の適性を見極められることは、企業にとって大きな利点です。定着率の高い採用を行いたい場合は、人材派遣の仕組みを深く理解することが重要です。
▼効果的な採用戦力について
以下の記事では、運送業界のドライバー不足の実態と採用成功のための戦略を解説しています。採用担当者がすべきことや専門サービスの活用法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
5.人材派遣活用時の注意点と法的制限

人材派遣は便利な制度ですが、法律に基づいたルールを守らなければ、違法と判断される可能性があります。以下で、実務上よくある注意点と、違反しやすい部分を解説します。
派遣社員の指名はできない
企業側が「この人をまた派遣してほしい」「前の人が良かったから、あの人を指定したい」と希望するケースがあります。しかし原則として、特定の派遣スタッフの指名は認められていません(紹介予定派遣を除く)。
これは、指名によって公平性が損なわれるリスクがあるためです。どうしても同じ人材を希望する場合は、派遣会社を通じて再度提案する必要があります。
派遣期間に制限がある
同一の派遣スタッフを同じ部署・同じ業務内容で受け入れられる期間には制限があります。一般的な業務の場合、原則として最長3年間までです。
部署単位でも受け入れ期限が設定されており、継続的な受け入れを希望する場合は、直接雇用の検討が必要になります。制限を超えて受け入れを続けると、違法派遣と判断される可能性があるため注意しましょう。
派遣が禁止されている職種がある(派遣禁止業務)
労働者派遣は、すべての業務で利用できるわけではありません。建設業務や港湾運送業務、警備業務など、一部の業務では法律において派遣が禁止されています。
万が一、該当する業務で派遣を利用した場合は、契約の無効や行政指導の対象になるリスクがあります。導入前に、業務内容が該当していないかを確認してください。
契約した業務範囲内しか依頼ができない
派遣契約には、業務の内容や範囲を明確に記載する必要があります。そして、契約外の業務は派遣スタッフに依頼できません。
例えば、事務職で契約しているのに、軽作業や営業補助など他の業務を任せると契約違反になります。業務内容に変更が生じた場合は、派遣会社と協議のうえ、契約を更新・変更する必要があります。
偽装請負にならないように注意
形式上は業務委託や請負契約でも、実際には企業側が個々のスタッフに直接指示を出していると、「偽装請負」と見なされる可能性があります。
偽装請負は違法であり、是正指導や契約の打ち切りリスクも発生します。人材派遣は、企業が業務指示を行える仕組みですが、契約形態との整合性をよく確認することが重要です。
契約解除時の注意点
派遣契約を途中で終了する場合でも、一方的な解除は基本的に認められていません。契約期間満了までの就業が前提となっており、やむを得ない事情がある場合も、派遣会社と十分に協議しつつ手続きを踏む必要があります。
契約期間満了の場合は、更新の有無を通知してください。契約終了になる場合は、引継ぎなどを滞りなく進めます。
派遣先責任者を選任する
派遣労働者を受け入れる企業には、「派遣先責任者」の選任が義務づけられています。選任された責任者は、派遣スタッフの労働環境を整えるとともに、派遣元との連携やトラブル対応なども担当します。
派遣先責任者は、派遣法に基づく基礎的な教育を受けている必要があり、派遣の適正な受け入れ体制を構築する要となる存在です。
同一労働同一賃金を守る
2020年から適用されている「同一労働同一賃金」のルールにより、派遣スタッフにも正社員と同様の待遇を確保する必要性が生じました。
適切な待遇差が説明できない場合は、是正勧告の対象となる可能性もあるため注意が必要です。
6.派遣料金の仕組みと適正価格

派遣料金の構成は一見分かりにくく、適正かどうかの判断が難しいケースもあるかもしれません。以下では、職種ごとの料金相場やマージンの知識、適正価格で導入するためのポイントを解説します。
職種別の派遣料金相場
厚生労働省「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によれば、令和5年度における職種ごとの相場は以下の通りです。
- 全業務:25,337円
- 一般事務従事者:17,578円
- 営業・販売事務従事者:18,813円
- 介護サービス職業従事者:15,884円
- 接客・給仕職業従事者:15,689円
- 機械組立従事者:17,549円
- 清掃従事者:14,549円
職種によって偏りがあり、医者や士業など専門性の高い人材は平均派遣料金が高くなる傾向です。
マージン率の理解と内訳
派遣料金のうち、派遣スタッフの手取り分を除いた残りが「マージン」に相当します。マージンは派遣会社の利益だけでなく、さまざまなコストを含んだものです。内訳は、以下のようになっています。
- 法定福利費(社会保険料等)
- 有給休暇費用
- 派遣会社の人件費(営業・労務管理)
- 教育研修費
- 営業利益
厚生労働省「マージン率等の情報提供について」によれば、マージン率の平均は30〜40%程度です。あまりにも高すぎる場合は内訳の説明を求め、適正かどうか確認するとよいでしょう。
派遣料金の適正化と交渉のポイント
派遣料金が高すぎると感じる場合は、契約更新時や新規契約の際に見積もりの明細を提示してもらうことが重要です。マージン率の内訳を確認すれば、交渉の材料にもなります。

同一業務を複数人で受け入れる際は、業務範囲の明確化や職種の見直しにより単価を調整できるケースもあります。
ただし、安さだけを重視すると、スタッフの質や定着率に影響が出るリスクもあるため慎重な判断が求められます。
料金交渉では、「適正な価格で、質の高い人材を確保する」ことを目的としてください。相場感を把握したうえで、複数の派遣会社に見積もりを依頼するのが現実的な進め方です。
7.最近の人材派遣の平均給与・求人動向

厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」によれば、派遣スタッフの時給は1,500円未満が全体の過半数を占めています。
求人動向としては、男性であれば製造業務、女性であれば一般事務の求人数が多めです。また、倉庫作業やソフトウェア開発などの分野でも人材派遣の活用が進んでいます。
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8.人材派遣会社の選び方と評価基準

人材派遣会社に相談する際は、さまざまな点を考慮しなければなりません。選定時に最低限押さえるべき3つのポイントを解説します。
①業界特化型と総合型の比較
派遣会社は、大きく「業界特化型」と「総合型」に分けられます。自社の業務内容や求める人材像に応じて、どちらが適しているかを判断してください。
業界特化型…特定の業種や職種に特化しており、専門スキルや業務知識に長けた人材の提案力に強みがある
総合型…多様な業種・職種に対応しており、事務・軽作業・製造など幅広い人材を紹介できるのが特徴
②派遣会社の信頼性を判断する優良派遣事業者認定とは?
派遣会社が信頼できるかどうかを客観的に判断する指標として、「優良派遣事業者認定制度」があります。
厚生労働省の委託事業として創設され、一定の基準を満たす派遣会社に対して認定が与えられるものです。認定を受けている企業は公開されており、認定バッジを公式サイトなどで確認できます。
③派遣会社の質を見極めるポイント
信頼できる派遣会社を選びたい場合は、以下の点も重視してください。
派遣会社選びのポイント
- ヒアリング力
- スタッフの定着率や就業実績
- 契約書や説明資料の明瞭さ
- トラブル時の対応体制
複数社を比較して見積もりを取得し、価格だけでなく対応力や提案力も評価するとよいでしょう。
▼タクシードライバー派遣について
以下の記事は、タクシー会社向けのドライバー派遣活用ガイドになります。人手不足解消のメリットから法令順守のポイント、実務対応まで解説していますのでぜひ参考にしてください。
9.人材派遣導入の具体的ステップ

人材派遣を効果的に活用するには、段階ごとのポイントを押さえる必要があります。大まかな導入ステップを具体的に解説します。
派遣活用の目的の明確化
まずは、なぜ派遣を活用したいのかをはっきりさせましょう。
例えば、「繁忙期の一時的な人手不足を補いたい」「専門スキルを持つ人材が一時的に必要」「将来的な正社員登用を見据えた紹介予定派遣を希望」など、目的によって必要な人材や契約形態が変わります。
派遣会社への依頼から契約締結までのプロセス

目的が定まったら、次に派遣会社を選び、条件を伝えて依頼します。基本的な流れは「相談」「ヒアリング」「提案」「契約締結」です。
派遣会社がヒアリングをもとに候補者を提案し、企業側が了承すれば「労働者派遣契約書」を締結します。契約には、派遣料金や業務範囲、就業条件などが明記されます。
派遣社員受け入れ前の社内準備と環境整備
契約締結後、派遣社員がスムーズに業務に入れるよう、社内体制と作業環境を整える必要があります。業務マニュアルの準備や作業場所・PCの設備手配、社内関係者への共有などさまざまです。
派遣契約の更新と終了時の手続き
派遣契約は、基本的に一定期間の更新制です。更新手続きをする場合は、期間や条件に変更がないかを確認し、再契約書を取り交わします。
契約終了する場合は、派遣社員本人・派遣会社・社内関係者への連絡を早めに行い、スムーズな業務引継ぎができるよう配慮してください。突然の打ち切りは原則NGなので、計画的な調整を心がけましょう。
10.派遣から直接雇用への切り替え|メリットと手順

人材派遣は一時的な人手確保だけでなく、将来の正社員候補を見極める手段としても活用できます。ここでは、直接雇用への切り替えに関する基本情報と注意点を解説します。
紹介予定派遣と一般派遣からの切り替えの違い
前述のように「紹介予定派遣」は、あらかじめ直接雇用を前提として一定期間(最長6か月)派遣する仕組みです。最初から社員登用を前提としているため、派遣会社側の対応もスムーズです。
一般派遣から直接雇用に切り替える場合は、事前の合意がないことも多く、派遣会社との調整が必要です。
特に派遣期間中に直接雇用するのは「引き抜き」と見なされ、派遣元との契約違反になることもあるため注意しましょう。
直接雇用に切り替える際の法的手続きと注意点
直接雇用へ切り替える場合、企業は派遣契約を終了し、新たに労働契約(正社員・契約社員など)を結ばなければなりません。
雇用契約締結時には、労働条件通知書や雇用契約書の交付など、通常の採用と同様の労務手続きが必要です。
契約内容が曖昧なままだと、後々トラブルの元になる恐れがあるため、法的な手続きは丁寧に進めましょう。
派遣から正社員転換の成功事例
Aさんは、ITベンチャー企業で派遣エンジニアとして勤務していました。配属当初から即戦力として期待され、チームの課題にも積極的に取り組みました。
派遣期間中、自発的に新しいプログラミング言語を習得し、社内プロジェクトの効率化にも貢献しています。
また、社内ミーティングでも遠慮せずに意見を述べ、周囲からの信頼を獲得しました。派遣元とも情報共有を重ねながら、将来的な正社員登用の意思を伝え続けていた結果、半年後に正社員として採用されました。
11.人材派遣とはを理解して戦略的活用を
人材派遣は、企業の多様な人材ニーズに応える柔軟性の高い制度です。繁忙期の一時的な増員から専門スキルを持つ即戦力の確保、正社員採用のリスク軽減まで、様々な場面で活用できます。
ただし、派遣期間制限や派遣禁止業務、同一労働同一賃金などの法的ルールを遵守することが不可欠です。
信頼できる派遣会社を選び、明確な目的を持って導入すれば、採用コストの削減と効率的な人材戦略の実現につながります。人材派遣を戦略的に活用し、組織の成長を支える人材体制を構築していきましょう。