売り手市場が続くなか、ナビサイトへ求人を掲載しても「学生が集まらない」「エントリーはあるものの自社に合う人材が見つからない」といった悩みを抱える人事担当者は少なくありません。
こうした状況を踏まえ、これまでの“待ちの採用”から、より能動的に学生へアプローチする手法へ転換する動きが広がっています。その代表的な選択肢の一つが、「新卒エージェント(新卒人材紹介)」の活用です。
本記事では、職業安定法に基づくサービスの法的位置づけに触れつつ、新卒エージェントの仕組みや費用相場、メリット・デメリットなどを分かりやすく整理します。
- 成果報酬型の仕組みや、具体的な採用コストの相場がわかる
- 工数削減やミスマッチ防止など、導入によるメリットを理解できる
- 自社に最適なエージェントの選び方や、失敗しない活用法が掴める
1.新卒エージェント(新卒人材紹介)とは?

新卒エージェントの仕組みや特徴といった「基礎」を押さえることで、自社に合った活用イメージを持ちやすくしましょう。
新卒エージェントとは?成果報酬型のビジネスモデルと仕組み
新卒エージェントとは
職業安定法において「有料職業紹介事業」と定義されるサービス。企業と学生の間に専任のアドバイザーが入り、企業の採用要件にマッチした学生を紹介する「仲介型」の採用手法。
新卒エージェントの最大の特徴は、収益構造が「成果報酬型」である点です。初期費用や求人の掲載費用は原則として発生しません。アドバイザーから学生の紹介を受け、選考を行い、最終的に「内定承諾」や「入社」が決まった時点で初めて紹介手数料が発生します。
つまり、何人紹介を受けても、何回面接をしても、採用に至らなければ費用は発生しません。企業にとっては「採用できるまでコストが発生しない」という点で、財務的なリスクを抑えられる仕組みと言えます。
求人サイトとの決定的な違い
「就職情報サイト」と「エージェント」の違いは、採用活動のプロセスとコスト構造にあります。
| ナビサイト | エージェント | |
|---|---|---|
| 仕組み | サイトに求人広告を出し、学生からの応募を待つ | プロが要件に合う学生を選んで紹介する |
| コスト | 掲載時に数十万~数百万の費用が発生。採用人数に関わらず費用は固定 | 採用決定時にのみ費用が発生 |
| 特徴 | 広く多くの学生に周知できるが、母集団形成やスクリーニングは自社で行う必要がある | 母集団は作れないが、ターゲット層にピンポイントでアプローチできる |
「大量採用を目指すならナビサイト」「厳選採用でマッチングの質を追うならエージェント」というように、採用フェーズや職種によって使い分けることが重要です。
就活エージェントを利用している学生は全体の約24.0%
就活総合研究所が2025年卒・2026年卒を対象に行った調査によると、学生の74.5%がエージェントを認知している一方で、実際に利用しているのは24.0%にとどまっています。
24%という数字は全体から見れば少数派ですが、この層は「プロの意見を聞いて自分に合う企業を見つけたい」という能動的な姿勢を持つ、質の高い母集団と言えます。
参照:就活総合研究所「【調査レポート】就活エージェントの収益構造を知らない就活生は64.5% | 35%が大手内定が取れると思う」
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母集団形成は採用成功の第一歩です。こちらの記事では、求める人材を効率的に集めるための戦略立案から実施手順、具体的な手法まで、採用担当者が知っておくべき8つのステップを体系的に解説しています。
2.企業が新卒エージェントを導入するメリット

まずは、エージェントを利用することで企業側にどのようなメリットが生まれるのか、そのポイントを整理していきましょう。
採用工数の大幅な削減(スクリーニング代行)
ナビサイト経由で採用を進める場合、採用担当者には次のような業務負荷が発生します。
- 膨大なエントリーシートの読み込み
- 説明会の開催準備や当日の運営
- 一次面接による基本的な適性の判断、など
エージェントを利用する場合、事前のスクリーニング作業はエージェントに任せられます。スキルや人物像といった「自社の採用要件」を伝えておけば、その条件を満たす学生だけが紹介されるため、ES選考や一次面接といった初期工程の手間を大幅に省略できるのです。

人事担当者は、確度の高い学生との面接や、候補者へのアピールに集中できます。
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カラフルエージェントは、ドライバー職を中心とした運送・物流業界専門の人材紹介サービスです。成果報酬型で初期費用・月額費用は一切不要。面接調整や条件交渉も代行し、貴社の採用業務を大幅に効率化します。
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自社のカルチャーに合う人材との高精度なマッチング
キャリアアドバイザーは学生と個別に面談し、性格や価値観を深く理解しています。その上で企業風土に合致する学生を推薦するため、ナビサイト経由の応募よりもミスマッチが起きにくく、早期離職のリスク低減が期待できます。
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採用コストの「変動費化」とリスク回避
「ナビサイトに多額の予算を投じたが、結局1人も採用できなかった」というケースも少なくありません。こうした状況は、コストの浪費と人手不足という、二重の経営リスクを招くことになります。
エージェントであれば、採用に至らない場合の費用は0円です。採用コストを固定費ではなく「変動費」として扱えるため、予算の無駄打ちを防ぐことができます。

採用予定人数が少ない中小企業や、厳選採用を行いたい企業にとっては、経済合理性の高い選択肢です。
非公開求人として競合に知られず採用可能
「新規事業のために特定学部の学生が欲しいが、競合他社には知られたくない」「採用活動をしていることを公にしたくない」といった事情がある場合にもエージェントは有効です。
Web上に情報を公開せず、登録している学生だけにクローズドに求人を紹介できるため、採用戦略を外部に漏らすことなく、ターゲットとなる人材にアプローチできます。
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採用ペルソナの設計は、ターゲット人材を明確にし、採用活動の精度を高めるための重要なプロセスです。こちらの記事では、具体的な人物像を7つのステップで設計する方法から、実際の活用場面まで、採用担当者が実践できる手法を詳しく紹介しています。
3.導入前に知っておくべきデメリットと注意点

新卒エージェントの導入には、注意すべき点もあります。事前に知っておくことで、しっかりと備えましょう。
1名あたりの採用単価(フィー)は高め
ナビサイトと比べ、エージェント経由で1名を採用する単価は割高になる傾向があります。そのため、「質より量」を重視し、大量採用を行う場合には、あまり適していません。一般的な相場をもとに、一人当たりの採用コストの推移を見てみましょう。
1人あたりの採用コスト
60万円安い
安くなり始める
圧倒的に有利に
差が開く

採用人数が3名を超えたあたりから、ナビサイトの方が圧倒的に1人あたりのコストが安くなります。
エージェントとの関係構築が重要
「依頼しておけば自動的に良い人が来る」わけではありません。以下のような項目を伝え、エージェントに自社の特徴や要望を正しく理解してもらうことが大切です。
- チームや部署の雰囲気・文化
- どんな人材が欲しいか
- 自社の魅力は何か、など
エージェントも複数のクライアント企業を担当しています。担当のアドバイザーが「この会社を学生に勧めたい」と思わせるような関係構築を目指しましょう。
■採用要件を明確にして、マッチング精度を高めませんか
カラフルエージェントでは、貴社が求める人材像を詳しくヒアリングし、スキルや経験だけでなく、価値観や志向性まで踏まえたマッチングを実施しています。ドライバー職の採用において、長く活躍できる人材をお探しの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
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4.新卒エージェントの費用相場と料金体系

新卒紹介の手数料は、一般的に「理論年収の30%~35%」程度が相場とされています。
■例えば
初年度の想定年収が300万円の場合
300万円×0.3~0.35=90万円~105万円
紹介手数料 90万円~105万円
また、年収に関わらず「文系学生は1名60~80万円、理系学生は80~100万円」といった固定単価制を採用しているエージェントもあります。
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採用費用は企業規模や採用手法によって大きく異なります。こちらの記事では、新卒・中途それぞれの費用相場から、具体的なコスト削減方法、成功企業の事例までを網羅的に解説しています。
5.失敗しない!エージェント選定時の注意点

数多くの新卒エージェントが存在しますが、どこを選んでも同じ結果が出るわけではありません。契約前に必ず確認すべき、失敗しないための3つの注意点を解説します。
総合型か特化型か
エージェントは大きく分けて「総合型」と「特化型」に分かれます。
総合型
General Type登録学生数が多く、文系・理系問わず幅広い属性の学生にアプローチ可能。まずはここを押さえておくのが一般的。
マイナビ新卒紹介、リクナビ就職エージェント など
特化型
Specialized Type「ITエンジニア」「理系院生」「体育会系」など、特定の属性や職種に強みを持つ。
レバテックルーキー、アカリク など
自社の課題が「母集団不足(量)」なのか「専門人材不足(質)」なのかを見極め、適切なタイプを選びましょう。
厚生労働省の許可番号を持つ正規事業者か
人材紹介業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。しかし、中には無許可で運営している悪質な業者も存在しないとは言い切れません。
Webサイトの下部などに「13-ユ-xxxxxx」といった有料職業紹介事業の許可番号が記載されているかを必ず確認してください。
参照:厚生労働省「職業紹介事業制度の概要」
■ドライバー職の新卒採用なら、業界特化のエージェントが最適です
カラフルエージェントは運送・物流業界に特化した人材紹介サービスとして、厚生労働大臣許可(13-ユ-316922)を取得しています。ドライバー職に興味を持つ学生との独自ネットワークを活かし、貴社に最適な新卒人材をご紹介します。
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強引な誘導(オワハラ)を行うエージェントではないか
コンプライアンスの観点から、「学生への対応姿勢」も重要です。一部のエージェントでは、自社の売上を優先するあまり、学生に対して「この会社に決めないと、もう求人は紹介しない」といった強引なクロージングを行うケースが報告されています。
こうしたエージェントを利用することは、会社にとってさまざまなリスクとなります。
- 内定辞退
納得感のないまま承諾させられるため、入社直前になって辞退するケースが増える - 早期離職
入社してもモチベーションが低く、ミスマッチによる早期退職を招く - 評判の悪化
SNSなどで「〇〇社の紹介エージェント、最悪」といった悪評が広まる
エージェントとの契約前に、「内定承諾を迷っている学生に対してどのようなフォローをしているか」「学生の意思決定を尊重するガイドラインはあるか」等を確認し、高い倫理観を持って運営されている事業者を選ぶことが大切です。
6.人事担当者からよくある質問(Q&A)

新卒エージェントの導入を検討する際、人事担当者からよく寄せられる疑問をまとめました。
Q.採用した学生が早期退職した場合、返金はありますか?
A.はい、多くのエージェントで返金規定が設けられています。
一般的には、入社後1ヶ月以内の退職であれば手数料の80~100%、3ヶ月以内であれば50%など、期間に応じて返金される契約が一般的です。

契約締結時に、必ず規定を確認しておきましょう。
Q. 内定辞退が出た場合、費用はどうなりますか?
A.入社に至らなかった場合(内定辞退)は、原則として費用は発生しません。
ただし、内定承諾後に辞退が発生した場合の扱いは契約内容により異なるため、事前の確認をおすすめします。

「採用できないのにお金だけ出ていく」という事態を避けられます。
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内定辞退は企業にとって大きな機会損失です。こちらの記事では、辞退が発生する主な原因の分析から、選考段階でのコミュニケーション改善、内定者フォローの具体的手法まで、辞退を防ぐための実践的な採用戦略を詳しく解説しています。
Q. 地方の中小企業でも紹介してもらえますか?
A. 可能です。
ただし、登録学生は首都圏に集中する傾向があるため、地方勤務を希望する学生(Uターン・Iターン希望者)を紹介してもらう形になることが多いです。

地域に根差した地元密着型のエージェントもおすすめです。
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カラフルエージェントは日本全国のドライバー求職者とネットワークを持ち、地方企業様の採用もしっかりサポートしています。Uターン・Iターン希望者や地域での就職を希望する人材のご紹介も可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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7.新卒エージェントを活用して能動的な採用へ
新卒エージェントの導入は、採用の確実性と効率を高める有効な「投資」です。自社の課題に合ったパートナーを選べば、「コストだけかかって採用できなかった」というリスクを避けつつ、工数削減と高精度なマッチングを目指せます。
まずは、「ナビサイトで認知を広げ、エージェントで確実に採用する」というハイブリッド戦略から検討してみてはいかがでしょうか。貴社の未来を担う人材との出会いにつながります。