2024年4月からトラック運送業界に適用された時間外労働上限規制。この規制に対応するため、多くの運送会社がデジタコと連携した勤怠管理システムの導入を検討しています。
本記事では、デジタコ連携型勤怠管理システムの基本的な機能から、具体的な導入効果、システム選定のポイントまでを徹底解説します。
- デジタコと勤怠管理システムの連携による業務効率化のメリット
- 2024年問題への具体的な対応方法と必要なシステム要件
- おすすめのデジタコ連携型勤怠管理システムの特徴と選び方
1.そもそもデジタコとは?
デジタルタコグラフ(通称:デジタコ)は、運送業界における必須のツールとして広く普及しています。
運行記録や速度管理だけでなく、近年では勤怠管理との連携も進んでいます。
デジタコの基本的な機能とは?勤怠管理は標準装備?
デジタルタコグラフは、車両の速度、走行距離、運転時間などの運行データをデジタルで記録・管理する装置です。
勤怠管理機能はすべてのデジタコに搭載されているとは限りません。
主な機能として、リアルタイムでの運行状況モニタリング、急加速・急減速などの危険運転の検知、燃費管理、運転日報の自動作成などがあります。
これらのデータは、安全運転指導や車両管理、コスト削減に活用されています。
デジタコだけでは勤怠管理ができない?
デジタコ単体では、運行に関するデータは取得できますが、労働時間管理の観点では不十分な面があります。
デジタコは車両の運行中のデータ管理に特化したシステムであり、出庫前の車両点検や帰庫後の作業など、乗車時間以外の労働時間を記録することができません。
また、多くのデジタコでは車両が停車すると自動的に休憩時間としてカウントされるため、荷積み作業や待機時間などの実際の労働時間が休憩時間として誤って記録されてしまう可能性があります。
労働基準法で定められた「拘束時間から休憩時間を引いた実労働時間」を正確に把握するためには、これらの時間を適切に区分して管理する必要があります。
そのため、勤怠管理の機能をもったデジタコの導入かデジタコと連携した専用の勤怠管理システムの導入が必要となっています。
また、2024年4月からの時間外労働上限規制に対応するためには、より詳細な労働時間管理が必要となります。そのため、専用の勤怠管理システムと連携させることで、より正確で効率的な労務管理が可能となります。
2.【勤怠管理機能搭載】デジタコ本体おすすめ2選
運送業界では、デジタコと勤怠管理を一体化した製品も登場しています。導入時のコストや手間を抑えられる選択肢として注目されています。
ここでは2つのサービスについてご紹介していきます。
TRANS CELLデジタコ
TRANS CELLデジタコ(らくデジ)は、トランス・アイ株式会社が提供するクラウド型デジタコで、勤怠管理機能が充実した統合システムです。
【主な特徴】
- 4つのボタンで簡単操作が可能な使いやすいインターフェース
- 運行データから日報を自動作成し、管理者画面で即時確認可能
- 拘束時間、休憩時間、時間外労働、深夜労働などを自動で集計
- 改善基準告示に基づく労働時間管理(月間293時間超過、日次16時間超過など)
- リアルタイムでの作業進捗確認により、月間労働時間の調整が容易
- 14日間の無料トライアル期間あり
- 3年間の代替機無償交換保証(災害や事故による破損も対象)
【料金体系】
<初期費用>
161,480円(税込)/台
<ランニングコスト>
月額利用料:2,728円(税込)/台
費用対効果の高さと充実した機能で、2024年問題への対応も万全です。
https://trans-i.co.jp/duks-c01/lp
富士通デジタコ
富士通デジタコ「ITP(Intelligent Tachograph)」は、労務管理オプションを備えた高機能なデジタコです。
【主な特徴】
- デジタコデータから運転日報を自動生成し、改善基準告示に基づく拘束時間と残業時間を自動計算
- 視覚的にわかりやすい帳票で拘束時間を一目で把握可能
- チェックリストによる事前計画で拘束時間超過を防止
- 最大50日間の拘束時間集計と12ヶ月間の月別表示機能
- 改善基準告示への抵触リスクがある乗務員を自動でピックアップする警告機能
【料金体系】
<初期費用>
本体価格は要問合せ
<月額利用料>(車載機タイプ別)
・Gシリーズドラレコ地図:2,980円/台
・Gシリーズドラレコ:2,690円/台
・Gシリーズ:1,980円/台
・Dシリーズドラレコ:2,690円/台
・Dシリーズ:1,980円/台
※デジタコ本体価格は車種により異なる
長年の実績を持つ富士通ならではの信頼性と、充実した労務管理機能が特徴です。
https://www.transtron.com/itp/index.html
3.【デジタコ連携型】勤怠管理システムとは
運送業界における効率的な労務管理を実現するため、デジタコと勤怠管理システムを連携させた統合ソリューションが注目を集めています。
デジタコと勤怠管理の一元化がもたらす業務効率化
デジタコと勤怠管理システムの連携により、運行データと勤務時間データを自動的に統合することが可能になります。
これにより、従来は手作業で行っていたデータ入力や集計作業が大幅に削減され、管理者の業務負担が軽減されます。
また、リアルタイムでの労働時間管理が可能となり、法令遵守の徹底やドライバーの労働環境改善にも貢献します。
【2024年問題】労働時間管理の重要性
2024年4月から適用された時間外労働の上限規制により、運送業界では適切な労働時間管理がこれまで以上に重要となります。
デジタコ連携型勤怠管理システムは、労働時間の自動計算や上限超過のアラート機能を備えており、法令遵守を支援します。
また、データの可視化により、効率的な人員配置や業務改善にも活用できます。
今までの勤怠管理とデジタコ連携型の違い
従来の勤怠管理では、タイムカードやエクセルでの管理が一般的でしたが、手作業による入力ミスや集計の手間が課題となっていました。
デジタコ連携型では、運行データと勤怠データが自動的に紐づけられ、正確な労働時間管理が可能です。
また、クラウドベースのシステムにより、複数営業所のデータ一元管理や、スマートフォンでの打刻にも対応しています。
4.デジタコ連動型の勤怠システム3選
クラウド型は初期投資を抑えられ、システムの保守や更新が容易である一方、通信環境への依存度が高くなります。
運送業界で実績のある代表的なデジタコ連携型勤怠管理システムを、その特徴とともに紹介します。
JICONAX
JICONAXは、運送業界特有の複雑な労務管理に対応した統合型システムです。デジタコとの円滑な連携により、運行データと勤怠データの一元管理を実現します。
特筆すべき機能として、改善基準告示に基づいた労働時間の自動チェック、リアルタイムでの警告通知、詳細な運行分析レポートの作成などが挙げられます。
また、スマートフォンやタブレットからの入力にも対応しており、現場での利便性も高いシステムです。
【JICONAXの料金体系】
<初期費用>
・基本導入費用:720,000円
(操作説明会・定期フォローを含む)
・拠点追加費用:70,000円/拠点
・追加説明会:50,000円/回
<月額利用料>(年払い・前払い制)
・基本利用料:7,000円/ユーザー
・デジタコ連携:500円/台
・勤怠打刻機能:3,000円/打刻機
DiSynapseII
DiSynapseIIは、長年の実績を持つ労働時間管理システムです。デジタコとの高度な連携機能により、運転時間や休憩時間の正確な記録が可能です。
システムの特徴として、違反内容の可視化と指導支援機能、運行シミュレーション機能、多彩な帳票出力機能などが挙げられます。また、クラウドベースのシステムにより、複数営業所での一元管理も容易に実現できます。
【DiSynapseIIの料金体系】
<基本構成>
基本セット一式:2,400,200円
内訳:
・DS-DS2本体:1,100,000円
・システムハンドラー:440,000円
・ディスプレイパネル:500,500円
・その他付属品:約360,000円
<小規模LAN構成>
導入費用:3,022,800円
主な内訳:
・サーバーライセンス:1,320,000円
・システムハンドラー:528,000円
・その他必要機器を含む
<中~大規模LAN構成>
導入費用:6,990,280円
<主な内訳>
・サーバーライセンス:3,300,000円
・システムハンドラー:1,320,000円
・その他必要機器を含む
企業規模に応じて必要な機器をワンパッケージで導入でき、将来的な拡張にも柔軟に対応できます。
勤怠ドライバー
勤怠ドライバーは、運送業に特化した使いやすさが特徴の勤怠管理システムです。デジタコ連携による運行データの自動取り込みはもちろん、給与計算システムとの連携も可能です。
改善基準告示への対応機能も充実しており、労働時間の自動チェックやアラート機能なども搭載。さらに、シフト管理機能や有給休暇管理機能なども備えており、総合的な労務管理を支援します。
【勤怠ドライバーの料金体系】(2024年4月1日より)
<導入料金>
要問合せ
<基本料金>
・月額基本料10,000円(税別)
<月額アカウント料>
・1~20アカウント:700円/アカウント
・21~50アカウント:500円/アカウント
・51~100アカウント:300円/アカウント
・101~200アカウント:200円/アカウント
・201~300アカウント:100円/アカウント
・301アカウント以上:100円/アカウント
<給与計算オプション>
・1~50アカウント:5,000円
・51~200アカウント:8,000円
・201~300アカウント:10,000円
・301アカウント以上:20,000円
オンプレミス型は、セキュリティ面での管理が容易で、カスタマイズの自由度が高い反面、導入コストと運用管理の負担が大きくなります。
5.デジタコ連携型勤怠管理システムの主な機能
運送業界特有の複雑な勤務形態に対応するため、デジタコ連携型勤怠管理システムには多彩な機能が実装されています。
①運行データと勤務時間の自動連携
デジタコから取得した運行データは、パソコンなどの勤怠管理システムに自動的に送信されます。
システムはこれらのデータを基に、運転時間、休憩時間、待機時間などを自動的に分類し、労働時間として集計します。
②改善基準告示に基づく労働時間の自動チェック機能
システムは改善基準告示に定められた基準値を設定することで、拘束時間、休息期間、連続運転時間などを自動的にチェックします。
基準値を超過する可能性がある場合は、管理者とドライバーの双方にアラートを送信し、早期の対応を促します。
③運転日報とシフト管理の自動化システム
運転日報は、デジタコのデータを基に自動的に作成されます。
また、シフト管理機能では、過去の運行実績や労働時間データを参考に、効率的なシフトプランを作成し、ドライバーの負担軽減と業務効率の向上を同時に実現します。
④リアルタイムなアラート・警告機能
労働時間や休息時間が基準を超過しそうな場合、システムは即座にアラートを発信します。
また、月間や年間の累積労働時間についても常時モニタリングを行い、上限に近づいた場合は警告を発します。これにより、法令違反を未然に防ぎ、適切な労務管理を支援します。
6.【デジタコ×勤怠管理システム】具体的なメリット
現場の業務効率化から経営管理まで、デジタコと勤怠管理の連携は多くのメリットをもたらします。
管理者の業務負担と人為的ミスの大幅削減
デジタコと勤怠管理システムの連携により、従来手作業で行っていたデータ入力や集計作業が自動化されます。
これにより、管理者の作業時間が大幅に削減されるとともに、入力ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーを防ぐことができます。
また、データの一元管理により、複数の書類や帳票を照合する手間も省けます。
労働時間管理の適正化と働き方改革への対応
システムによる自動的な労働時間管理により、ドライバーの適切な休息時間の確保や、過重労働の防止が可能になります。
また、労働時間データの可視化により、個々のドライバーの勤務状況を的確に把握し、適切な業務配分や休暇取得の推進につなげることができます。
法令遵守とコンプライアンス体制の強化
改善基準告示や労働基準法に基づいた自動チェック機能により、法令違反のリスクを大幅に低減できます。
また、詳細な労働時間記録の保管により、監査対応や行政への報告も円滑に行えます。
さらに、データの改ざんや不正な修正を防ぐ機能も備わっており、コンプライアンス体制の強化に貢献します。
人件費と管理コストの削減効果
業務の自動化による工数削減に加え、データの分析により無駄な待機時間や非効率な配車を見直すことが可能になります。
これにより、残業時間の削減や効率的な人員配置が実現し、人件費の適正化につながります。また、ペーパーレス化やシステム化により、管理コストも削減できます。
7.システム導入時の重要検討ポイント
システム導入の成否を左右する重要なポイントについて、具体的に解説します。
既存デジタコシステムとの互換性確認
新しい勤怠管理システムを導入する際は、既存のデジタコシステムとの互換性を慎重に確認する必要があります。
データ連携の方式や、出力されるデータ形式が適合しているか、事前に確認することが重要です。また、将来的なシステムのアップデートや拡張性についても考慮に入れる必要があります。
クラウド型とオンプレミス型の選択基準
システムの導入形態は、クラウド型とオンプレミス型から選択することになります。
クラウド型は初期投資を抑えられ、システムの保守や更新が容易である一方、通信環境への依存度が高くなります。
オンプレミス型は、セキュリティ面での管理が容易で、カスタマイズの自由度が高い反面、導入コストと運用管理の負担が大きくなります。
必要機能の優先順位付けと選定
導入目的に応じて必要な機能を洗い出し、優先順位をつけることが重要です。
基本的な勤怠管理機能に加え、シフト管理、給与計算連携、各種帳票出力など、どの機能が業務に必要不可欠かを見極めます。
また、将来的な機能拡張の可能性についても考慮に入れる必要があります。
導入コストと期待できるROIの試算
システム導入には、初期費用、月額利用料、保守費用などが発生します。
これらのコストと、業務効率化による工数削減、人件費の適正化、法令違反リスクの低減などのメリットを比較し、投資対効果(ROI)を慎重に検討する必要があります。
また、導入後の運用コストについても考慮に入れることが重要です。
8.デジタコ×勤怠管理で効率化とコンプラ対策を強化!
デジタコと勤怠管理システムの連携は、2024年問題への対応だけでなく、業務効率化や法令遵守の強化にも大きく貢献します。
システム導入の際は、既存システムとの互換性やコスト、必要機能を十分に検討し、自社にとって必要な選択することが重要です。
適切なシステム導入により、運送業界の効率化・法令遵守をさらに目指せるでしょう。