企業の採用活動において、優秀な人材の確保がますます重要となっている昨今、ダイレクトリクルーティングという手法が注目を集めています。
従来の「待ちの採用」から脱却し、企業が主体的に候補者にアプローチするこの手法は、採用市場の競争激化や人材不足を背景に、多くの企業で導入が進んでいます。
本記事では、ダイレクトリクルーティングの基礎から実践的なノウハウまでを詳しく解説します。
- ダイレクトリクルーティングの基本的な仕組みと、従来の採用手法との違い
- 新卒・中途それぞれの主要なダイレクトリクルーティングサービスの特徴と選び方
- 採用成功率を高めるための具体的な運用方法とスカウトメッセージの作成のコツ
1.ダイレクトリクルーティングの基本概要と特徴
近年、企業の採用活動において新たな手法として、企業自らが求める人材に直接アプローチするダイレクトリクルーティングが注目されています。この変化の背景には、労働市場の構造的な変化や技術の進化があり、より効率的で精度の高い採用の実現が期待されています。
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングは、企業が求める人材を能動的に探し出し、アプローチする採用手法です。従来の「待ちの採用」から脱却し、ヘッドハンティングやスカウトを活用して企業側から直接ターゲットに働きかけます。
これにより、転職を検討していない潜在層にもアプローチでき、採用の幅が広がります。労働力人口の減少や売り手市場が続く現在、優秀な人材を確保するためには企業が主体的に動くことが重要です。
そのような背景からダイレクトリクルーティングは中途採用のみならず、新卒採用でも利用されることが増え、採用活動の効率化に貢献しています。
従来の採用手法との違い
ダイレクトリクルーティングと従来の採用手法との違いを多角的に解説します。
従来の採用手法 | ダイレクトリクルーティング | |
---|---|---|
基本的なアプローチ | ・求人情報の掲載 ・求職者からの応募を待つ ・受動的な採用活動 | ・企業側から人材を探索 ・直接的なアプローチ ・能動的な採用活動 |
採用プロセスの起点 | ・求職者からの応募 | ・企業による人材探し |
採用活動の特徴 | ・応募待ち ・限定的な候補者層 ・時間依存的 | ・積極的なアプローチ ・幅広い候補者層 ・即時的なアクション可能 |
活用できるチャネル | ・自社採用サイト ・求人サイト ・求人広告 | ・終章イベント ・SNS ・人材データベース ・スカウトメール |
アプローチできる層 | ・積極的な求職者 ・転職・就職活動中の人材 | ・潜在的な求職者 ・転職を考えていない優秀な人材 ・特定スキルを持つ専門家 |
採用の時間軸 | ・応募があるまで待機 ・プロセス開始時期が不確実 | ・即座にアプローチ可能 ・計画的な採用活動が可能 |
採用の質的特徴 | ・応募者の中から選考 ・限られた選択肢 | ・理想の人材を直接探索 ・より広い選択肢から厳選可能 |
コスト面の特徴 | ・求人広告費用 ・掲載期間に応じた固定費用 | ・スカウト配信費用 ・成功報酬も選択可能 ・的確なターゲティングによる効率的な投資 |
従来の採用手法では、自社サイトや求人サイトに求人情報を掲載し、求職者からの応募を待つのが一般的でした。この方法では応募がなければ採用プロセスは進まないため、企業は受け身の姿勢を取らざるを得ません。
一方、ダイレクトリクルーティングでは、採用プロセスが人材探しから始まります。企業が積極的に理想の人材を見つけ、直接アプローチすることで、より迅速かつ的確に採用活動を進めることが可能です。
また、ダイレクトリクルーティングでは、就職イベントやSNSなどを活用し、企業側から積極的に人材を探し出す手法を取ります。企業が幅広い候補者と接触できるため、採用の幅を広げられるのも利点です。
注目されている背景や市場動向
ダイレクトリクルーティングが注目される理由として、デジタル化の進展や労働市場の変化が大きく影響しています。
特に、SNSの普及により、企業と求職者の直接的なコミュニケーションが容易になり、従来の採用手法に比べて迅速かつ効率的なアプローチが可能となりました。
また、終身雇用制度の崩壊に伴い働き方やキャリアに対する意識が多様化し、人材の流動性が高まっていることも要因です。この変化により、企業は待ちの姿勢からの脱却と、積極的にアプローチする採用手法の導入を迫られています。
さらに、採用市場の競争が激化する中、企業は高騰する採用コストを抑え、効率的な人材確保をしなければなりません。
ダイレクトリクルーティングは従来の求人広告や人材紹介に比べ、コストを抑えながら望ましい人材に直接アプローチできる点が大きな強みです。
2.ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット
ダイレクトリクルーティングは従来の求人広告や人材紹介会社を通じた採用活動とは異なり、企業が求める特定のスキルや経験を持つ候補者に直接働きかけられる点が特徴です。
しかし、ダイレクトリクルーティングにはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
ダイレクトリクルーティングのメリット
ダイレクトリクルーティングの活用で得られる利点は、採用コストを大幅に抑えながら特定分野に精通した人材を確保しやすくなることです。また、他社との差別化を図り、競争優位性を持つ採用戦略を可能とします。
採用コストの大幅削減を実現
ダイレクトリクルーティングにかかるコストは、主に人材データベースの利用料と成功報酬費です。人材紹介会社を介さずに採用を進められるため、紹介手数料や仲介手数料などの委託費用が発生しません。
また、一部のサービスでは完全成功報酬型やデータベース利用料のみのプランも提供されており、企業のニーズに応じた柔軟な運用が可能です。
質の高い候補者へのアプローチが可能
ダイレクトリクルーティングを導入すれば、企業が求めるスキルや専門知識を持つ候補者に、ピンポイントでアプローチすることが可能です。
また、ダイレクトリクルーティングを通じて候補者に自社を直接アピールできるため、認知度の低い企業でも、従来の採用手法ではアプローチが難しかったスキルの高い人材に接触しやすくなります。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
ダイレクトリクルーティングの導入において注意すべき点は、採用担当者の業務負担が増加することです。
業務負荷が大きく、リソースが必要となる
ダイレクトリクルーティングでは、スカウトメールを活用した採用が中心となるため、適切なターゲットの選定やメッセージ作成、候補者とのやり取りなど、担当者の業務負荷が増大します。
転職を検討していない層にもアプローチするため、時間と労力を要し、成果を得るには長期的な取り組みが必要です。
3.ダイレクトリクルーティング経由の採用を高める7つのポイント
ダイレクトリクルーティングは、優秀な人材を効率よく採用するためにとても効果的な方法です。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
これらのポイントを実践することで、採用の質を高め、企業に最適な人材を引き寄せられます。
適切なターゲット設定とデータベース検索
採用活動においては、採用ペルソナを作成することが欠かせません。
採用ペルソナとは、企業が求める理想的な人材像を詳細に定めたもので、年齢や居住地、必要なスキルや職歴といった基本情報に加え、転職理由やキャリアプラン、ライフスタイル、趣味嗜好などを想定します。
単にスキルや経歴だけで候補者をスカウトすることは、自社の働き方や文化と合わないリスクがあるため、慎重に行うべきです。また、求職者がどのような価値を自社に求めているかを理解し、その点をアピールすることも効果的です。
効果的なスカウトメッセージの作成
スカウトメッセージを作成する際は、個々の候補者に合わせた内容を心がけることが重要です。メールマガジンのようなメッセージでは、企業側の熱意が伝わりにくく、候補者の関心を引けません。
候補者をスカウトする理由や、その人の強みを生かせる環境があること、入社することで得られるメリットなどをしっかり伝えることが大切です。
このように特別感を演出することで、候補者が自社に興味を持ちやすくなります。
フォローアップのタイミング
内定辞退を防ぐためには、候補者の入社意欲を高めるための適切なフォローアップが欠かせません。採用通知後、候補者が入社に対して不安を感じたり、転職意欲が低下したりして、内定辞退につながる場合があります。
これを防ぐには、内定通知書や労働条件通知書の送付、内定後の手続きやスケジュールの共有などが有効です。候補者とこまめに連絡を取ることで、採用担当者や企業に対する信頼感が深まり、内定辞退の防止につながります。
面談・面接での注意点
ダイレクトリクルーティングを効果的に進めるためのポイントとして、選考前に面談を行う方法があります。この面談では、通常の面接とは異なり、志望動機を尋ねることは避けるべきです。
候補者に正直で透明性のある印象を与え、興味を持ってもらうことが大切なので、自社の強みだけでなく、弱みも含めてリアルな情報を開示しましょう。
また、人事担当者だけでなく、候補者が知りたい情報を持つ上司や同僚を同席させることで、より具体的で信頼性のある情報を提供でき、候補者の関心を引きやすくなります。
データ分析
採用活動の効率を向上させるためには、効果的なデータ分析と継続的な改善が不可欠です。失敗事例や成功事例のデータをしっかりと蓄積し、それを基に検証することで、課題の洗い出しや改善が進み、採用アプローチの精度を高められます。
採用がうまくいかない場合、スキルや経験だけでなく、職務適性や性格特性、創造的思考などの視点を加えるのも効果的です。これを「コンピテンシーモデル」と呼びます。コンピテンシーモデルを活用することで、採用基準に新たな視点を加え、自社に最適な人材を見つけ出せる可能性が高まります。
社内体制の整備
採用活動には多くの工数がかかります。そのため、専任の担当者を設置することが望ましいのですが、任せきりにはせず、管理職や上層部も積極的に関与することが重要です。
このように社内全体で採用に関わることで、候補者に対して社内の風通しの良さをアピールでき、企業文化や働きやすさを伝えられます。また、多様な視点から評価できるようになるため、採用する人材と自社文化とのミスマッチ防止にも有効です。
長期的な運用戦略
ダイレクトリクルーティングでは、候補者との長期的なコミュニケーションが成功のカギを握ります。中途採用に適した手法であるため、候補者ごとに転職意欲に差があり、採用に至るまでに時間がかかることが少なくありません。
そのため、長期的な関係を築きながら信頼を深め、最終的に入社意欲を高めることが不可欠です。
4.ダイレクトリクルーティングの主要サービス
ダイレクトリクルーティングサービスは、運営する企業によって強みや特徴が異なります。新卒採用向けや中途採用向け、さらには特定の業種・職種に特化したものなど、さまざまなサービスが提供されています。
自社に適したサービスを選ぶためには、登録している求職者の属性や数、料金体系、サポート体制、スカウトの返信率や面談率といった要素を総合的に検討することが重要です。
【中途採用】ダイレクトリクルーティングサービス
ビズリーチ(株式会社ビズリーチ)
ビズリーチでは、優秀な人材が247万人以上登録されている国内最大級のデータベースから、企業自ら「欲しい」人材を選び、直接スカウトできます。登録者は、経営幹部や管理職、専門職、次世代リーダーなどの即戦力人材を中心に、さまざまな職種・業種のプロフェッショナルが揃っています。
さらに、ビズリーチに登録できるのは独自の審査基準をクリアした精鋭のみであり、質の高い候補者と出会えるサービスです。料金プランは、「スタンダードプラン」と「プレミアムプラン」の2種類があり、月ごとに送信可能なスカウト通数がそれぞれ設定されています。
https://bizreach.biz/service/bizreach/
doda ダイレクト (パーソルキャリア株式会社)
doda ダイレクトには、「月額利用料+成功報酬プラン」と「定額プラン」のふたつの料金プランがあり、プランによって利用できるデータベースが異なります。
月額利用料+成功報酬プランであればよりハイクラスな人材が登録されたデータベースを利用でき、定額プランであれば複数名の採用時に1人あたりのコストを抑えられるなど、自社の目的に合わせて選択できる点が魅力です。
なるべくコストをかけずに導入による効果を把握したい場合は、30日間の無料トライアルで実際にどのような登録者がいるのか確認できます。無料トライアルでは定額プランで利用できるデータベースの閲覧や、求人票の作成が可能です。
https://www.saiyo-doda.jp/service/recruiters
エン転職ダイレクト(エン・ジャパン株式会社)
エン転職ダイレクトが提供するスカウトデータベースは、約413万人が登録しており、日本最大級の規模を誇ります。登録者の約53%が同職種で5年以上の経験を持ち、キャリアアップを目指す経験者から豊富な知識を備えたベテランまで、あらゆる職種の求職者が幅広く在籍しています。
採用の専門コンサルタントから求人票やスカウトメールの書き方などアドバイスを受けられるため、初めての導入でも安心して活用できます。
必要な費用は、人材データベースの利用料のみです。料金プランは、利用したいスカウト通数に応じて「ベーシック」「アドバンス」「プロ」の3種類が用意されており、いずれも成功報酬はかかりません。
https://saiyo.employment.en-japan.com/entenshoku-direct-fees
リクルートダイレクトスカウト(株式会社リクルート)
リクルートダイレクトスカウトでは、企業が必要とする人材と転職希望者の情報をAIが分析し、採用につながりやすい候補者を自動でピックアップします。
そのため、コストをかけずに希望に合致した人材を採用しやすい点が強みです。データベースにはさまざまな年収帯や幅広い職種・年齢層の求職者が登録されています。初回導入時の初期費用が無料で、成果報酬型のため、コストを抑えて手軽に導入できるのも利点です。
https://directscout.recruit.co.jp/biz/
AMBI (エン・ジャパン株式会社)
AMBIは、若手ハイキャリア層に特化しており、会員の90%以上が20代と30代です。また、現在の年収が400万円以上の求職者のみ登録可能で、登録者のうち最終学歴がMARCH以上の割合が約45%と、質の高い人材が集まっています。
上場企業に在籍している人材や専門スキルを持つプロフェッショナル、マネジメント経験を有する次世代リーダー候補など、成長意欲の高い優秀な人材を採用できるのが強みです。
料金プランは、「ライト」「レギュラー」「プレミアム」の3種類が用意されており、料金プランごとに設定された利用料金のほか、採用時には理論年収の20%が成功報酬として発生します。
https://en-ambi.com/html/company_inquiry/
Wantedly (ウォンテッドリー株式会社)
Wantedlyは、価値観や会社の想いへの共感を通じて、単純な条件ではなびかない優秀な人材にアプローチできる点が特徴です。会社への共感の強さは、仕事への高いモチベーションにつながります。
Wantedlyは転職サービスに限定されず、仕事に関する情報を得られるメディアとして約400万のユーザーに利用されているため、潜在的な転職検討者へのアピールも可能です。
サービスは毎月定額で、「ライト」「スタンダード」「プレミアム」の3タイプから選べます。成果報酬はかかりません。ただし、ダイレクトスカウトを利用するためには、スタンダードかプレミアムの契約が必要です。また、採用サービスを実際に体験できるトライアルも提供しており、無料で使用感を試せます。
https://www.wantedly.com/about/list
OpenWorkリクルーティング(オープンワーク株式会社)
累計登録者数は約527万人で、20代~30代の若手層が中心となっています。企業の口コミ評価を基にスカウト通数が変動する独自のシステムを採用しており、企業の評判が採用活動に影響を与える仕組みが特徴です。
初期費用や月額利用料は一切かからず、無料で会社紹介の掲載や求人掲載、応募者管理、スカウト送信などの機能を利用できます。費用が発生するのは採用が決定した場合のみで、成功報酬額は、新卒採用が1名あたり40万円、中途採用は1名あたり80万円です。
https://www.openwork.jp/recruiting
【新卒採用】ダイレクトリクルーティングサービス
OfferBox(株式会社i-plug)
OfferBoxはメーカーやIT業界を中心に、スタートアップから大手企業まで約20,000社が導入しており、文系理系を問わず多様な専門性を持つ学生を全国から探せるサービスです。
さらに、人工知能を活用した検索システムを搭載し、企業の行動履歴をビッグデータと照合することで、「企業が求める学生」を優先的に表示し、効率的なマッチングを実現します。
料金プランには「早期定額型プラン」と「成功報酬型プラン」の2種類があり、導入前に1週間の無料トライアルを試すことが可能です。どちらのプランもオファー送信は「通数」ではなく「枠数」による制限が設けられているのも特徴です。オファーを受け取った学生が辞退すると、その枠が再び利用可能となり、別の学生へ新たにオファーを送れます。
キャリアチケットスカウト(レバレジーズ株式会社)
キャリアチケットスカウトでは、企業ごとのインタビューを実施し、働く環境や人の魅力を引き出す企業ページを専任ライターが作成します。募集時には企業の価値観を登録でき、学生に自社の想いを効果的に伝えることが可能です。
さらに、企業ページの作成サポートやオファー文の添削、採用目標の振り返りなど、専任の担当者による充実した支援を受けられます。
料金プランは「定額プラン」と「成功報酬プラン」の2種類があります。定額プランは、大量採用を検討している企業に適しており、一方で成功報酬プランは、コストを抑えたい企業や3名以下の少人数採用を予定している企業に最適です。
https://lp.careerticket.jp/partner/
dodaキャンパス(株式会社ベネッセ i-キャリア)
dodaキャンパスは、専任担当者のサポートを受けながら長期間利用できる点が魅力です。総登録学生は113万人以上と国内最大規模を誇り、これまで接触が難しかった学生や優秀な人材をターゲットにできます。
料金プランは、「定額制プラン」と「成功報酬制プラン」の2種類です。定額制プランでは、低学年の登録学生に無料でイベント案内などを送れます。
低学年のころから卒業するまでの期間学生にアプローチできる定額制プランと違い、成功報酬制プランの利用開始時期は3年生3月からです。コストをかけずに短期で少人数の採用活動をしたい場合は成功報酬制プランが適しています。
https://campus.doda.jp/enterprise/business
iroots(エン・ジャパン株式会社)
irootsは新卒採用向けのダイレクトリクルーティングサービスで、性格や価値観など、多様な軸から自社に合う学生を検索できます。さらに、興味を持った企業へ学生側からスカウト希望を送る「スカウトリクエスト」機能によってもマッチングできる点が特徴です。
料金体系やプランは非公開で、問い合わせ後に実施するオンライン面談を通して適切なプランを提案してもらえます。複数のプランが用意されているため、企業の採用ニーズや時期に応じて柔軟に選択できます。
https://iroots.jp/html/pr/company/index.html
キミスカ(株式会社グローアップ)
キミスカの累計登録者数は約83.4万人で、導入実績は大手企業からスタートアップまで幅広く3,000社以上です。「ゴールド」「シルバー」「ノーマル」と3種類あるスカウト方法の使い分けにより学生へ熱意を伝えやすい点が特徴で、採用機会の向上につながっています。
採用ニーズの把握や学生集客、企業ごとのスカウト実績データに基づく改善提案など、専任の担当者による丁寧なサポートを受けられるのも魅力のひとつです。料金プランは、採用枠数別のプランがベースにあり、必要に応じて高度検索機能や採用管理機能など、多数のオプションから自社に合わせてカスタマイズできます。
Matcher Scout (Matcher株式会社)
Matcher Scoutは運用代行型のサービスを提供しており、採用チームの一員として、候補者選定、スカウト送信、面談日程調整など、ダイレクトリクルーティングに必要な運用業務を代行します。
企業側の作業は、作成された企業ページやスカウト文章の確認・面談可能日時の登録・面談の実地のみで、その他の工数を大幅に削減可能です。
Matcher Scoutは完全成功報酬型のサービスで、初期費用や運用代行費用は一切発生しません。採用が決定した際には1人につき70万円の費用がかかりますが、万が一入社に至らなかった場合は全額が返金される仕組みです。
https://enterprise.matcher.jp/
チアキャリア(株式会社Cheer)
チアキャリアには、就職活動に積極的なMARCH以上の学生が多く登録されているため、質の高い母集団の形成が期待できます。掲載前の原稿作成サポートから、掲載後の改善提案や採用勉強会まで、充実したサポート体制を提供しているため、初めてダイレクトリクルーティングを利用する企業でも活用しやすい点も魅力です。
チアキャリアでは、人事担当者のリソースや採用方針に応じて、4つの料金プランから選択できます。ダイレクトリクルーティングを行いたい企業向けには「ベーシックプラン」と「プレミアムプラン」が用意されており、これらのプランではスカウト配信の通数に2倍の差があります。
https://cheercareer.jp/lp/lp01
LabBase就職(株式会社LabBase)
LabBase就職の特徴は、理系学生に特化している点です。研究室への直接訪問を通して学生の情報を取得し、データベースを作り上げているため、他のダイレクトリクルーティングサービスでは出会えない人材の獲得につながります。
さらに、このデータベースに登録されている学生の80%超はMARCH・国公立以上であり、質の高い理系学生が豊富です。
学生のプロフィールとして、希望する職種や就職先に求めることのほか、研究内容やスキルなども登録されています。そのため、自社が求める人材を探しやすい点も強みです。
採用につながっても成功報酬はかからず、基本的に月額のデータベース料金のみで利用できます。
運送業に特化したダイレクトリクルーティングサービス
クロスワーク(X Mile株式会社)
クロスワークは、運送業や建設業をはじめとするブルーカラーの採用に特化した、日本最大級の現場人材採用サービスです。
応募者の中心は20~30代の現場仕事を希望する層で、各種免許や資格を保有している求職者が90%以上を占めているため、即戦力となる人材の採用につながります。
クロスワークの料金体系は、掲載費無料の成果報酬型を採用しており、採用が決定するまで費用は発生しません。そのため、無駄なコストを抑えながら効率的に人材を確保することが可能です。
https://www.xmile.co.jp/service/xwork/detail
ドラEVER(株式会社ドラEVER)
ドラEVERは、月間のPV(ページビュー)が72万、利用者数は15.4万人を誇るドライバー専門の求人サイトです。全国で約80万人いるドライバーのうち、13%のシェアを誇り、求人数は33,000件を超えています。
サイト利用者の約7割が現役ドライバーで、彼らの求職活動をサポートする多様な応募方法(電話、メール、LINE、応募代行)を提供しています。
ドラEVERの料金形態には、求人広告掲載を目的とするものと、求人広告掲載に加えてスカウトも目的とするものがあります。ダイレクトリクルーティングを行うためにはスカウト機能があるプランへの加入が必要です。
https://doraever.jp/lp_recruit
プレックスジョブ(株式会社プレックス)
プレックスジョブは、ドライバーやトラック運転手、建設業や製造業などのエッセンシャルワーカーに特化した専門求人サイトです。登録者数は累計100万人にのぼり、採用後の定着率は94%を誇ります。
プレックスジョブの料金形態は、採用決定まで費用が発生しません。求人原稿やスカウト文の作成代行サービスや定着サポートも無料で受けられるため、コストを抑えつつ効率的な採用活動が実現できます。
5.ダイレクトリクルーティングサービス導入での検討ポイント
ダイレクトリクルーティング導入の際には、自社の採用目標や予算に適したサービスを選ぶことが重要です。
導入時のチェックポイント
- 登録している人材の属性や数
- 返信率や面談率
- 料金体系
- 機能の使いやすさ
- 導入実績のある企業 など
各社のサービス内容は異なるため、上記のポイントを事前に比較・検討することで、より効果的な採用活動につながります。また、導入実績のある企業や、スカウトの返信率、面談率などを把握することで、自社にとって最適なサービスかどうかを見極められます。
各サービスの特徴をしっかりと理解し、自社の採用戦略に合ったものを選択することが、成功のカギです。
登録している人材の属性や登録数
ダイレクトリクルーティングサービスはそれぞれ強みや特化した分野などの特徴を持つため、登録者の属性や人数は異なります。母集団に自社の求める人材が少ないと、契約後にターゲットが不足しかねません。
一般的に、1名の採用には250〜1,000通のスカウト配信が必要とされるため、ターゲット層が十分に確保されているかを事前に確認することが重要です。
返信率や面談率はどうか
スカウトの返信率や候補者との面談率が高いほど、採用成功の可能性も高まります。サービスが「転職を考え始めた層」向けなのか、それとも「転職意欲が高い層」向けなのかを見極め、自社の規模や知名度に応じて適切に選定することが重要です。
さらに、スカウトの開封率を確認できる機能があれば、返信率の改善に向けた分析や対策を行いやすくなります。
費用はどうなっているか?
ダイレクトリクルーティングの導入にあたっては、各サービスの料金体系を比較し、自社の予算に適したプランを選ぶことが大切です。
多くのサービスでは、初期費用に加えてスカウト通数に応じた料金が発生します。成果報酬型のプランを採用している場合、スカウト費用に加えて、採用者の年収の10〜20%が成功報酬として発生するケースもあります。
機能の使いやすさはどうか?
ダイレクトリクルーティングを導入する際は、自社の人事担当者がスムーズに操作できるかどうかも重要なポイントです。例えば、検索条件の絞り込みが充実しているか、管理画面がシンプルで直感的に操作できるかなどがチェックすべき項目です。
また、配信予約機能の有無や、配信時間の制約なども比較ポイントとなります。特に、配信予約機能があれば、勤務時間外の早朝や夜間でも自動でスカウトを送れるため、業務効率の向上につながります。
使いやすいシステムを選ぶことで、採用活動をよりスムーズに進められます。
導入実績のある企業は?
あらかじめ導入実績のある企業を調査することで、サービスの信頼性や自社との相性を判断する材料になります。ダイレクトリクルーティングを導入する際には、実際に利用している企業の数や規模、業界を確認し、自社に適したサービスを選ぶことが大切です。
特に、上場企業や大手企業の利用が多いサービスは、優秀な人材が集まりやすい傾向があります。ただし、その分競争も激しくなるため、中小企業にとっては他社よりも魅力的なスカウトメールを送る工夫が必要です。
実績豊富なサービスほど、大手企業が採用を有利に進めるケースもあるため、自社に合ったアプローチを見極めなければなりません。
6.運送業界におけるダイレクトリクルーティングの成功事例
運送業界では、需要の増加に伴い、優れた人材の確保が重要な課題となっています。特に、現場スタッフや管理職候補といった即戦力となる人材の採用は、業界全体での競争が激化しており、従来の採用手法では十分に対応できない場合が少なくありません。
そこで、ダイレクトリクルーティングが効果的な解決策として注目されています。ダイレクトリクルーティングを導入した企業は、企業側から直接アプローチすることで、求める人材を効率的に獲得し、採用活動の質を大きく向上させました。
事例①トナミ運輸株式会社
トナミ運輸株式会社では、ダイレクトリクルーティングの導入を機に採用活動の体制を大幅に見直しました。人員を増強し、2名体制で「dodaキャンパス」を運用することで、より効果的なアプローチを実現しています。
学生検索の手法についても柔軟に対応し、従来の基準にとらわれず、その都度条件を見直しながらオファーの対象範囲を拡大しました。さらに、オファーを送った後は、送信者自らが学生と個別に面談を行い、企業への関心を高めることでスムーズに選考へとつなげています。
これらの施策により、内定者数は10名を超え、ダイレクトリクルーティングを活用した新たな採用戦略が大きな成果を上げることとなりました。
事例②株式会社マルカミ物流
株式会社マルカミ物流では、売上の増加に伴う拠点の拡大や業務量の増加により、管理職の人材不足が深刻化していました。求人媒体を活用した従来の「待ちの採用」では、即戦力となる人材の確保が思うようにはできません。
管理職候補の採用に向けて、従来の応募を待つ「待ちの採用」から、企業側から積極的にアプローチする「攻めの採用」へとシフトする必要性を感じ、ダイレクトリクルーティングサービス「ビズリーチ」を導入しました。
ビズリーチを活用し、企業側から優秀な人材に直接アプローチすることで、管理職候補を中心に24名の採用に成功します。この取り組みにより、採用の主導権を企業側が握る形で、組織強化へとつなげられました。
7.よくある課題と解決方法
ダイレクトリクルーティングは効果的な採用手法として広く活用されていますが、導入後に直面する可能性のある課題もいくつか存在します。これらの課題を解決するためには、適切な施策を講じることが重要です。
応募率が上がらない場合の対処法
ダイレクトリクルーティングを成功させるためには、長期的な目標を設定し、定期的に効果測定を行うことが不可欠です。
PDCAサイクルを回すことで、課題を特定し、改善策を講じるとともに、知識やノウハウを蓄積できます。
また、採用活動の長期化も考慮し、ダイレクトリクルーティングの手法が定着するまで、従来の採用施策と併用して進めることが効果的です。
これにより、採用活動の効率を高め、スムーズに成果を上げることが可能になります。
候補者とのコミュニケーションにおける改善施策
候補者に対して効果的なコミュニケーションを取るためには、まずターゲットとなる人材を見つけることが第一歩です。
その後、相手がどのような関心を持っているのかを探り、関心を引きつけることが重要です。アプローチの際には、一方的な伝え方ではなく、相手の関心に合わせたメッセージを作成することが求められます。
相手の反応を引き出すためには、伝え方を柔軟に変えなければなりません。最適なコミュニケーション方法を見つけるために、試行錯誤し、内容を調整し続けることが重要です。
社内での合意形成の進め方
ダイレクトリクルーティングを導入すると、それに付随するさまざまな業務が発生します。兼任でこれらをこなしつつ成果を上げるのは難易度が高いため、専任者の設置が望まれます。
また、社内に十分なノウハウがない場合は、運用サポートを行っているダイレクトリクルーティングサービスを選ぶことも有効です。専門家の力を借りて、業務をスムーズに進められる体制を整えることで、効果的な採用活動の実現につながります。
8.成功する採用戦略への道筋と実践ポイント
ダイレクトリクルーティングは、企業が主体的に優秀な人材を発掘し、直接アプローチできる効果的な採用手法として確立されつつあります。成功のカギは、明確な採用戦略の策定と、適切なサービスの選択、そして効果的な運用にあります。
導入に際しては、自社の採用ニーズや予算を踏まえた慎重な検討が必要ですが、一度体制が整えば、従来の採用手法では出会えなかった優秀な人材との出会いが期待できます。
継続的な改善と工夫を重ねることで、より効率的で質の高い採用活動の実現が可能となるでしょう。
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以下の記事では、新卒採用や、第二新卒の基礎から実践的なノウハウまで、採用担当者向けに詳しく解説。採用戦略の立案から育成計画まで網羅的に紹介していますのでぜひ参考にしてください。また、待つだけではない様々な採用手法についても紹介しています。