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ウェルビーイングとは?企業がおさえるべき5つのポイント

近年、ビジネスシーンだけでなく、私たちの生き方そのものにおいても「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉を耳にする機会が増えました。

これは単なる健康や幸福を意味する言葉ではありません。心、身体、そして社会的なつながりのすべてが満たされた、持続的に良い状態を指します。

働き方の多様化や価値観の変化が進む現代において、個人が自分らしい人生を送るため、そして企業が持続的に成長するために、ウェルビーイングへの理解は不可欠です。

本記事では、ウェルビーイングとは何かという基本的な定義から、その質を高めるための具体的なフレームワーク(PERMAモデルや幸福の4因子)、企業経営への活かし方、先進的な企業事例までを分かりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • ウェルビーイングの基本概念と企業経営で注目される背景
  • 採用・定着率向上につながる具体的な人事施策のヒント
  • 成功事例から学ぶ実践的な導入ステップと効果測定の方法
目次
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1.ウェルビーイングとは?意味と注目される理由

社内コミュニケーションとは

ウェルビーイングとは、心身の健康だけでなく、働く意義や人間関係の充実も含む考え方です。ここでは、基本的な知識と企業で注目される理由について解説します。

ウェルビーイングとは「心身と社会的なつながりが満たされた状態」

ウェルビーイング(Well-being)とは、身体的・精神的・社会的に良好な状態を指す言葉です。これはWHO憲章における健康の定義が基になっており、「単に病気や虚弱でない状態」を超えた、より包括的な概念です。

言葉の成り立ちは、well(よい)とbeing(状態)の組み合わせであり、心身の健やかさに加え、社会との関係性や人生の充実度までを含む点が特徴です。

WHO憲章の「健康」の定義

WHOは、1948年に発効された憲章の前文において、「健康」を次のように定義しています。

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)

引用:公益社団法人 日本WHO協会「健康の定義

従来の健康概念を超えた新しい価値観

かつての社会では、経済的な豊かさや物質的な満足度が幸福の基準とされていました。しかし現代では、これらに加えて心の豊かさや人生の意味の追求が重視されるようになっています。

経済成長と同時に、国民や従業員一人ひとりのウェルビーイングを高めることが、持続可能な社会づくりに不可欠な要素となっているのです。

GDP(国内総生産)だけでなく、GDW(国内総充実)などの新しい指標が注目されていることからも、価値観の変化が見て取れます。

企業経営でウェルビーイングが重要視される3つの背景

企業活動においても、ウェルビーイングへの取り組みは単なる福利厚生を超えた経営課題となっています。その背景には、以下の3つの要因があると考えられます。

  • 労働人口減少による人材獲得競争の激化
    少子高齢化に伴う労働力不足は深刻化しており、企業は従業員の働きやすさや満足度を高めることで人材確保を目指しています。

  • 働き方改革の推進
    働き方改革関連法などを背景に、長時間労働の是正や柔軟な働き方の実現が求められています。その実現には従業員のウェルビーイング向上が不可欠です。

  • 価値観の多様化への対応
    ジェンダーやライフスタイル、キャリア観の多様化が進む中、企業は一人ひとりが自分らしく働ける環境を整える必要があります。

これらの背景から、ウェルビーイングは企業の成長戦略や人材戦略における重要なキーワードとして注目を集めています。

▼あわせて読みたい

ウェルビーイング向上には従業員の健康管理が欠かせません。健康診断の運用についてお悩みの企業は、以下の記事を参考にしてください。

【実務必携】健康診断の運用と管理|人事担当者向けガイド
人事担当者必見の健康診断実務ガイド。法的義務から結果管理まで、実務に必要な知識と方法を解説。産業医との連携や従業員対応の要点も網羅。
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2.ウェルビーイングを構成する5つの重要な要素

PERMAモデル

P

ポジティブ感情

E

エンゲージメント

R

人間関係

M

意味・目的

A

達成感

従業員のウェルビーイング向上を目指す上で、具体的にどのような点に着目すればよいのでしょうか。ここでは、職場で実践できる具体的な施策について詳しく解説します。

PERMA理論で理解するウェルビーイングの構造

ウェルビーイングの実現に向けた具体的な指針として、ポジティブ心理学の父と呼ばれるマーティン・セリグマン教授が提唱した「PERMA理論」があります。

POINT

セリグマン教授は1998年にアメリカ心理学会の会長を務めた際、「人が幸福になるにはどうすればいいのか」という研究を提言し、多くの研究者と共にポジティブ心理学を発展させました。

PERMA理論は、ウェルビーイングを以下の5つに分け、頭文字を組み合わせて名付けた理論です。

  • Positive Emotion(ポジティブ感情)
  • Engagement(エンゲージメント)
  • Relationships(人間関係)
  • Meaning(意味・目的)
  • Accomplishment(達成感)

この理論の魅力は、曖昧な「幸福」という概念を、日常生活の中で意識して高められる具体的なポイントに分解していることです。企業の人事担当者にとっては、従業員のウェルビーイング向上に向けた施策を立案する際の実践的な枠組みとして活用できるでしょう。

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運送・タクシー業界でも従業員のウェルビーイング向上は重要な課題です。カラフルエージェントでは離職率の低下と職場環境の改善に向けて、専門的なアドバイスを提供いたします。

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P(ポジティブ感情):前向きな気持ちを育む職場環境

ポジティブ感情
喜び、楽しさ、感謝、希望、思いやりなどの前向きな感情

職場でポジティブ感情を育むためには、感謝の文化を醸成することが重要です。

■具体的には…

  • 定期的な表彰制度の導入
  • チームメンバー同士が感謝を伝え合う仕組み
  • 成功体験の共有会など

また、ポジティブなフィードバック制度を構築することで、従業員が日常的に前向きな気持ちを持てる環境作りができます。上司が部下の良い点を積極的に伝える文化を根付かせることで、職場全体のムードが向上し、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。

ポジティブ感情は、ネガティブな感情を打ち消し、思考や行動範囲を広げる効果があるとされています。

E(エンゲージメント):仕事への没頭感を高める工夫

エンゲージメント
何かに深く没頭し、時間を忘れるほど集中できる状態

エンゲージメントは、適切なチャレンジとスキルのバランスが取れた時に発生します。職場で従業員のエンゲージメントを高めるには、一人ひとりの強みを活かした業務配分が重要です

■具体的には…

  • 個人の強みや関心を把握するアセスメントの実施
  • 強みを活かせる役割への配置転換
  • 適度にチャレンジングな目標設定など

従業員が自分らしさを発揮できる環境づくりが、エンゲージメント向上の鍵となります。

R(人間関係):良好なつながりを築くコミュニケーション

人間関係
家族や職場、身の周りとの人間関係が良好であること

ハーバード大学の約80年にわたる研究をはじめ、多くの調査で「幸福を感じる人は、そうでない人よりも人間関係が良好である」ことが証明されています。職場で良好な人間関係を築くためには、心理的安全性を確保することが重要です。

■具体的には…

  • 定期的な1on1ミーティングの実施
  • チームビルディング活動の推進
  • コミュニケーション研修の実施
  • オープンなコミュニケーションを促進する場の提供など

上司と部下、同僚同士が互いに支え合い、信頼し合える関係性を構築することで、従業員は安心して働ける環境を得ることができるのです。

M(意味・目的):仕事の意義を感じられる組織づくり

意味・目的
自分の仕事や人生に意義を見出し、何か大きな目的に貢献していると感じること

アメリカ心理学会の会長を務めたセリグマン教授は「有意義な人生とは、自分自身よりも大きなものに所属し、または何かに奉仕することである」と述べています。

企業では、企業理念を浸透させつつ、従業員一人ひとりの価値観と合わせることで、意味や目的を感じられる職場作りに繋がるでしょう。

■具体的には…

  • 企業のミッション・ビジョンを従業員に分かりやすく伝える
  • 個人の価値観と会社の方向性をすり合わせるキャリア面談
  • 社会貢献活動への参加機会の提供など

従業員が「なぜこの仕事をするのか」「自分の仕事が社会にどう貢献しているのか」を理解できる環境を整備することで、仕事へのやりがいと誇りを醸成します。

A(達成感):成果を実感できる評価制度の設計

達成感
目標に向かって努力し、その目標を達成した結果得られる満足感や有能感

従業員は「やろうとしたこと」をやり遂げることで、誇りを持って自分の仕事を振り返ることができるようになります。そのため、職場では適切な目標設定と成果の可視化が重要です。

■具体的には…

  • SMART目標(具体的、測定可能、達成可能、現実的、時間的制約)の設定
  • 小さな目標から大きな目標へのステップアップ
  • 成果の定期的なフィードバック
  • プロセス評価の導入など

キャリア開発支援を通じて、従業員の成長実感を促進することも重要な施策です。

もう一つの視点|日本人に馴染みやすい「幸福の4因子」

PERMAモデルと並び、日本における幸福学研究の第一人者である慶應義塾大学の前野隆司教授が提唱する「幸福の4因子」も、ウェルビーイングを理解する上で重要です。

このモデルは、日本人の価値観にも馴染みやすいとされています。

  • 「やってみよう!」因子(自己実現と成長)
    夢や目標を持ち、それに向かって学び、成長しようとする姿勢。
  • 「ありがとう!」因子(つながりと感謝)
    人とのつながりを大切にし、感謝の心を持つこと。利他的な行動も含まれます。
  • 「なんとかなる!」因子(前向きと楽観)
    ポジティブに物事を捉え、失敗を恐れずに挑戦できる力。
  • 「ありのままに!」因子(独立と自分らしさ)
    他人と自分を比較せず、自分らしい価値観を持っていること。

これらの因子は、PERMAモデルと相互補完的な関係にあります。企業はこれらの因子を意識した職場環境(例:挑戦を奨励する文化、感謝を伝え合う機会の創出)を整えることで、従業員のウェルビーイングを多角的に支援できます。

3.ウェルビーイング経営と健康経営の違い

ウェルビーイング経営と健康経営の違い

健康経営

視点: 企業視点

目的: 企業の生産性向上、収益性向上への投資

コミュニケーション: 「なぜ会社のために健康についてとやかく言われないといけないのか」という反発を招く可能性

ウェルビーイング経営

視点: 従業員視点

目的: 従業員一人ひとりの主観的幸福を重視

コミュニケーション: 「あなたの幸福のために」というメッセージで納得感と参加意欲を高める

ウェルビーイング経営と健康経営は、どちらも従業員の健康を重視する点で共通していますが、実際のアプローチや考え方には大きな違いがあります。

「企業視点」と「従業員視点」

最も大きな違いは、「どの視点から施策を検討するのか」という点です。

経営種類視点目的内容
健康経営企業生産性向上従業員の健康管理を戦略的に実践し、経営面での大きな成果を期待する手法
ウェルビーイング経営従業員従業員の主観的幸福向上従業員一人ひとりが身体的・精神的・社会的に満たされ、生き生きと働ける状態を目指す取り組み

健康経営は、経済産業省によると「従業員等の健康管理を経営的な視点から考え、戦略的に実践すること」と定義されています。

これは、従業員の健康への投資が、将来的に企業の収益性を高めるという「企業視点」が軸となっています。

一方、ウェルビーイング経営は、まず従業員一人ひとりの幸福という「従業員視点」から出発し、その結果としてエンゲージメントや生産性が向上し、企業価値が高まるというアプローチを取ります。

この視点の違いは、従業員に対するコミュニケーションにおいても大きな違いとなって現れます

【例えば】

▼健康経営「会社のために健康に気をつけましょう」
→「なぜ会社にとやかく言われないといけないのか」という反発を招くことも

▼ウェルビーイング経営「あなたの幸福のために健康に気をつけましょう」
→従業員の納得感と参加意欲を高められる

視点の違いが、従業員の行動や意欲に大きな差を生むのです。

参考:経済産業省「健康経営の推進について」

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従業員の心理的安全性を高めることは、ウェルビーイング向上の重要な要素です。こちらの記事では、強い組織作りの具体的な手法をご紹介します。

心理的安全性の基本と実践|強い組織を作る8つの方法
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心理的安全性を高める具体的な手法を解説。ぬるま湯にならない組織づくりから、実践的な声かけ例まで、すぐに活用できるテクニックを紹介!
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トップダウンからボトムアップへの転換

健康経営とウェルビーイング経営は、それぞれ視点が異なるため、施策の進め方にも違いがあります。以下で具体的に見ていきましょう。

健康経営トップダウン経営者を説得して予算を獲得、施策の開始から実行まで、上層部の決定に下部組織が従う仕組みで運営
ウェルビーイング経営ボトムアップ従業員の声を聞きながら進め、下部組織の意見を上層部が吸い上げて施策を検討。現場の実情に合わせた取り組みを企画・実行できる

ウェルビーイング経営はボトムアップ型のアプローチにより、従業員の当事者意識が高まり、施策への参加率や継続率が向上する効果が期待できます。

両方の経営手法を組み合わせる

健康経営とウェルビーイング経営は対立する概念ではなく、むしろ相互補完的な関係にあります。心身が健康であることは生きがいを感じるための基本となるため、ウェルビーイング経営は健康経営の要素も包括しているのです。

まずは健康経営から取り組み、次のステップとしてウェルビーイング経営に移行する流れが理想です。

POINT

企業視点での健康経営は実務的な取り組みとして比較的短期間(1〜2年)で一定の成果を示すことができるため、経営層の理解を得やすいためです。

■具体的には…

  • 【STEP1】健康経営からスタート
    健康診断の充実、ストレスチェックの実施、運動促進プログラムなど

  • 【STEP2】ウェルビーイング経営に発展
    従業員の主観的幸福を重視した施策を充実させ、エンゲージメント向上や働きがいの創出に取り組む

また、これらの取り組みや成果を積極的に社外へ情報開示することで、企業ブランドイメージの向上と優秀な人材の獲得につなげることができるでしょう。

4.ウェルビーイング経営で得られる4つのメリット

4つのメリット

モチベーション等の向上

経営効率の改善

定着率向上と採用力強化

企業価値向上

従業員のウェルビーイング向上に取り組むことで、企業が得られる4つのメリットについて解説します。

従業員のモチベーション向上とエンゲージメント強化

ウェルビーイング経営で1番注目される効果は、従業員のモチベーション向上とエンゲージメントの強化です。心身ともに健康で幸福度の高い職場環境を提供することで、従業員は仕事に対してより高い意欲と集中力を発揮するようになります。

また、ウェルビーイング経営では従業員一人ひとりの価値観や多様性を尊重するため、個々の強みを活かした働き方が可能です。これにより従業員は自分らしさを発揮でき、企業への愛着心や帰属意識が高まるでしょう。

職場全体の雰囲気が向上し、従業員同士が互いに支え合い、協力し合える環境が醸成されることで、チーム全体のパフォーマンスも向上します。

生産性向上と医療費削減による経営効率の改善

ウェルビーイング向上は、企業の経営効率に直接的な改善をもたらします。

幸福度の研究で知られるエド・ディーナー博士の研究では、主観的ウェルビーイングが高い人は低い人と比較して、創造性は3倍、生産性は31%、売上は37%高いという結果が報告されています。

また、国内の調査でも関連性が示唆されています。内閣府の「満足度・生活の質に関する調査」では、ワーク・ライフ・バランスへの満足度が高い人ほど、仕事のパフォーマンスが高いと自己評価する傾向が見られます。

従業員が心身ともに満たされた状態にあることが、企業の業績に直結するのです。

POINT

健康経営を実践している企業では、1人当たりの医療費が平均10-15%削減されているという報告もあり、ウェルビーイング経営においてもさらなる効果が期待されています。

参考:内閣府「満足度・生活の質に関する調査」

優秀な人材の定着率向上と採用力強化

現在、労働人口の減少が深刻化しており、優秀な人材を確保し定着させることが企業の競争力を左右する重要な課題となっています。リクナビNEXTの退職理由調査によると、離職の主な原因は、人間関係や労働環境に関する要因が上位を占めているそうです。

  • 上司や経営者の仕事の仕方が気に入らなかった
  • 労働時間・環境が不満だった
  • 同僚・先輩・後輩とうまくいかなかったなど

ウェルビーイング経営は、これらの根本的な問題を解決することで、従業員の定着率向上が目指せます。

また、ウェルビーイングを重視する企業姿勢は求職者にとっても魅力的に映り、優秀な人材の採用競争力強化にも直結します。人材の流出防止と優秀な人材の獲得により、企業の持続的成長の基盤が構築されるでしょう。

参照:リクナビNEXT「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10

■人材定着率向上で企業成長を実現

ドライバー業界では人材の定着が特に重要な課題です。カラフルエージェントではウェルビーイング経営の実現により採用から定着まで一貫してサポートし、企業の成長をお手伝いいたします。

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企業価値向上と持続的成長への貢献

ウェルビーイング経営への取り組みは、企業の社会的評価と市場価値の向上に大きく貢献します。

投資家からの評価

ESG投資(環境・社会・ガバナンス)の観点から、従業員の幸福を重視する企業は投資家からの評価が高まっています。

特に、社会的責任(S:Social)の分野において、ウェルビーイング経営は企業の持続可能性を示す重要な指標として位置づけられています。

ESG投資とは?

投資手法のひとつ。環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の要素を考慮して企業を評価し、長期的な成長と持続可能性を見極める方法。

顧客や取引先からの信頼獲得

ウェルビーイング経営は、SDGsの目標3【すべての人に健康と福祉を】や目標8【働きがいも経済成長も】の達成に直接的に貢献するため、「企業の社会的使命を果たしている」として対外的にアピールできます。

さらに、ウェルビーイングへの積極的な取り組みは、健康経営優良法人の認定や各種アワード受賞の機会を広げ、企業ブランドの価値向上にもつながるでしょう。

5.実際に導入している企業の成功事例

ウェルビーイング経営を実際に導入し、成果を上げている企業の具体的な取り組みを見ていきましょう。

積水化学工業:「Well-Being」を軸にした5つのセグメント健康経営

Sekisui Chemical Well-being Infographic

取り組み内容:積水化学工業「Well-Being」

  • Well-Beingの体系的な推進

    WHO憲章に基づき、心・身体・社会の良好な状態を5つのセグメントで体系的に推進。

  • 健康サポートアプリ「七冠王アプリ」

    7つの健康習慣を取り入れ、従業員が楽しく健康増進に取り組める仕組みを構築。

  • グループ一体での健康経営

    国内関係会社32社と共に8年連続で「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定。

積水化学工業株式会社は、「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」という企業理念のもと、2019年に「健康宣言」と「健康経営基本方針」を制定し、すべての従業員がWell-Being(ウェルビーイング)な状態を目指した健康経営を推進しています。

特徴的なのは、アメリカのブレスロー博士が提唱した7つの健康習慣を取り入れた健康サポートアプリ「七冠王アプリ」の導入で、従業員が楽しく健康増進に取り組める仕組みを構築しました。

また、グループ一体での健康経営推進に力を入れており、国内関係会社32社とともに8年連続で「健康経営優良法人大規模法人部門(ホワイト500)」に認定されています。

参考:積水化学工業株式会社「「健康経営優良法人2024大規模法人部門(ホワイト500)」に認定されました

楽天:ウェルビーイングサーベイで従業員の状態を可視化

Rakuten Group Well-being Infographic

取り組み内容:楽天グループの「Well-being First」

  • 日本初のCWO(チーフウェルビーイングオフィサー)設置

    「Well-being First」を宣言し、個人・組織・社会の観点から施策を推進。

  • 「ウェルビーイングサーベイ」の定期実施

    定期調査により、Body・Mind・Socialの3つの観点から従業員の健康状態や課題を把握・分析。

  • 3大健康課題への具体的な施策

    調査で特定した「運動不足」「睡眠の質」「体重管理」の3大健康課題に対し、具体的な改善施策を実施。

2019年に日本企業で初めてCWOのポストを設け、創業メンバーの一人である小林正忠常務執行役員が就任しました。「Well-being First」の健康宣言のもと、個人・組織・社会という3つの切り口でウェルビーイング施策を体系的に推進しています。

中核的な取り組みとして「ウェルビーイングサーベイ(調査)」の定期実施を行い、従業員の心身の健康状態や課題を把握し、仕事のパフォーマンスや社内ウェルネス文化醸成に貢献しています。

その結果、楽天の従業員における3大健康課題として「運動不足」「睡眠の質」「体重管理」が特定され、それぞれの課題を感じている従業員の割合を年間約30%低減させることを目標に、具体的な施策を実施しています。

参考:楽天グループ株式会社「健康・安全・ウェルネス

デンソー:健康状態の見える化と健康リーダー制度

Denso Well-being Infographic

取り組み内容:デンソーのウェルビーイング経営

  • 現場主体の「健康リーダー制度」

    各職場に健康リーダーを配置し、職場ごとに「健康アクションプラン」を立案・実行。

  • 「健康スコア」による健康の見える化

    社員の健康状態を数値化。個人へのアドバイスや、職場の計画立案を支援。

  • 自社開発の健康アプリ「DKS」

    健康診断データや食事、歩数などを一元管理し、日々の健康管理をサポート。

デンソーは、社員一人ひとりが健康で個性を発揮することにより会社が活性化するという理念のもと、ウェルビーイング経営を推進しています。

同社の最大の特徴は、各職場に「健康推進責任者(部門長)」と「健康推進リーダー」を配置し、職場単位で年間計画(健康アクションプラン)を立案・実行している点です。

さらに、定期健診などのデータを活用し、社員の健康状態を「健康スコア」として数値化しました。この結果をもとに、一人ひとりの健康行動の実践状況を見える化し、職場別の集計結果を通知して、効果的な健康アクションプランの策定を支援しています。

これらの取り組みにより、健康経営優良法人(ホワイト500)に9年連続で選定されており、職場ごとの特性を活かした現場密着型のウェルビーイング経営の成功モデルとして注目されています。

参考:株式会社デンソー「社員とともに進める健康づくり

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6.具体的な導入ステップ

Well-being Management Steps Infographic

ウェルビーイング経営 導入の4ステップ

01

現状把握

02

経営層の理解促進

03

具体的施策の企画

04

効果測定と継続改善

ウェルビーイング経営を成功させるためには、段階的なアプローチが必要です。ここでは、企業が実際に取り組む際の具体的なステップを解説します。

現状把握:従業員満足度調査とストレスチェックの活用

ウェルビーイング経営の第一歩は、従業員の現在の状態を正確に把握することです。まず、既存のデータを活用した現状分析から始めましょう。以下のの3つ側面から包括的に情報を収集してください。

  • 従業員の身体的健康
    健康診断結果、労災・事故発生率
  • 精神的健康
    ストレスチェック結果、メンタル不調による休職率
  • 社会的健康
    職場の人間関係、コミュニケーションの質

さらに、離職率や欠勤率などの客観的指標と合わせて分析することで、現状の課題が明確になります。

POINT

部署別・年代別・勤続年数別などに細分化して分析することで、より具体的な改善ポイントが見えてくるでしょう。

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経営層の理解促進:ウェルビーイング経営の意義を共有

現状把握の結果をもとに、経営層にウェルビーイング経営の必要性と効果を説得力のあるデータで示しましょう。ROI(投資対効果)の観点から、以下のような数値を具体的に提示します。

  • ウェルビーイング向上による生産性向上
  • 離職率低下
  • 医療費削減などの定量的なメリットなど

経営層が理解しやすいよう、競合他社の先進事例や業界トレンドも合わせて紹介し、企業の競争力強化の観点からもウェルビーイング経営の重要性を訴求します。

具体的施策の企画:5つの要素を踏まえた制度設計

現状分析と経営層の承認を得た後は、PERMA理論の5つの要素を踏まえた具体的な施策を企画します。

重要なのは、これらの施策を自社の企業文化や従業員のニーズに合わせてカスタマイズすることです。また、予算配分を考慮し、短期的に実現可能な施策と中長期的な投資が必要な施策を明確に分けて計画を立てることが成功の鍵となります。

効果測定と継続改善:PDCAサイクルの構築方法

ウェルビーイング経営は一度導入すれば終わりではなく、継続的な改善が必要です。効果測定のためのKPI(重要業績指標)を事前に設定し、定期的に測定・評価を行いましょう。主観的な指標として、以下の項目を継続的に把握してください。

  • 従業員満足度
  • エンゲージメントスコア
  • 幸福度など

客観的指標として離職率、欠勤率、生産性指標、医療費なども測定します。

PDCAサイクルを回すために、四半期ごとに効果測定を行い、その結果を基に施策の見直しと改善を実施します。成功した取り組みは他部署にも横展開し、期待した効果が出なかった施策は原因分析を行い改善策を検討してください。

外部環境の変化や従業員のニーズの変化に対応するため、年1回は包括的な現状分析を実施し、施策全体の見直しを行いましょう。

■ウェルビーイング経営導入を人材採用からスタート

ウェルビーイング経営の第一歩として、価値観の合う優秀な人材の採用が重要です。カラフルエージェントでは企業文化にマッチするドライバーをご紹介し、入社後の定着率向上までサポート。ウェルビーイング実現に向けた基盤づくりをお手伝いいたします。

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7.従業員も企業も成長するウェルビーイング経営

ウェルビーイングはただの流行ではなく、現代の人事戦略に欠かせない大切な考え方です。健康経営との違いを理解し、企業と従業員の視点の両方を意識しながら段階的に取り組むことで、持続的な成果を得られるでしょう。

労働人口の減少や価値観の多様化が進む中で、従業員一人ひとりが生き生きと働ける環境を整えることは、企業の競争力そのものを左右します。完璧を求めず、まずは小さな一歩から始め、従業員の声に耳を傾けながら改善を重ねることが成功の鍵となるでしょう。

■持続可能な組織づくりを人材採用から支援

ウェルビーイング経営の成功には、企業理念に共感する人材の確保が不可欠です。カラフルエージェントでは運送・タクシー業界に特化した採用支援を通じて、長期的に活躍できるドライバーとのマッチングを実現。持続可能な組織づくりをトータルでサポートいたします。

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