近年、採用手法として「ダイレクトリクルーティング」や「スカウト」に注目が集まっています。
実際、2023年度のダイレクトリクルーティング市場規模は1,074億円に達し、新卒採用においても30.9%が「スカウト・逆求人型サービス」を活用しています。
一方で、「ダイレクトリクルーティングとスカウトの違いは?」「どちらが自社に合うのか分からない」といった声も少なくありません。本記事では、それぞれの違いやメリット・デメリットを整理し、最適な採用方法を見極めるポイントを解説します。
参照:株式会社矢野経済研究所「ダイレクトリクルーティングサービス市場に関する調査(2024年)」 、株式会社リクルート 就職みらい研究所「採用活動中間調査 データ集 2025年卒」
- ダイレクトリクルーティングとスカウトの明確な違い
- それぞれのメリット・デメリットと特徴
- 自社に合った採用手法を選ぶための「使い分け」の基準
1.【結論】ダイレクトリクルーティングとスカウトの違いとは

ここでは、ダイレクトリクルーティングとスカウトの違いについて解説します。 なぜこの2つの言葉が分かりにくいのか、その背景も含めて明確にしていきましょう。
最大の違いは「1対1」か「1対多」か
ダイレクトリクルーティングとスカウトの違いは、企業が候補者に対してどこまで個別対応を行うかという点にあります。
ダイレクトリクルーティング
「1対1」のアプローチ
企業がデータベースから「この人が欲しい」という個人を見つけ出し、その人の経歴やスキルに合わせて最適化されたメッセージを送ります。
スカウト
「1対多」のアプローチ
企業が「営業経験3年以上」などの条件で候補者を絞り、条件に合致する人全員に、ある程度共通化されたメッセージを一斉送信します。
ダイレクトリクルーティングは「狙い撃ち」、スカウトは「網漁」とイメージすると分かりやすいでしょう。
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言葉が似ていて分かりにくい?「スカウト」という言葉の曖昧さ
この2つの言葉が混乱しやすい背景には、「スカウト」という言葉の曖昧さがあります。本来、辞書的な意味での「スカウト」は、スポーツ選手や芸能人を探し出して勧誘するように、広く「人材を発掘し、勧誘すること」全般を指します。
この広い意味では、ダイレクトリクルーティングもスカウトの一種と言えます。しかし、日本の採用業界では、条件に合う人への一斉送信機能を「スカウト」と呼ぶことが一般的になりました。
出展:Wikipedia「スカウト (勧誘)」、Weblio辞書「ダイレクトリクルーティング」
2.ダイレクトリクルーティングとは?

まず、「ダイレクトリクルーティング」について詳しく見ていきましょう。具体的にどのような手法なのか、そのメリットとデメリットを解説します。
「待ち」から「攻め」の採用手法
従来の求人広告は、広告を出して候補者からの応募を「待つ」スタイルでした。一方、ダイレクトリクルーティングとは、企業が自ら求める人材を探し出し、直接アプローチする「攻めの採用手法」です。
候補者データベース
転職サイトやSNSに登録された候補者から選定
ピンポイント検索
企業が「この人が欲しい」という人材を絞り込む
個別メッセージ送信
「あなたの経験に魅力を感じました」と直接連絡

まさに、人事担当者がハンターのように動く採用活動と言えます。
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ダイレクトリクルーティングの基本から実践まで、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。採用成功率を高めるための具体的な運用ノウハウや、主要サービスの比較、スカウト文面のテンプレート例まで、実務に直結する情報を網羅的に解説しています。
メリット|転職を考えていない層にも会える
最大のメリットは、まだ具体的に転職活動を始めていない「転職潜在層」にもアプローチできる点です。優秀な人材ほど、現在の職場でも活躍しており、「良い会社があれば考えたい」程度で、積極的に求人を探していないケースが珍しくありません。
ダイレクトリクルーティングは、そうした市場に出てこない優秀な人材に対し、企業側から直接アプローチできる有力な手法なのです。
デメリット|担当者の手間がかかる
デメリットは採用担当者の手間が非常にかかる点です。
■ダイレクトリクルーティングにおける主な作業
- 候補者一人ひとりのプロフィールを読み込む
- 「なぜ、あなたに魅力を感じたのか」を伝える個別のメッセージを作成
- 返信があった場合のやりとりなど
苦労してメッセージを送っても、必ず返信が得られるとは限りません。成果は、企業の知名度やブランド力、そしてメッセージの内容によって大きく左右されます。すぐに結果が出ないことも多く、中長期的な視点で粘り強く取り組む姿勢が求められます。
3.スカウトとは?

「スカウト」機能は、効率性を重視したアプローチです。 条件に合う人にまとめてアプローチするとはどういうことか、そのメリットと注意点を解説します。
条件に合う人にまとめてアプローチ
採用プラットフォームにおけるスカウトとは、主に「1対多」のアプローチを指します。
条件検索
「勤務地」「経験年数」「マネジメント経験」などでデータベースを検索。
一斉送信
ヒットした全員に対し、ほぼ同じ内容のスカウトメールをまとめて送信。
多くの転職サイトがこの「スカウト機能」を標準搭載しており、人事担当者にとっては馴染みのある機能かもしれません。

ダイレクトリクルーティングが「手紙」だとすれば、スカウトは「一斉送信のメールマガジン」に近い感覚です。
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こちらの記事では、応募率を高めるスカウト文面の具体的なテクニックや、業種別・職種別のテンプレート例を豊富に紹介しています。候補者の心を動かすメッセージ作成のコツを学び、スカウト施策の成果を飛躍的に向上させましょう。
メリット|短期間で多くの応募者を集めやすい
スカウトの最大のメリットは、効率の良さです。ダイレクトリクルーティングのように一人ひとりに合わせて文面を考える必要がなく、一度設定すれば多くの候補者にまとめてアプローチできます。
「まずは幅広く応募者を集めたい」「特定の職種で一定数の母集団を形成したい」といった場合に有効な手法です。 短期間で多くの人に情報を届けられるため、採用のスピード感を重視する場合にも向いています。
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デメリット|マッチしない人からの応募も増える
スカウトは「1対多」の一斉送信であるため、メールを受け取った候補者側も「自分だけに送られてきたメッセージではない」と理解しています。その結果、マッチ度の低い候補者からの応募が増えやすい傾向にあります。
応募数は増えても、その後の書類選考や面接でミスマッチが判明するケースも多くなり、選考の手間が増える可能性があります。
また、厚生労働省の調査では、スカウトサービス利用企業のうち74.5%が採用実績ゼロであったというデータもあり、運用には専門的なノウハウが求められます。
出典:厚生労働省「職業紹介事業に関するアンケート調査結果」
4.【比較表】ひと目でわかるダイレクトリクルーティングとスカウト
ここまで解説した2つの採用方法の違いを、比較表にまとめました。自社の状況と照らし合わせながら、特徴を確認してみましょう。
| ダイレクトリクルーティング | スカウト | |
|---|---|---|
| 基本アプローチ | 1対1 | 1対多 |
| ターゲット選定 | 個人 | 条件が合う全員 |
| メッセージ内容 | 個別に作成 | ほぼ同一メッセージを一斉送信 |
| 作業量 | 手間がかかる | 効率的 |
| 企業とのマッチ度 | 高 | 低~中 |
| 向いている企業 | 採用要件が明確・ニッチな企業 | 一定規模の採用をしたい企業 |
5.自社に合うのはどっち?戦略的な「使い分け」診断

両者の違いが分かったところで、「自社に合うのはどちらか」を判断する基準をみていきましょう。 どちらが優れているかではなく、自社の採用課題に合わせて正しく使い分けることが成功の鍵です。
採用したい人数とポジションの「希少性」で選ぶ
まずは、「誰を・何人採用したいか」を明確にします。
■例えば…
「市場に少ない特定スキルを持つエンジニアがほしい」
「将来の幹部候補をとりたい」
↓
ピンポイント採用 (1名)
ダイレクトリクルーティング (1対1)
■例えば…
「営業職を5名採用したい」
「コールセンターのスタッフをまとめて採用したい」
↓
まとまった人数採用 (複数名)
スカウト (1対多)
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採用活動における母集団形成は、質の高い採用を実現するための重要なステップです。こちらの記事では、母集団形成の基本概念から、具体的な8つのステップ、成功企業の事例まで詳しく解説しています。
かけられる手間や予算のリソースで選ぶ
次に、「採用活動にどれだけの手間と予算をかけられるか」も重要な判断基準です。ダイレクトリクルーティングは、候補者の選定やメッセージ作成など、担当者の手間がかかります。そのため、専任の担当者がいて、じっくりと取り組める体制がある企業に向いています。
一方、スカウトは比較的少ない手間で運用できるため、人事担当者が他の業務と兼任している場合や、まずは低コストで試してみたいという企業に向いています。
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採用にかかるコストを最適化するためには、各手法の費用対効果を正しく理解することが重要です。こちらの記事では、採用手法ごとの相場から、コスト削減の具体的な方法、成功企業の事例まで詳しく解説しています。
採用の「スピード」で選ぶ
「いつまでに採用したいか」というスピード感も考慮しましょう。
| ダイレクトリクルーティング | 転職潜在層にアプローチするため、返信が来るまでに時間がかかったり、候補者の転職意欲が固まるまで中長期的に関係を築いたりする必要がある |
| スカウト | 転職を考えている層に一斉にアプローチできるため、短期間で応募を集めやすい |
急な欠員補充など、スピードを重視する採用にはスカウトの方が適している場合があります。
企業の「採用ブランド力」で選ぶ
企業の「採用ブランド力」も、手法を選ぶ上で考慮すべき点です。企業の知名度がまだ低い場合、「1対多」のスカウトでは他の多くのメールに埋もれてしまいます。

手間はかかってもダイレクトリクルーティングで、自社のビジョンを熱意をもって伝える方が、候補者の心に響くでしょう。
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企業のブランド力を高め、候補者から選ばれる企業になるためには、採用ブランディングの取り組みが不可欠です。こちらの記事では、採用ブランディングの基礎から実践的な手法、成功企業の事例まで詳しく紹介しています。
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6.ダイレクトリクルーティングを成功させる3つのポイント

「1対1」のアプローチであるダイレクトリクルーティングは、運用の難易度が高い手法です。 候補者から返信をもらい、採用成功につなげるためのポイントを3つ紹介します。
ポイント1.求める人物像(ペルソナ)を明確にする
ダイレクトリクルーティングは「狙い撃ち」の採用です。誰にアプローチするかを明確にするため、「採用ペルソナ」を具体的に設定することが不可欠です。
単に「明るい人」といった曖昧なものではなく、「〇〇というスキルを持ち、〇〇という価値観に共感し、将来的には〇〇で活躍してほしい人」というレベルまで、現場の部署ともすり合わせて具体化しましょう。
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ターゲット人材を明確化することで、採用メッセージの精度が格段に向上し、効率的な採用活動が実現できます。こちらの記事では、「どんな人材を採用すべきか」を明確にするペルソナの作り方を、テンプレートや具体例を交えて詳しく解説しています。
ポイント2.「会ってみたい」と思わせる文面を作る
候補者は、多くの企業から似たようなメッセージを受け取っています。その他大勢に埋もれないためには、以下のように「なぜ、他の誰でもない"あなた"に連絡したのか」を具体的に伝える文面が重要です。
- あなたの〇〇というご経験に強く惹かれました
- 弊社の〇〇という点で活躍いただけると確信しています
- ポートフォリオで拝見した〇〇という考え方に共感しました、など
テンプレート的な文章ではなく、候補者のプロフィールをしっかり読み込み、個人に宛てた「特別感」のあるメッセージを心がけましょう。
ポイント3.まずは気軽に話す「カジュアル面談」を活用する
転職潜在層にとって、「面接」は非常にハードルが高いものです。そこで効果的なのが「カジュアル面談」です。「まずは選考抜きで、お互いのことを知るために情報交換しませんか?」と提案することで、候補者が気軽に応じやすくなります。
カジュアル面談を通じて、自社の魅力や働き方をリラックスした雰囲気で伝えることが、候補者の志望度を高め、その後の選考プロセスへとつなげる鍵となります。
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カジュアル面談は、転職潜在層にアプローチする際の強力なツールです。こちらの記事では、カジュアル面談の目的や進め方、候補者の志望度を高めるトークスクリプトまで、実践的なノウハウを詳しく解説しています。
7.ダイレクトリクルーティングとスカウトに関するよくある質問(FAQ)

ダイレクトリクルーティングとスカウトに関して、人事担当者からよく寄せられる質問をまとめました。
Q.費用が安いのはどちらですか?
A.料金体系はサービスによって様々です。
一般的には、以下のような傾向があります。
| ダイレクトリクルーティング | 初期費用や月額費用がかかる「データベース利用料型」や、採用成功時に年収の一定割合を支払う「成功報酬型」がある。 手間がかかるため、人件費もコストとして考慮すべき。 |
| スカウト | 転職サイトの基本プランに含まれていたり、オプションとして安価に提供されたりすることが多く、手軽に始めやすい。 |
Q.ダイレクトリクルーティングとヘッドハンティングの違いは?
A. ヘッドハンティングは、経営層や高度専門職を対象に非公開でアプローチする手法です。
ダイレクトリクルーティングは、企業が採用サイトやSNSなどを通じて、直接候補者にアプローチする手法です。一方、ヘッドハンティングは、人材紹介会社などの第三者が介在し、特定のスキルや経験を持つ人材を企業に代わって探し出し、転職を打診する方法です。

ダイレクトリクルーティングは幅広い層へのアプローチ、ヘッドハンティングは即戦力層のピンポイント採用に向いています。
Q.採用担当者が1人でも運用できますか?
A. 可能です。
ただし、ダイレクトリクルーティングは工数がかかります。リソースが限られる場合は、まず効率的な「スカウト」から始めるか、業務量を絞ってダイレクトリクルーティングを行うなどの戦略が必要です。
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8.ダイレクトリクルーティングとスカウトの違いを活かす
この記事では、ダイレクトリクルーティングとスカウトの違いについて、アプローチの方法、メリット・デメリット、そして戦略的な使い分けの視点から解説しました。
ダイレクトリクルーティングは「1対1」で手間がかかるものの、転職潜在層にアプローチできる点が強みです。一方、スカウトは「1対多」で効率的に運用できる反面、マッチ度が下がりやすい傾向があります。
どちらか一方が優れているわけではありません。ダイレクトリクルーティングとスカウトの特性を理解し、自社らしい採用戦略を築き、より良い採用の未来を目指してください。