「求人サイトに広告を出しても応募がまったく来ない」「応募はあっても、求める人材になかなか出会えない」と悩む建設業界の採用担当者は少なくありません。これは、単なる人手不足だけが原因ではなく、多くの企業が直面している課題です。
この記事では、建設業界の採用が難しい理由をデータに基づいて解説し、自社の課題に合った求人サイトの戦略的な選び方をご紹介します。また、求人サイトの効果を最大化し、採用した人材が定着・活躍するための具体的なノウハウも分かりやすく解説します。
- 建設業の採用が難しい根本的な理由がデータで理解できる
- 自社の採用課題に合わせた、効果的な求人サイトの選び方がわかる
- 求人サイトの効果を高め、採用成功と人材定着につなげる具体的な方法がわかる
1.【データで見る】なぜ建設業の採用はこれほどまでに難しいのか?

まずは、建設業界の採用がなぜ難しいのかを、客観的なデータから確認してみましょう。
構造的な人手不足と高齢化
日本の建設業界は、将来にわたる工事の需要が見込まれ、市場としては安定・成長しています。実際、国土交通省が発表した最新のデータによると、2025年度の建設投資額は75兆円を超える見通しです。
しかしその一方で、建設業界で働く人の数は年々減少しており、特に若手の担い手不足と、それに伴う全体の高齢化が深刻な問題となっています。つまり、「仕事はたくさんあるのに、働く人が足りない」という構造的な課題を抱えているのです。
これらに加え、2024年4月から建設業にも適用された『働き方改革関連法』による時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)が、既存の労働力から得られる総労働時間を減少させ、新規採用の必要性をさらに高めています。
他業界と比較した有効求人倍率の高さ
「有効求人倍率」という指標があります。これは、仕事を探している人1人あたりに、何件の求人があるかを示す数字です。 全職種の平均が1.2~1.3倍程度であるのに対し、建設・採掘の職業における有効求人倍率は5倍を超えています。

これは、1人の求職者を5社以上が取り合っている状態で、他業界に比べて圧倒的に採用競争が激しいことを示しています。
出典:建設業の有効求人倍率5.2倍 躯体工は8.84倍 厚労省調べ | 新建ハウジング
採用における「3つのミスマッチ」とは
こうした厳しい環境に加え、採用がうまくいかない背景には、多くの「ミスマッチ」が原因として考えられます。
- スキル・ミスマッチ
求める経験や資格を持つ人が来てくれない。 - カルチャー・ミスマッチ
社風や働き方が合わず、すぐに辞めてしまう。 - 期待値・ミスマッチ
入社前に聞いていた話と、実際の仕事内容が違うと感じてしまう。
これらのミスマッチを防ぐことが、採用成功への第一歩となるでしょう。
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採用のミスマッチは業界を問わず大きな課題です。こちらの記事では、ミスマッチが起こる根本的な原因と、それを防ぐための具体的な7つの対策を詳しく解説しています。
2.【課題別】料金・特徴で比較!建設業向け求人サイトの選び方

まずは自社の採用課題を明確にすることが重要です。ここでは、課題別にどのような求人サイトが有効かを見ていきましょう。
【課題1】そもそも応募が集まらない

【おすすめ求人サイト】
露出度の高い大手・特化型サイト
まずは多くの人に見てもらわないことには始まりません。知名度が高い大手の総合求人サイトや、建設業界専門の求人サイトで求職者の目に触れる機会を増やしましょう。
一般的に、こうしたサイトは一定期間の掲載に対して費用が発生する「掲載課金型」が多く、料金はやや高めの傾向があります。しかし、その分多くの求職者の目に留まりやすく、採用認知の拡大につながるというメリットがあります。
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そもそも応募が集まらないという課題には、母集団形成の考え方が役立ちます。こちらの記事では、採用したい人材からの応募を効率的に集めるための基本的な考え方と、成功に導く8つのステップを解説しています。
【課題2】求めるスキルを持つ人材が来ない

【おすすめ求人サイト】
専門職・有資格者に強い特化型サイトやダイレクトリクルーティング
施工管理技士や設計士など、特定の資格や経験を持つ人材を探している場合は、建設・建築分野に特化した専門サイトが効果的です。
また、サイトに登録されている人材のプロフィールを見て、企業側から直接アプローチできる「ダイレクトリクルーティング(スカウト)」機能を使えば、待ちの姿勢ではなく、攻めの採用活動も可能です。
こうしたサービスは、採用が決まったときに費用が発生する「成功報酬型」や、月額利用料がかかるプランが一般的です。そのため、一人当たりの採用単価は高くなる可能性がありますが、求める人材に直接アプローチできる分、費用対効果は高いといえます。
【課題3】若手・未経験者を採用したい

【おすすめ求人サイト】
ポテンシャル層に強い媒体やSNS連携
これからの会社を担う若手を採用したい場合、経験者向けのサイトではメッセージが届きにくいことがあります。未経験者歓迎の求人を多く扱っているサイトや、若年層がよく利用するSNSと連携した採用活動も視野に入れましょう。
これらの手法は、必ずしも直接的な採用コストがかからない、あるいは比較的低コストで始められる点が魅力です。
【おすすめ求人サイト】
リクナビNEXT/若手・中堅層の登録者が多い

若手は待遇だけでなく、働きやすさや職場の雰囲気も重視します。仕事内容だけでなく、会社の雰囲気や教育制度なども積極的にアピールしましょう。
■施工管理派遣採用をお考えの企業様へ
建設業界でも同様の高いマッチング精度で、貴社が求める施工管理技士をご紹介できます。
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3.徹底比較!建設業の採用に強いおすすめ求人サイト5選
建設業の採用でよく利用される代表的な求人サイトを5つご紹介します。自社の課題やターゲットに合うサイトを見つける参考にしてください。
サイト名 | 建設特化 | こんな企業におすすめ |
---|---|---|
建職バンク | ◎ | 技術職・管理職をピンポイントで採用したい企業 |
GATTEN職 | ◎ | 現場の職人・技能職をスピーディーに採用したい企業 |
Indeed | △ | コストを抑え、とにかく広く母集団形成したい企業 |
doda | 〇 | 広告・エージェント・スカウトを併用し多角的に攻めたい企業 |
リクナビNEXT | 〇 | 20代〜30代の若手・中堅層の採用を強化したい企業 |
建職バンク

画像:「建職バンク」公式サイトより引用
建設業界に特化した求人サイトで、特に施工管理や設計といった技術職の採用に強みがあります。専門のエージェントが介在し、企業の採用要件と求職者のスキル・希望をマッチングさせるサポートも魅力です。
■アピールポイント
- エージェントが候補者のスキルや人柄を事前に確認してくれる
- 施工管理技士や建築士など、特定の有資格者データベースが充実
- 非公開求人として募集をかけることで、競合他社に採用動向を悟られない
GATTEN職

画像:「GATTEN職」公式サイトより引用
現場で働く職人や技能職の採用に特化した求人サイトです。「ガテン系」という言葉の通り、現場仕事に特有の文化ややりがいを伝えやすいプラットフォームで、意欲的な求職者が集まる傾向にあります。
■アピールポイント
- 職人や技能職といった専門技能を持つ人材の応募効果が高い
- 「ガテン系」の文化を理解した求職者が多く、カルチャーマッチしやすい
- 経験者だけでなく、未経験でも「やる気」を重視する求職者が多い
Indeed(インディード)

画像:「Indeed(インディード)」公式サイトより引用
世界最大級の求人検索エンジンであり、あらゆる職種の求職者が利用しています。無料から求人情報を掲載でき、クリック課金制の有料広告で露出を調整できるため、予算に応じた柔軟な運用が可能です。
■アピールポイント
- 無料掲載で採用活動を開始できるため、採用コストを最小限に抑られる
- 圧倒的な集客力を誇り、転職潜在層から積極層まで、幅広い求職者の目に触れる
- 有料掲載ではクリック数などのデータを活用でき、効果測定をしながら戦略的に運用できる
doda(デューダ)

画像:「doda(デューダ)」公式サイトより引用
業界最大級の登録者数を誇る総合転職サイトです。求人広告の掲載だけでなく、転職エージェントサービスや、企業から直接アプローチできるスカウトサービスも充実しており、多角的な採用活動が目指せます。
■アピールポイント
- 求人広告とエージェント・スカウトを一つのプラットフォームで併用できる
- 多様な経験・スキルを持つ候補者がいるため、思わぬ人材に出会える可能性が高まる
- 専任の担当者が求人票作成のアドバイスや採用市況の情報提供などサポートしてくれる
リクナビNEXT

画像:「リクナビNEXT」公式サイトより引用
dodaと並ぶ日本最大級の総合転職サイトで、特に20代~30代の若手・中堅層の登録者が多いのが特徴です。長年の実績から転職者の間で高い知名度と信頼を得ており、質の高い応募が期待できるでしょう。
■アピールポイント
- 20代~30代の登録者がボリュームゾーンのため、特に若手・中堅層の採用に強みを発揮
- 転職者の間で「まずは登録するサイト」として広く認知されている
- 自社に興味を持つ可能性が高い求職者に効率的にアプローチできるスカウト機能が充実
4.求人サイトの効果を最大化する、採用成功の3つの鍵

良い求人サイトを選んでも、ただ掲載するだけでは効果は半減してしまいます。ここでは、採用を成功に導くための3つのポイントをご紹介します。
POINT1:求める人物像を明確にする「採用ペルソナ」の作り方
「採用ペルソナ」とは、「自社が本当に求めているのは、どんな人か?」を具体的に描き出した人物像のことです。以下のような項目にそって、一人の人間としてリアルに設定します。
- 年齢や性別
- 価値観
- 働き方の希望
- どんなことにやりがいを感じるかなど
ペルソナを明確にすることで、チーム内で採用基準がブレなくなり、求人票で伝えるべきメッセージも自然と決まってくるでしょう。
POINT2:「給与」以外で魅力を伝える、求人票ライティング術
求職者は給与や休日だけでなく、「この会社で働くことでどんな経験が得られるか」「どんな仲間と働けるか」も重視しています。求人票には給与以外の項目も具体的に記載し、求職者が自分の働く姿をイメージできるようにしましょう。
これらの情報を盛り込むことで、他社との差別化を図りましょう。
POINT3:自社の魅力を発信する「採用ブランディング」の第一歩
「採用ブランディング」とは、自社を「働きたい」と思ってもらえる魅力的な会社として、求職者に認知してもらうための活動です。自社のホームページやSNSを活用したブランディングを例にみていきましょう。
- 現場の様子や日常がわかる写真を投稿
- 社員のインタビュー記事を掲載
- 社員イベントの写真を投稿など
こうした情報発信を続けることで、求人サイトだけでは伝わらない会社のリアルな魅力を届け、応募への動機付けを高めることができるでしょう。
5.人材定着率を高めるためのポイント

採用はゴールではなく、スタートです。ここでは、入社した人材が長く活躍してくれるためのポイントを2つご紹介します。
入社後のギャップを防ぐオンボーディングプログラム
「オンボーディング」とは、新入社員が組織にスムーズに溶け込み、本来のパフォーマンスを発揮できるまでを支援する、計画的な受け入れ・定着プログラムです。
入社直後の就業規則や安全教育などの基礎研修は重要ですが、これだけでは定着率を高めることはできません。入社後3か月から半年かけて、直属の上司が期待する役割を明確に伝え、定期的な1on1面談で不安や課題を丁寧に解消していくプロセスが定着率の向上につながります。

こうした継続的なサポートが、入社後の「こんなはずじゃなかった」というギャップをなくし、早期離職の防止と早期戦力化の両方を実現します。
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こちらの記事では、オンボーディングの基礎知識や具体的な導入事例を紹介しています。離職率の低下を目指し、効果的な人材育成を検討している人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
若手社員の成長を促すメンター制度の導入
「メンター制度」とは、新入社員や若手社員に対し、直属の上司とは別に、少し年次の離れた先輩社員が相談役(メンター)となって成長を支援する制度です。
日々の業務を直接指導するOJT担当者とは異なり、メンターは中長期的なキャリアの視点や、組織内での立ち振る舞いなど、より広い範囲のサポート役を担います。
6.建設業界求人サイト採用に関するよくある質問(FAQ)

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無料の求人サイトと有料サイトの違いは何ですか?
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無料サイトは、コストをかけずに掲載できる手軽さが最大の利点ですが、機能が制限され、多くの求人に埋もれがちです。
一方、有料サイトは費用がかかるものの、広告機能で露出を高めたり、スカウト機能で求める人材に直接アプローチできたりと、戦略的な採用活動が可能です。
採用コンサルタントの支援が受けられることもあります。緊急度や予算、求める人材像に応じて使い分けることが重要です。
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採用までにかかる期間の目安は?
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募集職種や求めるスキルレベルにより大きく異なりますが、一般的に募集開始から内定まで2~3ヶ月程度が一つの目安です。
ただし、施工管理技士などの有資格者や高度な経験を持つ技術者の場合、半年以上かかることも少なくありません。
採用市場は常に変動するため、候補者との出会いは一期一会です。余裕を持った採用計画を立て、スピーディーな選考を心がけることが成功の鍵となります。
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総合求人サイトに対する建設特化サイトの利点は何ですか?
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最大の利点は、建設業界で働く意欲の高い求職者が集まっている点です。総合サイトに比べ母数は少ないものの、応募者の質が高く、スキルや資格のミスマッチが起こりにくい傾向があります。
また、業界特有の職種や働き方への理解が深いため、求職者に企業の魅力が伝わりやすいのも特徴です。専門的なスキルを持つ技術者や技能職を効率的に採用したい場合に特に有効な手段といえます。
■施工管理派遣採用をお考えの企業様へ
建設業界でも同様の高いマッチング精度で、貴社が求める施工管理技士をご紹介できます。
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7.建設業界の採用成功の秘訣|攻めの採用戦略とは
建設業界の採用は、激しい競争環境下にあり、決して簡単ではありません。しかし、自社の採用課題を正しく分析し、それに合った戦略的なアプローチをとることで、成功の確率は大きく高まります。
まずは、人気の求人サイトにただ掲載するだけの「待ちの採用」から脱却することが重要です。本記事でご紹介した「採用ペルソナの設計」や「求人票の工夫」といった、自社の魅力を積極的に発信する「攻めの採用」へと、ぜひ一歩踏み出してみてください。