リファラル採用の導入を検討しているものの、「社員にどう依頼すればいいかわからない」「違法にならないか心配」と悩む担当者も多いでしょう。
リファラル採用は、マッチ度の高い人材を低コストで採用できる有効な手法ですが、進め方を間違えると社員との信頼関係を損なうリスクもあります。
この記事では、リファラル採用の基礎知識から、トラブルを防ぐための導入手順、すぐに使える社内メールのテンプレートまで、人事・採用実務の視点から体系的に解説します。
- リファラル採用の仕組みと、縁故採用(コネ)との決定的な違い
- 【そのまま使える】社内への協力依頼メールや不採用通知のテンプレート
- メルカリや富士通など、成功企業の具体的な取り組み事例と成果
1.リファラル採用とは?縁故採用との違い

「リファラル(Referral)」とは「推薦・紹介」を意味します。リファラル採用とは、自社の社員に知人や友人を紹介してもらい、選考を行う採用手法です。
求人サイトや人材紹介会社を通さず、自社の社風や仕事内容をよく知る社員のつながりを活用するため、ミスマッチが起きにくいのが特徴です。
よく混同されるのが「縁故採用(コネ採用)」ですが、この2つには明確な違いがあります。
| 選考 | 目的 | 求職者の質 | |
|---|---|---|---|
| リファラル採用 | あり | 人材の確保・質の向上 | スキルやカルチャーマッチを重視 |
| 縁故採用(コネ) | なし | 紹介者との関係維持・義理 | 紹介者との関係性を重視 |
リファラル採用はあくまで「母集団形成」の一つの手段であり、紹介されたからといって必ず採用するわけではありません。公正な選考プロセスを経る点が、コネ採用とは決定的に異なります。
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リファラル採用は、応募者を集める母集団形成の戦略のひとつです。こちらの記事では、母集団形成の基本的な考え方から8つの実践ステップ、効果的な手法まで詳しく解説しています。質の高い候補者を効率的に集めるためのヒントが満載です。
2.なぜ今人気?導入する3つのメリット

多くの企業がリファラル採用に力を入れる背景には、厚生労働省の「雇用動向調査」などのデータが示す通り、近年の労働人口減少による「採用難」があります。ここでは、企業が得られる3つの大きなメリットを解説します。
参照:厚生労働省「雇用動向調査」
メリット1|採用コストを削減できる
転職エージェントなどの一般的な人材紹介を利用すると、採用決定時に想定年収の30〜35%程度の手数料が発生します。年収400万円の人材なら、1人あたり120〜140万円かかる計算です。
一方、リファラル採用にかかる費用は、主に紹介してくれた社員への「インセンティブ」や会食費の実費のみです。
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採用コストの削減には、現状把握が必要です。こちらの記事では、企業規模別の採用費用相場から具体的な削減方法、成功企業の事例まで詳しく解説しています。リファラル採用と他の手法を組み合わせることで、さらなるコスト最適化を目指しましょう。
メリット2|定着率が高く、早期離職が少ない
社員は自社の「良いところ」も「大変なところ」も知った上で知人を紹介します。求職者も、実際の働き方を事前に聞けるため、入社後の「思っていたのと違う」というミスマッチが起こりにくくなります。
入社経路別の定着率比較
求人サイト等からの
採用
入社1年未満の離職率
リファラル
採用
入社1年未満の離職率
参照:リクルートワークス研究所「米国の従業員リファラル採用のしくみ」
■採用のミスマッチを防ぎたいとお考えの担当者様へ
リファラル採用は定着率向上に効果的ですが、ドライバー人材をお探しであれば、特化型の人材紹介サービス「カラフルエージェント ドライバー」もおすすめです。紹介後のアフターフォローも充実しており、定着率向上をサポートします。
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メリット3|転職市場にいない「潜在層」に出会える
優秀な人材ほど、現職で活躍しており、転職活動をしていないケースが多いものです。こうした「転職潜在層」にアプローチできるのも、社員の人脈を使うリファラル採用ならではの強みと言えます。
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採用ミスマッチは企業にとって大きな損失です。こちらの記事では、ミスマッチが起こる7つの原因と具体的な防止策を詳しく解説しています。リファラル採用と組み合わせることで、より精度の高い採用活動を目指しましょう。
3.事前に確認!デメリットと解決策

メリットの多いリファラル採用ですが、人間関係が絡むため特有のリスクもあります。事前にデメリットを把握し、対策を打っておくことが重要です。
人間関係のトラブルリスク
もし紹介された人が不採用になった場合、紹介した社員と候補者の関係、あるいは社員と会社の関係が気まずくなる恐れがあります。

【解決策】
事前に「紹介=採用確約ではない」ことを明確に伝えておきましょう。不採用の場合は、紹介してくれた社員へのフォローも行ってください。
人材の同質化(似たタイプが集まる)
「類は友を呼ぶ」という言葉通り、社員の紹介ばかりに頼ると、考え方や背景が似た人ばかりが集まり、組織の多様性が失われる可能性があります。

【解決策】
リファラル採用一本に絞るのではなく、他の採用手法も併用してバランスを取ることが大切です。
■人材紹介とあわせて、幅広い人材を確保しましょう
リファラル採用とあわせて、人材紹介も活用することで、幅広く多様性のある組織作りを目指しましょう。カラフルエージェント ドライバーでは、登録者の91%以上が必要な資格を保有しているため、即戦力となるドライバーをすぐにご紹介できます。
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4.失敗しない!導入4ステップと【そのまま使えるメール文面】

リファラル採用を導入するための具体的な手順を解説します。すぐに使えるメールテンプレートも用意しましたので、ぜひ活用してください。
ステップ1:ターゲット設定とインセンティブ設計
まずは「どんな人が欲しいか」を明確にします。また、紹介してくれた社員への報酬(インセンティブ)も決めましょう。
【具体例】
- 支給条件: 入社から3ヶ月経過後に支給、など
- 金額設定: 1名あたり3万円〜30万円程度が一般的
ステップ2:社内周知と協力依頼
制度ができたら、社員に協力を呼びかけます。「人事の手伝い」ではなく「一緒に働く仲間探し」という文脈で伝えるのがポイントです。
【そのまま使える】全社員向け「協力依頼メール」テンプレート
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社員への協力依頼と同時に、採用要件の明確化も重要です。こちらの記事では、効果的な採用要件の作り方を7つのポイントで解説しています。ターゲット人材の具体化から評価基準の設定まで、採用成功率を高めるノウハウが詰まっています。
ステップ3:選考・不採用時の対応
紹介があったら、できるだけスピーディーに対応します。紹介してくれた社員の顔を立てる意味でも、放置は厳禁です。 万が一不採用となる場合は、候補者への通知だけでなく、紹介社員へのお礼とフォローを忘れずに行いましょう。
【そのまま使える】紹介者との関係を壊さない「不採用通知(社員向け)」
ステップ4:フィードバックと継続的な発信
一度の告知だけでは、どうしても社員の記憶に残りにくいものです。以下のような情報を継続的に発信し、「そういえば紹介制度があったな」と思い出してもらえる状態をつくりましょう。
- 現在〇名の方が入社決定しました!
- 〇〇部で大量募集中です。
- 期間限定、インセンティブ+1万円キャンペーン!など
このような発信を続け、制度を風化させないことが大切です。定期的な周知が、紹介行動の定着につながります。
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継続的な採用活動には、企業の魅力を効果的に発信する採用ブランディングが欠かせません。こちらの記事では、採用ブランディングの基礎知識から実践ステップ、成功企業の事例まで詳しく解説しています。
5.参考にしたい!リファラル採用の成功事例3選

実際にリファラル採用で成果を上げている企業の事例を紹介します。自社で取り入れられる工夫がないか探してみましょう。
事例1:株式会社メルカリ
株式会社メルカリでは、リファラル採用制度を手軽に利用してもらえるよう、 社員が知人と食事をする際の費用を会社が負担する制度を導入しました。いきなり「面接」ではなく、「ご飯でもどう?」とカジュアルに誘える仕組みを作り、紹介の心理的ハードルを下げたのです。
▼その結果
- 全採用の6割以上がリファラル経由となり、採用コストを大幅に削減
- カルチャーマッチした人材が多く入社し、組織の拡大と文化の維持を両立

【こんな企業におすすめ】
社員同士の仲が良く、フランクな社風の企業に適しています。
参照:Wantedly「リファラル採用の成功事例12選」
事例2:freee株式会社
freee株式会社では、「採用は全員で行うもの」という文化を掲げ、リファラル採用を「友だち紹介」ではなく、一緒にビジョンを実現する仲間探しと再定義しました。インセンティブなどの高額な報酬ではなく、共感を重視したのです。
▼その結果
- 社員が自発的に知人を紹介する文化が定着
- ミスマッチの少ない、熱量の高い組織を作ることに成功

【こんな企業におすすめ】
やりがいに訴求したい、企業理念やビジョンを重視する企業に適しています。
参照:HR NOTE「freeeのリファラル3カ条」
事例3:富士通株式会社
富士通株式会社では、いきなり全社展開せず、一部の部署でスモールスタートを実施しました。ポスター掲示などで地道に認知を広げつつ、「キャリア登録」という緩やかなつながりを作る仕組みを用意したのです。
▼その結果
- 徐々に現場の理解が得られ、制度利用者が増加
- キャリア採用の重要なチャネルとして機能するようになった

【こんな企業におすすめ】
従業員数が多く、コンプライアンス意識が高い大手企業や老舗企業に適しています。
参照:d’s JOURNAL「富士通、freeeが取り組む、リファラル採用成功の秘訣」
6.違法になる?報酬相場と法的リスク

リファラル採用で最も注意が必要なのが、紹介してくれた社員への謝礼に関する法的リスクです。
インセンティブの相場は?
一般的には、数万円〜30万円程度が相場とされています。専門職や採用難易度が高い職種ほど高額になる傾向がありますが、あまりに高額すぎると「人材紹介業」とみなされるリスクがあるため注意が必要です。
職業安定法に違反しないためのポイント
職業安定法第40条では、原則として労働者の募集に関して報酬を与えることを禁止しています。ただし、以下の条件を満たす場合に限り、例外として認められています 。
制度を設計する際は、必ず就業規則に規定を盛り込み、賃金の一部として処理することが求められます。
参照:e-Gov法令検索「職業安定法」
■法令遵守の採用活動をサポート
カラフルエージェント ドライバーは、職業安定法に則った適切な採用支援を提供しており、企業様は安心して人材確保に専念できます。リファラル採用と併用することで、多様な採用チャネルを確保しながら、コンプライアンスリスクも最小限に抑えられます。
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7.【Q&A】リファラル採用のよくある質問

リファラル採用を進める中で、現場からはさまざまな質問が生まれます。ここでは、特に寄せられやすい疑問をQ&A形式で整理しました。
Q.紹介してくれた社員が退職済みの場合は?
A.インセンティブ支給時点で在籍している社員を対象とすることが一般的です。
トラブル防止のため、規定に「支給日に在籍していること」を明記しておくとよいでしょう。
Q.ノルマを設けてもいいですか?
A.ノルマの設定は避けるべきです。
紹介を強制すると、社員のモチベーション低下や「ブラック企業」という悪評につながる恐れがあります。あくまで自発的な協力をお願いするスタンスを保ちましょう。
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リファラル採用以外の採用手法も検討したい方には、ダイレクトリクルーティングもおすすめです。企業から候補者に直接アプローチする手法で、転職潜在層にもリーチできます。こちらの記事では、基礎知識から実践的な運用方法、サービス選びのポイントまで詳しく解説しています。
8.信頼されるリファラル採用を目指して
リファラル採用は、採用コストの削減や定着率の向上など、企業にとって多くのメリットがある手法です。 しかし、成功の鍵を握っているのは、ツールや報酬の金額ではなく、社員との「信頼関係」です。
社員が「自分の大切な友人をこの会社に紹介したい」と思えるような、魅力的な組織づくりこそが、本質的なリファラル採用対策といえるでしょう。 まずは、今回ご紹介したメールテンプレートなどを活用し、無理のない範囲で小さな一歩から始めてみましょう。
■リファラル採用と人材紹介サービスの併用で万全の体制を
カラフルエージェント ドライバーなら、リファラル採用の補完として、即戦力となる優秀なドライバーを迅速にご紹介できます。月額費用や初期費用は一切不要の完全成功報酬制なので、採用リスクを抑えながら複数の採用チャネルを確保できます。
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