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【採用担当者必見】タクシー新卒採用のポイント|他社事例も紹介

近年、タクシー業界で新卒ドライバーの採用が増加しています。その背景には、高齢化による人員不足の解消や、二種免許取得条件の緩和があります。

新卒者にとっても、高収入や多様なキャリアパスが魅力となり、タクシードライバーは意外な就職先として注目を集めています。

この記事では、そんなタクシー業界の新卒採用の現状と、採用担当者が知っておきたい新卒採用のポイントについて詳しく解説します。

この記事を読んでわかること
  • タクシー会社が新卒ドライバーを求める理由
  • 新卒タクシードライバーの年収と働き方の特徴
  • タクシー業界の新卒採用成功事例と採用のポイント

1.タクシー会社が新卒タクシードライバーを求める理由

タクシー会社が新卒タクシードライバーを求める理由

近年、タクシー会社が新卒ドライバーを積極的に採用している理由として、以下の3点が挙げられます。

①高齢化などによる人員不足を解消するため

タクシー業界では、少子高齢化の影響などにより人手不足が深刻化している状況です。

最新技術を対応する難しさや加齢による事故リスクなど、高齢ドライバーが離職に踏み切る理由は多岐にわたります。

このような状況において、順応力が高く長期的に活躍できる新戦力として、新卒ドライバーが強く求められています。

②二種免許の取得条件緩和で若手ドライバーが増えやすい

2022年の道路交通法改正により、タクシードライバーに必須である二種免許の受験資格が緩和されました。

従来は21歳以上かつ3年以上の運転経験が必要でしたが、改正後は19歳以上かつ1年以上の普通免許保持者であれば、受験が可能です。

この規制緩和によって、新卒者が早い段階で二種免許を取得し、ドライバーとしてのキャリアをスタートできるようになったことから、新卒採用が増えています。

③企業も新卒タクシードライバーを積極採用

社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の調査によると、2023年度は全国155事業者が1,068人の新卒者を採用しました。

2017年度の同調査と比較すると、約40事業者および約300人の新卒者が増えました。このように、統計データからもタクシー会社が新卒採用を積極的に展開するようになったことが伺えます。

参照元
全国ハイヤー・タクシー連合会「定時制乗務員数・新卒者乗務員採用状況(令和5年3月末現在
)」

全国ハイヤー・タクシー連合会「新卒者・定時制乗務員の採用状況(平成29年3月末調査)」

2.採用担当者が知っておきたい新卒採用のメリット

新卒採用のメリット

新卒採用ならではのメリットとして、以下の4点が挙げられます。

1.企業の価値観を引き継ぎやすい

新卒者は他社での経験がないため、企業のビジョンや文化、理念をニュートラルに受け入れやすい点が特長です。

ゆえに、企業のビジョンなどをしっかりと継承し、将来的に組織の核となる人材を育成しやすくなります。

2.企業組織の活性化につながる

フレッシュな視点を持つ新卒ドライバーが入社することで、組織全体の活性化につながります。

新卒者への教育を通じて、既存するベテランドライバーの責任感やリーダーシップ、仕事の質などの向上も期待できます。

3.1人あたりの採用効率が向上

新卒採用は中途採用に比べて、1人あたりの採用コストを抑えられる点がメリットです。

新卒採用の場合、特定の時期に一括して、多くの学生を対象に採用活動を行うため、採用担当者の負担とコスト軽減が可能です。

4.世代バランスを整えやすい

定期的な新卒採用は、ドライバーの年齢構成をバランスよく保てます。

年齢層が均等な組織は、多様な価値観や視点を取り入れやすく、急激な環境変化にも順応できる傾向があります。

また、特定の世代の退職により生じる、労働力不足やノウハウの喪失などのリスク軽減にも効果的です。

3.新卒者がタクシードライバーを目指す理由

近年、新卒者にとって、タクシードライバーは魅力的な選択肢になりつつあります。

その背景には、サービスの多様化に伴い、タクシーが身近な存在になったり、社会的な重要性が認識されたりするようになったことが関係しています。

1.配車アプリの普及

従来、タクシードライバーが効率的に稼ぐためには、「いつどこの道を走れば乗客を拾いやすいか」をポイントにした、「流し営業」のノウハウを持つことが重要とされていました。

つまり、タクシー業界は属人性が高く、経験が豊富なベテランであるほど有利です。

しかし、近年では配車アプリの普及によって、こうしたノウハウがない新人ドライバーでも稼ぎやすくなったことから、経済面における参入障壁が緩和されました。

2.20代、30代のタクシー利用増加

近年、タクシーの用途や乗客層にも変化が見られます。

例えば、20代、30代のビジネスパーソンが通勤時や移動時にタクシーを利用するケースが増えています

タクシー業界側でも、相乗りアプリを通勤用サービスに組み込むなど、新たな需要に順応する動きを見せている状況です。

このように安定した需要を見込めることから、タクシー業界は新卒者にとって、魅力的な選択肢のひとつになっています。

3.タクシーサービスの多様化

通勤タクシーを含め、タクシー業界は新たなサービス開発に積極的です。

これにより、タクシードライバーの仕事には、新たなやりがいや社会的価値が生まれており、若者を惹きつける要因になっています。

近年、注目を集めている新サービスの具体例は以下の通りです。

観光タクシー

観光タクシーとは、利用者が観光地を巡るために、時間貸しで利用するタクシーを指します。大規模な観光バスと異なり、乗客ごとにルートを自由に設定できるので、観光客のニーズに順応できる柔軟性が特長です。

キッズタクシー

キッズタクシーとは、子どもの送り迎えをサポートするタクシーを指します。保育園や学校、習い事などへの安全な送迎をサポートするこのサービスは、多忙な子育て世帯にとって欠かせない存在です。

サポートタクシー

サポートタクシーとは、高齢者や身体の不自由な方の生活を支援するタクシーです。

病院や役所への送迎だけではなく、買い物や日常生活のサポートもサービス内容に含まれます。少子高齢化が進む日本において、こうしたサービスは今後、ますます需要が高まる見込みです。

陣痛タクシー

陣痛タクシー(マタニティタクシー)は、妊婦さんが陣痛時や通院時に利用するためのタクシーです。通常のタクシーは車内の汚れなどを忌避して、妊婦さんの乗車を断ることがあります。

しかし、このサービスを利用すれば病院まで移動できるため、妊婦さんやその家族にとって心強い存在です。

4.新卒タクシードライバーの年収例

タクシードライバーは他業界と比較して、入社後すぐに高い年収が期待できる職業です。

実際、全国ハイヤー・タクシー連合会の「令和5年タクシー運転手の賃金・労働時間の現況」によると、20~24歳のタクシードライバーの推計年収は約416万円です。

これは、同年代の全業界における推計年収の約335万円と、約80万円もの差があります。

このように、タクシードライバーが若いうちから稼げる理由としては、タクシー業界の給与体系が「固定給+歩合制」、もしくは「完全歩合制」であることが関係しています。

歩合制は年齢に関係なく、売上次第で収入アップが可能です。加えて、自分の実力や頑張りが収入につながる喜びを得られます。

参照元:全国ハイヤー・タクシー連合会「令和5年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」

5.【新卒採用】タクシードライバー採用のポイント

新卒採用でタクシードライバーを採用するヒント

タクシードライバーの仕事には、新卒者にとって魅力的な要素が多いですが、新卒採用を成功させるには、その魅力を効果的に発信することが必要です。

以下より、その新卒採用のポイントを紹介します。

求人広告を工夫する

まず、求人広告の内容を工夫することが重要です。以下の要素に注目して、魅力的かつわかりやすい求人を作成しましょう。

職種名

職種名には、求職者の関心を引く要素を含めることが大切です。

収入の高さや勤務日数の少なさなど、メリットを明確に示すことをおすすめします。

【良い例】
タクシードライバー(平均年収〇〇万円)
普通免許でOK!二種免許取得支援あり!

【悪い例】
タクシードライバー

仕事内容

仕事内容は、求職者が具体的にイメージしやすいように書きます。

特に、営業方法やサポート体制など、未経験者が不安に感じやすい部分のフォローが大切です。

【良い例】
タクシーアプリや無線配車を活用し、お客様を目的地まで安全に送迎する仕事です。
二種免許の取得費用は会社が全額支援し、入社後はナビシステムにより安心して業務を開始できます。

【悪い例】
タクシードライバーとして、お客様を目的地までお送りします。

応募資格

応募資格は、求職者が自分に合った職種かどうかをひと目で確認できるように、必須条件と歓迎条件を明確に分けて記載しましょう。

【良い例】
必須条件:普通免許(取得1年以上)、高卒以上
歓迎条件:接客経験をお持ちの方

【悪い例】
普通免許、高卒以上、接客経験のある方歓迎

給与・年収例

給与や年収は、具体的な数字を示し、収入の伸びが見込めることを強調します。

特に、歩合制のメリットや収入保証がある場合は明確に伝えるとよいです。

【良い例】
月給20万円+歩合給。年2回の賞与あり
初年度は年収400万円を保証!入社3年目で年収500万円、5年目には600万円を目指せます。
〈年収例〉
入社3年目:年収500万円
入社5年目:年収600万円

【悪い例】
月給20万円以上
〈年収例〉
入社3年目:年収500万円

休日休暇

休日休暇は、具体的な日数やシフト体制をわかりやすく説明することが大切です。

特に、タクシー業界特有の「明け休み」の説明を加え、月の乗務回数が少ないことを示しましょう

【良い例】
月6~7日休み(シフト制/土日休みや連休も取得可)、有給休暇、慶弔休暇
1回の勤務時間が長いので、乗務日の翌日は休日(明け休み)です。そのため、実質的な乗務回数は月12回、休日日数は月18日前後となります。

【悪い例】
シフト(シフト制/土日休みや連休も取得可)、有給休暇、慶弔休暇

企業の採用ページを作成する

自社のWebサイトに、採用情報に特化したページを作ることも欠かせません。

近年の学生は企業説明会だけではなく、インターネットを通じてさまざまな情報を集めています

そのため、採用ページが存在していない場合、他社と比較して情報の発信量が少なくなりがちです。

採用ページでは、仕事内容や会社のビジョン、福利厚生、キャリアパスなど、学生が知りたい情報をわかりやすく提供しましょう。

学生にとって、タクシードライバーは未知の職種であり、勤務スケジュールや仕事内容がイメージしにくいので、丁寧に伝えることが大切です。

学生に直接スカウトを送る

近年の新卒採用では、ダイレクトリクルーティングが主流となっており、学生に直接スカウトメールを送る方法もあります。

特に、中小企業や知名度の低い業界は、待ちの姿勢で行う求人媒体だけでは、学生へのアピールが困難です。伝え方以前に、そもそも視野に入れてもらえないことすら珍しくありません。

その点、スカウト型の採用活動を取り入れることで、学生一人ひとりに対して直接アプローチし、選択肢のひとつとして考えてもらいやすくなります

経営陣が積極的に採用活動に参加する

特に中小企業の場合、経営陣が積極的に採用活動に関わることもおすすめです。

社長や経営陣が学生と直接コミュニケーションを取り、会社のビジョンや期待を伝えることで、学生に対して強い印象を与えられます

これにより、新しい採用戦略などを展開する際も従業員から協力を得やすくなるほか、全社一丸となって若手の採用・育成に取り組めるようになります。

6.タクシー業界で新卒採用に成功している企業事例

国際自動車株式会社

国際自動車株式会社は、毎年約100人の新卒者をコンスタントに採用しているタクシー会社です。

同社は以下の取り組みによって、若手の人材獲得に成功しています。

若手に寄り添った採用コンセプト

採用活動において、「すっぽんぽん採用」や「ありのまま採用」、「仮面就職」など、独自の採用プロモーションを取り入れています。

「すっぽんぽん採用」と「ありのまま採用」のコンセプトは、企業も学生も飾らずに、本音で長所・短所をさらけ出して話し合うことです。

また、「仮面就職」には、“定年まで同社で働き続ける必要はなく、働きながら自分のやりたいことを見つけられるように応援します”というメッセージが込められています。

こうしたユニークな手法によって、同社は学生に興味を持ってもらえるように工夫しています。

丁寧な選考フロー

採用活動の特徴は、学生一人ひとりに30時間以上もの時間を費やしている点です。

会社説明会やグループワーク、個別面接など、あらゆる接点で学生と真摯に向き合うことをモットーにしています。

その過程の中には、他社を受ける学生にアドバイスを与えることすらあるそうです。

このように、学生の悩みや不安へ誠実に対応することで、同社は自社への信頼を高めるとともに、入社後のミスマッチを減らし、内定率の向上や早期離職率の抑制に成功しています。

参考:新卒採用で会社を変える、業界を変える徹底した「社員第一主義」を貫く、国際自動車の若手採用・育成の極意

7.新卒でタクシードライバーになった方の声

新卒でタクシードライバーになった方の声

日本交通 に入社したTさん

日本交通株式会社(以下:日本交通)に新卒採用されたTさんは、もともと観光業やサービス業に関心がありましたが、一見それらと無縁に見えるタクシードライバーは、当初は選択肢に入れていなかったそうです。

しかし、前述したように、タクシー業界も観光タクシーやサポートタクシーのように、観光業・サービス業との接点を持っていることに気付き、タクシードライバーへの関心が高まっていきました。

就職の決め手

Tさんが日本交通に就職する決め手となった要素は、主に3つあります。

1つ目は、関西の企業から内定をもらっていましたが、東京で価値観を広げたいというチャレンジ意欲が強く表れていたことです。

また、人間関係のよさも理由のひとつです。Tさんは当初、タクシードライバーは人間関係が薄いイメージを持っていましたが、選考を通じて日本交通では同期間のつながりが強いことを知り、印象が変わりました

そして、最後の決め手は働き方です。明け休みに象徴されるように、一気に働いて一気に休むというメリハリの利いた働き方が自分に合っていると感じ、日本交通への就職を決めました。

入社前と入社後に感じたギャップ

Tさんは、入社前後で大きなギャップは感じなかったそうです。ただし、明け休みの仕組みを誤解していた部分もあり、慣れないうちは疲れが溜まりがちでした。

一方で、仕事中に長めの休憩を取れることや、仕事を自分のペースで進められる自由度にはよい意味での驚きがあり、新鮮な日々を楽しんでいると語っています。

8.新卒採用でタクシー業界に新しい風を

タクシー業界の新卒採用は、人材不足の解消と業界の活性化に貢献しています。新卒者にとっても、高収入や多様なキャリアパスが魅力となっています。

企業は魅力的な求人広告の作成や丁寧な選考プロセスを通じて、優秀な人材の獲得に成功しています。

今後も、タクシー業界は新たなサービスの開発や働き方の改革を通じて、若い世代にとってより魅力的な業界となることが期待されます。

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