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地域手当とは?計算方法から導入時の5つのポイントまで徹底解説

東京23区と地方都市では住居費や物価に大きな差があり、同じ給与では従業員の生活水準に格差が生じてしまいます。

そのため、全国展開する企業の人事担当者にとって、地域手当は避けて通れない制度の一つです。しかし、地域手当の導入には従業員間の不公平感や給与計算の複雑化といった課題も伴います。

本記事では、地域手当の基本的な仕組みから公務員と民間企業の違い、具体的な計算方法、そして導入時に注意すべき5つのポイントまで、人事担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。

テレワーク普及による制度見直しの動向や、よくある質問への回答も含めて、実務に役立つ知識をお届けします。

この記事を読んでわかること
  • 地域手当の定義や目的、具体的な算出方法など制度の全体像
  • 従業員間の不公平感や給与計算の複雑化など、実務で直面する課題への具体的な対処法
  • 2024年の制度見直しやリモートワーク普及による新たな課題と今後の方向性
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1.地域手当とは?基本的な仕組みを理解しよう

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地域手当は、物価の高い地域や生活環境の厳しい地域で働く従業員の負担を軽減するために支給される手当です。以下で基本的な仕組みをみていきましょう。

地域手当の定義と支給目的

地域手当とは、都市部をはじめとする物価の高い地域に勤務する従業員に対して支給される手当のことです。勤務地手当や地域給とも呼ばれ、基本給に上乗せして支払われます。この手当の主な目的は、同じ企業で同じ職務に従事していても、勤務地によって生じる物価差や生活費の違いを補うことにあります。

例えば、東京都心と地方都市では住居費や日用品の価格に大きな差があるため、こうした地域格差を給与面で調整する役割を担っています。

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公務員と民間企業での位置づけの違い

地域手当の位置づけは、公務員と民間企業で大きく異なります

公務員人事院規則九―四九(地域手当) に基づいて制度化されており、支給地域や支給割合が法令で明確に定められている
民間企業法的な義務はなく、あくまで各企業の判断による任意の福利厚生

そのため、同じ業界でも企業によって地域手当の有無や支給額に大きな差が生じることがあります。

参照:人事院「国家公務員の諸手当の概要」e-Gov「人事院規則九―四九(地域手当)」

地域手当が必要な理由と背景

地域手当が必要とされる背景には、日本国内の地域間格差の存在があります。総務省の統計によると、東京都の消費者物価指数は全国平均を大幅に上回っており、特に住居費については地方との差が顕著です。

こうした物価格差がある中で、全国一律の給与体系では、高コスト地域で働く従業員の実質的な収入が目減りします。優秀な人材を確保・定着させるためにも、地域の生活水準に見合った処遇を提供することが重要です。

近年では、働き方の多様化やテレワークの普及により、地域手当の在り方も見直しが求められています。

参照:総務省「消費者物価地域差指数

2.地域手当の種類と対象地域

地域手当の種類と対象地域

公務員の地域手当は、勤務地の特性や生活環境に応じて複数の種類に分かれており、それぞれ異なる支給基準が設けられています。

都市部手当(都市手当)

都市部手当は、以下のような主要都市部で働く従業員に支給される手当です。民間企業の賃金水準を参考に支給割合が決定されており、最も高い東京23区では基本給の20%が支給されます。

  • 東京23区
  • 大阪市
  • 横浜市
  • さいたま
  • 市千葉市
  • 名古屋市など

これらの地域は物価水準が高く、特に住居費や日用品の価格が全国平均を大幅に上回るため、生活費の負担が重くなる傾向があります。

また、成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港の周辺地域も、国際空港という特殊性から「特例措置」として高い支給割合が適用されています。

7段階の級地区分と支給割合一覧

地域手当の支給地域は、物価水準や民間賃金の水準に基づいて1級地から7級地までの7段階に区分されています。

等級支給割合地域
1級地20%東京23区
2級地16%大阪市・横浜市
3級地15%さいたま市・千葉市・名古屋市
4級地12%神戸市
5級地10%京都市・広島市・福岡市など
6級地6%仙台市・静岡市など
7級地3%札幌市・新潟市など

この区分は約10年ごとに見直されることとされており、直近では2024年に一部地域で変更が行われました。

POINT

民間企業でも、こうした公務員の基準を参考に制度設計を行うケースが多く見られます。

参照:人事院「国家公務員の諸手当の概要」

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広域異動手当

広域異動手当は、官署間の広域にわたる異動(転勤)に伴う負担を軽減するために支給される手当です 。

異動前の勤務地から新しい勤務地までの距離が原則60km以上あり、住居の移転を伴う場合などが支給の対象となります。支給期間は異動日から3年間で、支給割合は異動の区分に応じて基本給等の5%または10%です。

この手当は、物価水準とは別の「広範囲な異動」という負担に着目した制度であり、都市部手当などと併せて支給されることもあります。

特地勤務手当と寒冷地手当

特地勤務手当は、山間部や離島など、日常生活を送る上で不便な地域に勤務する従業員に支給される手当です。これらの地域では、本土や都市部と比べて物資の運搬費がかかるため、食料品や日用品の価格が割高になる傾向があります。国家公務員の場合、地域の不便度に応じて給与月額の4%から25%の範囲で支給されます。

一方、寒冷地手当は、北海道、東北、北陸地方など、冬季の積雪が多い地域で働く従業員の暖房費負担を軽減するために設けられています。

寒冷地手当は、支給期間が11月から3月までの寒冷期に限定され、扶養家族の有無によって支給額が異なります。

3.地域手当の計算方法:具体例で解説

地域手当の計算方法について、具体例を交えながら解説します。正しく理解することで、給与計算業務の精度を高めるだけでなく、従業員への納得感ある説明にもつながります。人事・総務担当者にとって重要なポイントですので、ぜひ参考にしてください。

基本的な計算式

地域手当の計算は「(基本給+対象となる各種手当)×支給割合」という基本式で行います。

計算には、基本給(俸給)、扶養手当、管理職手当などの手当は含まれますが、時間外手当や通勤手当、住宅手当などは通常対象外となります。支給割合は勤務地の級地区分によって決まり、1級地の20%から7級地の3%まで段階的に設定されています。

この計算式は公務員の規定を基準としており、民間企業では各社の制度に応じて独自の計算方法を採用しているケースもあります。

Point

国家公務員における正式な計算式

国家公務員の給与法では、より厳密に以下のように定められています。

(俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額 × 支給割合

民間企業が制度を設計する際は、この公務員の基準を参考にしつつ、自社の給与体系に合わせて対象となる手当の範囲を就業規則で明確に定める必要があります。

具体的な計算例とシミュレーション

月給30万円(基本給25万円、扶養手当3万円、管理職手当2万円)の従業員を例に、各級地での地域手当額を計算してみましょう。

1級地(東京23区)30万円×20%=6万円
2級地(大阪市・横浜市)30万円×16%=4万8千円
5級地(京都市・福岡市など)30万円×10%=3万円
7級地(札幌市・新潟市など)30万円×3%=9千円

年収ベースで見ると、1級地と7級地の差は年間約61万2千円にもなります。これに賞与への影響(年間4.5ヶ月分と仮定)を加えると、さらに約22万9千円の差が生じ、合計で年間約84万円の収入差となる計算です。

賞与や残業代への影響

地域手当は、賞与計算や時間外手当の算定にも影響があります。多くの企業では、賞与の計算基礎に地域手当を含めているため、地域手当の有無や金額が賞与額に直接影響するのです。

具体例:月給30万円従業員の場合

【勤務地が東京都】
月給30万円×20%=地域手当6万円→合計給与36万円
合計給与36万円×賞与2ヶ月=72万円

【勤務地手当がない場合】
月給30万円×賞与2ヶ月=60万円

また、時間外手当の単価計算においても、地域手当を含めた月給を基準とするため、1時間あたりの単価が高くなります。社会保険料についても、地域手当を含めた総支給額が標準報酬月額の算定基礎となるため、保険料負担が増加する点も注意が必要です。

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4.民間企業での地域手当導入状況と相場

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民間企業における地域手当の導入は企業の判断に委ねられており、業界や企業規模によって大きな差があります。最新の公的調査データを基に、自社にとって最適な制度設計を検討するための判断材料としてください。

民間企業での導入率と企業規模別傾向

厚生労働省の最新調査「令和5年就労条件総合調査」によると、民間企業における地域手当(勤務地手当など)の導入率は10.9%です。

これは、以前の調査(令和2年)の12.2%から微減しており、テレワークの普及など働き方の変化が影響している可能性が考えられます。

企業規模別に見るとその傾向は明確で、従業員数が多い大企業ほど導入率が高いことがわかります。


  • 1,000人以上の企業: 32.1%
  • 300~999人の企業: 19.3%
  • 100~299人の企業: 11.2%
  • 30~99人の企業: 8.0%

大企業ほど導入率が高い理由は、全国に事業所を持つ企業が転勤による地域格差を調整する必要性があるためと考えられます。

一方、中小企業では約9割が導入していないのが実情です。

参照:厚生労働省「令和2年就労条件総合調査の概況」「令和5年就労条件総合調査 結果の概況

民間企業における地域手当の平均金額

令和5年就労条件総合調査によると、地域手当の1人あたりの平均支給月額は21,600円でした。

企業規模による支給額には大きな差は見られず、制度を導入している企業では、規模にかかわらず一定水準の手当が支給されていることがうかがえます。

地域・勤務地手当の企業規模別 平均支給額
【令和5年就労条件総合調査 結果の概況】労働者1人あたり平均支給月額
1,000人以上
23,200円
300~999人
20,400円
100~299人
20,200円
30~99人
19,500円
全体平均
21,600円

支給方法については、定額支給と定率支給の両方が採用されており、定額支給では地域ごとに一律の金額を設定し、定率支給では基本給に対する一定割合で算出するケースが多く見られます。

POINT

民間企業では、公務員の制度を参考にしつつも、各社の業績や財務状況に応じて独自の支給基準を設けているケースが大半を占めています。

大手企業の地域手当事例

全国展開する大手企業では、以下のような地域手当制度を採用しているケースが多く見られます。

■製造業の場合

  • 東京23区勤務者に基本給の15%
  • 大阪・名古屋勤務者に10%
  • その他主要都市勤務者に5%

■金融業の場合

細かい区分を設けており、支店の立地する市区町村ごとに1%から18%まで幅広い支給割合を設定

■情報通信業の場合

プロジェクトベースでの勤務が多いことから、3ヶ月以上の長期派遣の場合に限り地域手当を支給

これらの事例からも分かるように、各社の事業特性や組織構造に応じて柔軟な制度設計が行われています。

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5.地域手当導入時の5つのポイント

地域手当導入時の5つのポイント インフォグラフィック

地域手当導入時の5つの重要ポイント

制度廃止時のリスクと対応策

従業員間の不公平感への対処

制度設計時の基準設定

税務・社会保険料への影響

給与計算業務の複雑化への対応

地域手当を導入する際には、制度設計から運用までさまざまな課題に対する慎重な検討が必要です。以下で、導入時に押さえておくべき5つの重要なポイントを解説します。

従業員間の不公平感への対処

地域手当導入時に最も考慮すべきなのが、従業員間の不公平感です。同じ職務内容であっても勤務地によって給与に差が生じるため、支給対象外の従業員から不満の声が上がる可能性があります。

この問題は単なる感情論に留まらず、勤務地によって処遇格差が生まれるという制度の本質的な課題にも関わっています 。過去には、この公平性をめぐり訴訟に発展した事例もあり 、制度の目的と必要性について、企業は従業員へ丁寧に説明する責任があります。

【対策】地域手当導入の目的と必要性について十分な説明を行う。

物価指数や住居費の地域差を数値で示し、地域手当が生活費の格差を補正するための合理的な制度であることを理解してもらいましょう。

地域手当以外の福利厚生制度で地方勤務者にメリットを提供したり、キャリア形成の観点から地方勤務の価値を明確化したりすることも効果的です。

制度設計時の基準設定

地域手当制度を設計する際は、支給地域の決定、支給額の算定根拠、見直し頻度の3つの要素を検討しましょう。

支給地域公務員の級地区分を参考にしつつ、自社の事業所立地や従業員の生活実態を考慮して決定
支給額の
算定根拠
当該地域の物価水準、民間企業の賃金相場、自社の財務状況を総合的に勘案する
制度の透明性を保つため、算定根拠を明文化し、従業員に公開する
見直し頻度物価変動や社会情勢の変化に対応できるよう、3年から5年程度での定期見直しを制度化しておく

給与計算業務の複雑化への対応

地域手当の導入は、給与計算業務を大幅に複雑化させる要因となります。従業員の勤務地情報を正確に管理し、転勤や出向に伴う手当の変更を適切に処理する必要があるため、給与計算システムの改修や運用手順の見直しが不可欠です。

特に、複数拠点に従業員が分散している企業では、拠点ごとの支給基準管理や、プロジェクト出向による一時的な勤務地変更への対応が課題となります。

【対策】地域手当に対応した給与計算システムの導入を検討する。

自動計算機能や勤務地変更時のアラート機能があるシステムを選ぶとよいでしょう。また、人事部門と経理部門の連携を強化し、情報共有体制を整備することも重要です。

税務・社会保険料への影響

地域手当は課税対象となる給与の一部であるため、所得税や住民税の算定に影響を与えます。また、社会保険料についても、地域手当を含めた報酬月額が標準報酬月額の決定基礎となるため、保険料負担が増加することになります。

これらの影響を従業員に事前に説明し、手取り額の変動について理解を得ておきましょう。特に、地域手当の支給により社会保険料の等級が上がる場合は、将来の年金給付額にもプラスの影響があることを併せて説明することで、従業員の理解を促進できます。

POINT

税務上の取り扱いについては、税理士などの専門家に相談し、適切な処理方法を確認しておきましょう。

制度廃止時のリスクと対応策

地域手当の廃止は、労働条件の不利益変更にあたる可能性があるため、慎重な対応が必要です。一方的な廃止は労働契約法に抵触するリスクがあり、従業員との十分な協議や代替措置の検討が求められます。

【対策】段階的な縮小や経過措置の設定、基本給への組み入れなどの代替案を用意する

また、廃止の理由について合理的な説明を行い、従業員代表との協議を通じて理解を得ましょう。法的リスクを回避するためには、労務管理の専門家に相談し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。

制度導入時から将来の見直しや廃止の可能性を想定し、就業規則などに明記しておくことも重要な対策の一つです。

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6.2024年の地域手当見直し|動向と今後の展望

2024年に実施された「地域手当制度」の見直し内容と、今後の見通しを整理しました。

人事院勧告による制度変更内容

2024年、人事院は国家公務員の給与に関する勧告を行い、その中で地域手当制度の大幅な見直しも実施しました。詳細は人事院の公式サイトで確認できます 。

  • 支給対象の拡大
    人口増加が著しい首都圏近郊都市や、IT企業の集積が進む地方都市が新たに支給対象地域として追加

  • 支給割合の引き下げ
    人口減少が進む一部地域で、支給割合の引き下げ

これらの変更は、近年の社会経済情勢の変化や民間企業の賃金動向を反映したものです。民間企業においても、この人事院勧告を参考に自社の地域手当制度を見直す動きが活発化しているため、人事担当者は最新の動向を注視する必要があります。

人事院勧告(じんじいんかんこく)とは

国家公務員の給与や勤務条件を適正に保つために、人事院が毎年行う勧告制度のこと。

テレワーク普及による制度見直しの必要性

新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが急速に普及したことにより、従来の勤務地を基準とした地域手当制度に課題が生じています。在宅勤務が常態化した従業員の場合、居住地と勤務地が異なるケースが増加し、どちらを基準に地域手当を支給するかが新たな論点となっています。

また、フルリモート勤務の従業員については、そもそも地域手当の支給が必要なのかという根本的な疑問も提起されています。今後は、働き方の多様化に対応した柔軟な制度設計が求められることになるでしょう。

今後の地域手当制度の方向性

地域手当制度は、社会情勢の変化に伴い大きな転換期を迎えています。従来の勤務地ベースの制度から、より柔軟で実態に即した制度への移行が進むと予想されます。具体的には、以下のようにさまざまな選択肢が検討されるでしょう。

  • 居住地ベースの制度への変更
  • テレワーク対応手当の新設
  • 地域手当の段階的廃止など

今後は、AI技術の発達や働き方のさらなる多様化により、地域による格差が縮小し、長期的には地域手当制度そのものの必要性が見直される可能性も考えられます。

人事担当者は、こうした社会全体の動向や、制度が内包する公平性の課題 も踏まえつつ、自社の事業特性や従業員のニーズに適した制度設計を継続的に検討していく必要があります。

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7.地域手当に関するよくある質問

36協定に関するよくある質問

地域手当を実際に運用する際は、人事担当者が迷いやすいポイントや課題が少なくありません。よくある疑問にあらかじめ備えておくことで、スムーズかつ効率的な運用が可能になります。

Q.住居地と勤務地が異なる場合はどう扱うの?

A.一般的に勤務地を基準として支給するのが原則です。

地域手当の本来の目的は、勤務地における物価水準や民間賃金水準との均衡を図ることです。例えば、千葉県に居住しながら東京23区内で勤務する従業員の場合、勤務地である東京23区の支給基準(1級地20%)が適用されます。

ただし、テレワークの普及により在宅勤務が中心となった従業員については、居住地を基準とする企業も増えています。この場合は、就業規則などで明確な基準を定め、従業員に周知することが重要です。

出張や一時的な勤務地変更については、3ヶ月以上の長期間にわたる場合に限り支給対象とする企業が多いようです。

Q.転勤時の地域手当変更手続きはいつ適用するの?

A.転勤発令日から新しい勤務地の支給基準が適用されますが、給与計算の都合上、翌月からの適用とする企業も多いです。

転勤前後で地域手当額に大きな変動がある場合は、従業員への事前説明を行い、手取り額の変化について理解を得ておくことが推奨されます。また、異動に伴う一時的な負担を軽減するため、一定期間の経過措置を設ける企業もあります。

給与明細への反映時期についても、従業員に明確に伝えることでトラブルの防止につながります。

Q.地域手当と住宅手当の併用はできるの?

A.制度の目的が異なるため、基本的には併用可能とする企業が大半です。

地域手当は勤務地の物価水準に応じた生活費の調整を目的とする一方、住宅手当は住居費負担の軽減を目的としており、それぞれ独立した制度として運用できます。ただし、両手当を併用する場合は、従業員間の公平性や総人件費への影響を慎重に検討する必要があります。

特に、高額な地域手当が支給される地域では、住宅手当との合計額が過大になる可能性があるため、支給上限額の設定や調整機能の導入を検討する企業も少なくありません。

税務上の取り扱いについても、両手当ともに課税対象となる点を従業員に説明しておくと、トラブル回避につながります。

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8.地域手当制度を効果的に運用するために

地域手当制度は、全国に拠点を持つ企業にとって重要な人事制度のひとつです。本記事で紹介した仕組みや計算方法、導入時の注意点を理解し、自社に合った制度を設計していきましょう。

また、2024年の制度見直しをうけ、今後は各社の実情に合わせた柔軟な運用が求められていきます。テレワークの普及や働き方の多様化により、地域手当制度は今まさに変化の時期を迎えていますが、従業員の納得感と制度のわかりやすさを大切にすれば、人材の確保と組織の公平性の両立が可能です。

制度の定期的な見直しと丁寧な情報共有で、より良い職場環境づくりに取り組みましょう。

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